【JDMC】データマネジメント賞2026 受賞企業決定~大賞は2社、東京ガス・東京ガスiネット、CRISP、花王、CCCMK、三菱電機、ロート製薬、荏原製作所、文科省 ARIM運営機構が各賞を受賞
一般社団法人 日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)が、データマネジメントにおいて他の模範となる活動を実践している企業・機関を表彰、今年で13回目の受賞企業が決定

一般社団法人 日本データマネジメント・コンソーシアム(略称:JDMC、東京都江東区豊洲、会長:栗島聡)は、2026年データマネジメント賞の受賞企業を決定いたしました。データマネジメント賞とは、データマネジメントにおいて、他の模範となる活動を実践している企業・機関などの中から優秀なものに対して授与している表彰制度であり、今年で13回目を迎えます。
今回は、データマネジメント大賞を受賞した東京ガス・東京ガスiネット、CRISPを含め、8社が各賞を受賞しました。各賞の選定にあたっては、JDMC 運営委員会内に審査委員会を組織し、評価の上、決定しております。 デジタル化を進めるには、データ活用が根幹であり、それを実現するためには、データマネジメントに真摯に取り組むことが必要になります。この賞を通じ、様々なデータや情報のマネジメントに関する社会的認知を高め、企業・機関などでデータマネジメントを実践する人や組織の活性化を促進し、日本企業・組織の競争力強化へ寄与するものと JDMC では考えております。
下記の通り、JDMC が2026年3月11日に主催する【データマネジメント2026】にて表彰式を行い、賞の授与を実施する予定です。
記
表彰式の開催
日時:2026年 3 月 11 日(水) 9:35‐9:50
会場: 京王プラザホテル 新宿
※JDMC 主催のカンファレンス【データマネジメント 2026】のタイムテーブルにて実施

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賞名 |
受賞企業名 |
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大賞 |
東京ガス株式会社 東京ガスiネット株式会社 |
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大賞 |
株式会社CRISP |
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データ基盤賞 |
花王株式会社 |
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データ基盤賞 |
CCCMKホールディングス株式会社 |
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データガバナンス賞 |
三菱電機株式会社 |
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データ活用賞 |
ロート製薬株式会社 |
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先端技術活用賞 |
株式会社荏原製作所 |
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特別賞 |
文部科学省 マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)運営機構 |
賞の説明

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賞名 |
説明 |
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大賞 |
データマネジメント活動において、特筆すべき取り組み・成果を出した企業・機関などで、この取り組みが現状および将来にわたり他の模範となると認定された場合に授与します。 |
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データ基盤賞 |
データ分析における基盤構築にあたり、システムだけでなく組織間の連携も含めて著しい成果を上げた取り組みに対し授与します。 |
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データガバナンス賞 |
困難な部門・システム間の調整を断行し、横断的なデータ管理ルールを設計・導入した取り組みに対し授与します。 |
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データ活用賞 |
データ分析やデータサイエンスの技術を駆使し、ビジネスにインパクトを与える優れた取り組みに対し授与します。 |
