「キャリアブレイク」が雇用促進・地方創生につながる可能性を可視化。オスロ建築デザイン大学修士研究員のエーグヘンリクセン翠氏との共同研究で「キャリアブレイク白書2026 (社会的影響編)」を発行。

「立ち止まる期間を持つ」という個人の選択が、社会にもたらす連鎖的な影響を、北欧発「システムオリエンテッドデザイン」で体系的にマッピング。

一般社団法人キャリアブレイク研究所

一時的に仕事から離れ、人生と社会を見つめ直す「キャリアブレイク」を研究・発信する一般社団法人キャリアブレイク研究所(所在地:神戸市垂水区、代表理事:北野貴大、以下「同研究所」)は、2026年9月9日、「キャリアブレイク白書2026(社会的影響編)」を発行します。

キャリアブレイクは、「働くことを中断する」という個人の選択です。しかし、その選択が社会に広がったとき、何が起こるのでしょうか。

今回の白書では、キャリアブレイクが文化として根付いた先に生じうる社会的影響に着目。これまでの調査と、多様なステークホルダーへのインタビューをもとに、個人の「立ち止まる選択」が、雇用促進、地方創生、企業の人材定着、イノベーション、メンタルヘルス、孤独・孤立対策など、社会課題へ連鎖的につながっていく可能性を可視化しました。

本研究は、オスロ建築デザイン大学(AHO)修士研究員のエーグヘンリクセン翠氏との共同研究として実施。北欧発の社会課題へのデザインアプローチ「システムオリエンテッドデザイン(Systems Oriented Design)」を用いて、キャリアブレイクを取り巻くステークホルダーと、そこから生じうる影響を体系的にマッピングしました。


35人に1人、約147万人がキャリアブレイクを経験

キャリアブレイクは、造語ではなく、欧州文化として存在してきた考え方です。

その定義は「今まで中心的に活動してきたキャリアの役割を手放すことによって、新しいキャリアの役割に向けて人生と社会を見つめなおしている期間」としています。

日本でも、すでに一定数の人がキャリアブレイクを経験しており、キャリアブレイク研究所が2025年に行った調査・推計では、常用労働者の35人に1人、約147万人がキャリアブレイクを経験していることが示されています。

本白書では、このようにすでに存在している「仕事から離れて人生を見つめ直す時間」が影響を及ぼす、社会の関係者を可視化しました。


キャリアブレイクを取り入れ始めた社会

影響を受ける関係者の中には、キャリアブレイクを取り入れ始める人たちもいます。取り入れ始めた関係者への調査から見えてきたのは、キャリアブレイクのような「立ち止まる時間」が、必ずしも社会や経済を停滞させるものではないということです。ここでは、2つの地方自治体の事例を紹介します。

北九州市|「働くために、まず立ち止まる」

引用元:https://careerbreak-lab.com/journal/0lck-r0euoqn/

1つ目の事例は、北九州市の女性のコミュニティ形成支援事業です。一般的に「雇用促進」と聞くと、「働こう」「仕事を見つけよう」と働く方向へ人を促すことをイメージします。しかし北九州市の事業では、女性が主体的に働くための土台として、あえて「立ち止まる」時間を取り入れていました。仕事を急いで探すのではなく、自分自身やこれからの生き方を見つめ直す。「働くことを促すために、まず立ち止まる」。この一見すると逆方向に見えるアプローチが、主体的な就労につながる可能性を持っています。

徳島県牟岐町|「仕事から離れた人」が地域にやってくる

引用元:https://careerbreak-lab.com/journal/49tt676uc65f/

2つ目の事例は、徳島県牟岐町です。地域で暮らしながら、自分自身や地域との関係を見つめ直す「暇留学」の取り組みを実施しています。仕事から離れた時間を使って、観光ではなく地域の暮らしに入り込む。キャリアブレイク中の人にとっては「立ち止まる時間」でも、地域にとっては、新しい人との接点になります。キャリアブレイク中の旅行や地域活動、移住体験は、地域との新しい関係を生み出し、関係人口や地方創生につながる可能性があります。