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先端技術活用賞 |
先進的な理論や技術に対していち早く試み、ノウハウや成果を公開するなど、他の模範となる取り組みに対し授与します。 |
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特別賞 |
既存の賞の枠組みにとらわれない、卓越したデータマネジメントの取り組みに対し授与します。 |
受賞理由
データマネジメント大賞/東京ガス株式会社・東京ガスiネット株式会社
■データメッシュによる自律分散型ガバナンスの確立
国内最大級のガス事業者である東京ガスは、エネルギー自由化を契機にマーケティング分析基盤から全社データ分析基盤へと段階的に拡張を図ってきた。しかし1万人規模への展開に伴い、中央集権型基盤はアジリティ・拡張性・ガバナンスの各面で限界を露呈し、データの意味・定義の属人化やメタデータ管理の不備が生成AI活用の障壁ともなっていた。
こうした課題を打開すべく、東京ガスiネットと連携し、各事業部門が自律的にデータ基盤を管理しながらハブドメインを介して横断共有する「データメッシュ型アーキテクチャ」への移行を推進。各部門がデータ品質に責任を持つ「データプロダクト」の概念を導入し、データアーキテクチャ・メタデータ・データ保護・データ品質の4領域を軸とした連邦型ガバナンス体制を整備した。属人化したデータをAIが解釈可能な「資産」へ転換する「AI Ready」環境の整備も着実に進んでいる。
データサイエンスに精通した社長自らが経営会議でAI・データ活用の進捗を各部門長に報告させるトップマネジメントも、同社の取り組みを支える重要な基盤である。AI・データ活用相談件数や、現場主導のアプリ開発も増加し、コーポレート部門にも活用の裾野が広がるなど、全社的なデータ活用文化が着実に根付きつつある。技術・組織・人材を三位一体で推進するデータ・AI民主化の先駆的実践として高く評価し、データマネジメント大賞を授与する。
データマネジメント大賞/株式会社CRISP
■外食をデータで再設計、全社ファーストパーティーデータを統合
外食業界は長年、勘と経験に依存した意思決定が主流であり、注文・人事・オペレーションデータが複数のSaaSに分断されるという課題を抱えてきた。株式会社CRISPはカスタムサラダ専門店「クリスプサラダワークス」を展開する中で、この課題に正面から向き合い、DXを経営の根幹に据えた独自の体制を構築している。
同社は注文・CRM・勤怠管理にいたるシステムをすべて自社開発し、購買データ・行動データ・オペレーションデータ・人事データを単一基盤に集約。売上の約50%をアプリ経由で獲得することで、ユニークユーザーに紐づくファーストパーティーデータを継続的に蓄積する仕組みを構築している。データ収集は既存業務オペレーションに組み込まれており、スタッフの通常業務のタイムスタンプがそのまま提供時間指標に転用される設計で、取得コストを最小化している。さらに「クリスプメソッド」として6つの経営領域にKPIを設定・可視化し、年間約20万件の顧客フィードバックをスタッフ評価・金銭インセンティブに直結させることで、約600名のスタッフ全員のサービスパフォーマンスを定量化している。
同社はDXを後付けのツールとしてではなく、経営・人事・オペレーションの設計段階からデータドリブンで構築している。全社KPIの外部公開を通じて飲食DXのベンチマークを業界に還元する姿勢も評価でき、その取り組みは他企業にとって有益な参照事例となることから、データマネジメント大賞を授与する。
データ基盤賞/花王株式会社
■非構造化データの資産化とワンソース・マルチユースで顧客体験を変革
ヘルスビューティケアをはじめ多ブランドを展開している花王。同社の商品画像や動画などのクリエイティブ資産は経営上重要な資産である一方、これまでの管理は担当者単位での運用が中心となっていた。デジタル素材は分散して保管されており、最終版の特定に時間を要するケースも見られた。また過去大量に使用していたポジフィルムも薬剤規制等により継続困難となり、抜本的なデジタル化が急務となった。
同社はこうした課題に対し、デジタルアセットマネジメント(DAM)を中核としたデータ基盤の再構築に着手した。商品マスターコードを起点に正式名称・特徴・成分・注意事項等のメタデータを入口で標準化する仕組みを整備し、制作ツールとのシームレスな連携で現場負荷を最小化した。クリエイターへのコード概念の浸透や外部制作会社への指定場所納品を支払い条件とするルールの整備など、社内外の業務フロー標準化には全国説明会を重ねながら約2年を要した。確立した一元管理基盤は自社ECへと展開され、自社納品実績データと連携し流通店舗への送客と顧客の自己解決サービスも実現。さらに工場・生産現場やコールセンターともAPI連携し、ワンソース・マルチユースによる全社的な情報活用基盤へと進化を遂げている。
企業において最も制御困難とされる非構造化データに対し、業務プロセスの抜本的な再設計を伴いながらデータガバナンスを完遂した点は特筆に値する。分散していたクリエイティブ資産を経営資産として再定義し、製造・販売・顧客対応を含む全社的な価値創出へとつなげた同社の取り組みを称え、データ基盤賞を授与する。
データ基盤賞/CCCMKホールディングス株式会社
■1.58億IDを支えるデータプラットフォームの10年にわたる無停止モダン化
CCCMKホールディングスは、累計ID数1.58億を超える「Vポイント」サービスを展開する、日本最大級の生活者データプラットフォーム企業である。2015年当時、オンプレミス機の性能限界によりITシステムがビジネスのボトルネックとなる深刻な課題に直面していた。
同社はこの状況を打開すべく、まず膨大なパーソナルデータを扱うがゆえのセキュリティ・コンプライアンス上の懸念を解消するため、法務・コンプライアンス・セキュリティの各部門と合意形成を重ね、全社的なクラウド検証を推進した。そして「10年間一度も業務を止めない」という厳格な条件を堅持しながら、2017年にMicrosoft Azureへの移行を実現し、2025年にはSnowflakeへの完全移行を完了させた。データをブロンズ・シルバー・ゴールドの3層で管理するメダリオンアーキテクチャを導入し、高度なデータガバナンス体制を確立している。並行して高度なデータ分析環境としてDatabricksを活用し、月間340時間を要していたデータ処理を34時間へと大幅に短縮、クラウドコストも5分の1に削減するという顕著な成果を上げた。
このデータ基盤の上で、社員によるAIエージェントの活用が進み、組織知を自在に引き出すAIトランスフォーメーションを推進している。累計1.58億IDという国内最大級の顧客資産を守りながらデータ増、利用ユーザー増とワークロードが増え続ける中で、10年にわたって業務を無停止で継続し、レガシー基盤の近代化とガバナンスに基づく高度なAI利活用を両立させた取り組みは特筆に値する。同社の長期的な挑戦と卓越した成果を称え、データ基盤賞を授与する。
データガバナンス賞/三菱電機株式会社
■DX加速のガードレールとしてデータガバナンスの確立
約200社のグループ会社、連結従業員数14.9万人を擁する三菱電機は、製造業のDXが加速する中、データの散在・品質のばらつき・セキュリティリスクといった大規模組織特有の課題に直面していた。同社はデータを重要な経営資産の1つと位置づけ、2025年5月に「データ活用宣言」を社内外に発信した。
この宣言の具現化に向け、同社はトップダウンによるデータガバナンス推進体制を整備した。「データ/AI ガバナンス ステアリング会議」を設置し、傘下にAI・データガバナンス遂行責任者と、AIガバナンス主管部門・データガバナンス主管部門の実行組織を配置。両主管部門が連携してガバナンスポリシーおよびガイドラインの策定、全社データ基盤の構築、教育・モニタリングの一連のプロセスを担う包括的な体制を構築している。全社データ基盤では、各部署がデータを格納する際の品質確保の仕組みを組み込むとともに、事業領域を超えた安全なデータ連携を可能とし、適切な権限管理と監視体制も整備している。
「DX加速のガードレールとしてデータガバナンスが不可欠」という考え方のもと、適正なデータ管理・統制と活用促進の両立を実践し、熱関連事業においてデータ活用による事業価値創出を実証しつつある。大規模製造業における全社ガバナンス体制の設計と運用の両面での先進性は高く評価できる。同社の取り組みはデータガバナンスの実践モデルとして広く業界への貢献が期待されることから、データガバナンス賞を授与する。
データ活用賞/ロート製薬株式会社
■現場主導のデータ基盤整備と生成AI活用で全社的なデータ駆動型経営
「健康」領域で幅広く事業を展開するロート製薬は、生産性向上とサプライチェーン最適化を経営の重要テーマに掲げてきた。しかし各部門でマスターデータがサイロ化され、現場の事務負荷も増大するという構造的な課題が顕在化していた。
同社はこうした課題に対し、現場主導によるMDM(マスターデータマネジメント)の構築に着手した。多くのメンバーを動員した大規模なデータクレンジングと、現場への丁寧なヒアリングによる実態把握を通じ、実効性の高いデータ基盤を段階的に確立している。トップダウンに依存せず現場の知見を反映させたこのアプローチは、日本企業におけるデータマネジメント推進の有効なモデルといえる。
営業領域では、スマートフォンの音声入力による日報の自動生成など生成AIツールを全国展開し、草の根的な普及活動を通じて現場負担の軽減とデータ活用の定着化を両立した。生産領域では、生産統合データとシミュレーション・生成AIを組み合わせた生産計画の最適化により、ロス・廃棄の大幅削減とサプライチェーン全体の効率化を実現している。
現在はデジタルツインやマルチAIエージェントを活用した次世代の取り組みにも着手しており、データ駆動型経営のさらなる深化が期待される。現場の課題に真摯に向き合い、着実に成果を積み上げながら全社変革を推進した同社の姿勢と実績は、日本企業の競争力強化を体現するものとして高く評価できる。その功績を讃え、データ活用賞を授与する。
先端技術活用賞/株式会社荏原製作所
■デジタルトリプレットで熟練者の暗黙知を形式知化
ポンプや圧縮機など一品一様の製品製造で110年を超える歴史を持つ荏原製作所は、熟練者の卓越した技能が高度に属人化し、本人ですら言語化・説明できない「暗黙知」の継承という、日本の製造業が直面する課題を抱えていた。加えて、従来のデジタルツインは空間再現に留まり、現場に蓄積された知恵を組織全体で共有・活用し業務を標準化するには至らないという限界があった。
同社はこの課題に対し、製造DXプロジェクト「EBARA-D3™(エバラディースリー)」を推進。デジタルツインにナレッジ(知恵)を融合させた独自概念「デジタルトリプレット」を確立し、熟練者の技能を非構造化データとして取り込み形式知として全社展開する仕組みを構築した。高価な専用システムに依存せずゲーム技術を応用した製造メタバース「Beyondverse™(ビヨンドバース)」を自社独自開発し、誰もが直感的に操作できる環境で最新情報への迅速なアクセスと物理的検証を可能にしている。さらにカメラ映像からAIで人の骨格を検出し、熟練者の身体動作や負荷を定量化することで、暗黙知を徹底的に分解・可視化する独創的なアプローチを実現した。
人間中心設計を貫き、日本の製造業固有の強みである「人の技能」をデータによって守り進化させるという明確な思想のもと、技術的独創性と現場での実用性を高い次元で両立させた同社の取り組みは、次世代の製造DXにおける理想的な姿を体現している。その卓越した先端技術の活用と先見性を称え、先端技術活用賞を授与する。
特別賞/文部科学省 マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)運営機構
■AI for Science時代を拓くマテリアルデータの資産化と全国的な産学官共用の実現
マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)では、文部科学省が推進するマテリアルDXプラットフォームの一角として全国26の大学・研究機関における最先端設備の全国的な共用体制を整備し、先端設備から創出されたマテリアルデータを利活用しやすくした上で国内の学術界・産業界に共用している。材料科学分野を含む多くの研究分野では、装置ごとに異なるデータ形式や管理手法が混在し、実験データが属人化し、AIや機械学習などでの利用ができないことから、標準化・構造化が重要な課題となっていた。
ARIMは、物質・材料研究機構(NIMS)が開発したデータ構造化システム(RDE)を基盤として、様々な実験装置とNIMSデータ中核拠点(MDPF)を連結する仕組みを構築した。実験データはAI解析に即応した「AI Ready」な状態に変換・蓄積され、データ可視化にかかる時間は「1日がかり」から「数分以内」へと劇的に短縮された。機器ごとに異なるデータ形式を共通したデータ形式で構造化し、メタデータも揃えて蓄積・提供する「データアライアンス」により、機種やメーカーを問わない横断比較も実現した。2022年のRDE稼働以降、2026年1月時点で約190万ファイル、1.7万件超のデータセットが蓄積されている。
また、知的財産の保護と研究データの共用を両立させる独自の共用ルールを策定することで、機関の壁を越えたデータ流通のプラットフォームを整備した。この取り組みにより、1.7万件を超えるデータセットが産学官の枠を越えて共有・利活用できる環境が構築された。様々な機器から創出されるデータの品質の担保と、組織横断的なガバナンスの実装を高度に融合させた点は、科学技術領域におけるデータマネジメントの卓越した成功事例といえる。
研究DX推進における構造的課題を技術とガバナンスの両面から解決し、日本のマテリアル科学の国際競争力強化に直結する基盤を創出したその功績を高く評価し、特別賞を授与する。
<更新歴>
2026年3月5日 09:00配信
◇参考
データマネジメント賞実績
https://japan-dmc.org/?page_id=15253
◇本リリースに関する取材の受け入れ、お問い合わせ先
一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム
データマネジメント賞 表彰部会、事務局
担当 土田、高橋 E-Mail:award@japan-dmc.org
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