キャリアブレイクがもたらしうる「4つの社会的影響」

今回の白書では上記のようなヒアリングから、キャリアブレイクが文化として根付いた際に生じうる社会的影響をマッピングし、さらに4つのテーマに分類しました。

1.個人の主体性を再起動する社会へ

キャリアブレイクを通じて一人ひとりが自分の意志を取り戻すことで、主体性が向上する可能性があります。

さらに、役職定年・定年・早期退職などを「キャリアの終わり」ではなく「見つめ直しの時間」と捉えることで、ミドル・シニア世代の再活躍にもつながる可能性が示されています。

2.人の動きで地域と社会を再生へ

キャリアブレイク中には、肩書きを外した出会いや、旅、地域活動などが生まれます。

こうした時間がサードプレイスの活性化や関係人口の形成につながり、都市から地域への新しい人の流れを生み出す可能性があります。

3.出入りを前提とした社内風土へ

「一度会社を離れたら戻れない」という前提から、「離れて、また戻る」ことを前提とした組織へ。

キャリアブレイクという選択肢が社会に広がることで、女性活躍、DE&I、人的資本経営、育児・介護との両立などにも影響を及ぼす可能性があります。

4.立ち止まれる健全な社会へ

限界に達してから離脱するのではなく、その手前で自ら立ち止まる。

キャリアブレイクが文化として認められることで、メンタル不調や自死の予防、健康経営、孤独・孤立対策など、限界の手前で自分を見つめ直すための社会的なセーフティネットになり得ます。


北欧発の「システムオリエンテッドデザイン」で社会への連鎖を可視化

今回の研究では、オスロ建築デザイン大学(AHO)で体系化された「システムオリエンテッドデザイン(Systems Oriented Design / SOD)」を研究手法として採用しました。

SODは、個別の製品や施策だけを見るのではなく、関係するステークホルダー、要素、相互作用を「システム全体」として捉え、複雑な社会課題の構造を可視化するデザインアプローチです。

キャリアブレイク研究所と、オスロ建築デザイン大学修士研究員であるエーグヘンリクセン翠氏が共同で、キャリアブレイクを取り巻く関係者と、その間に生じる影響をマッピングしました。


本白書は「答え」ではなく、社会への影響を探る最初の一歩

なお、本白書はキャリアブレイクによる社会的影響の因果関係を実証したものではありません。キャリアブレイクが文化として根付いたとき、どのような事象が連鎖し、社会にどのような影響を及ぼしうるのか。これまでの定性調査と多様なステークホルダーへのインタビューをもとに、その可能性と構造を社会システムとして可視化したものです。

本白書を、キャリアブレイクの社会的影響を探る「最初の一歩」と位置づけ、今後は今回可視化した仮説について、さらなる調査・検証を重ねていきます。


『キャリアブレイク白書2026(社会的影響編)』の引用や利用について

当リリースで公開の『キャリアブレイク白書2026(社会的影響編)』は、引用・使用・利用することが可能です。「出典:一般社団法人キャリアブレイク研究所」と明記してください。

ご不明点や、取材、調査段階でのお問い合わせや質問等がございましたら、下記お問い合わせ先までご連絡ください。


共同研究者コメント

オスロ建築デザイン大学 修士研究員/Niwashi.no エーグヘンリクセン翠

キャリアブレイクの文化が根付いた先に、社会がどうなっているのか。本研究では、キャリアブレイクをとる当事者への影響だけではなく、文化として根付くことで生じうる事象同士の関係性に着目しました。

その結果、持続的な組織づくり、地方創生・関係人口の形成、医療や教育の仕組みの再設計など、直接的には想起しにくいスケールでの影響が見えてきました。

まだ可視化しきれていない事象や、批判的に検証すべき点もあります。それでも、キャリアブレイクによって「立ち止まることのできる社会」から生まれる価値やイノベーションに期待しています。

キャリアブレイク研究所 代表理事コメント

大阪公立大学大学院 経営学研究科附属イノベーティブシティ大阪ラボ 特別研究員

一般社団法人キャリアブレイク研究所 代表理事 北野貴大

私たちは、キャリアブレイクが文化になることを目指しています。立ち止まって、人生と社会を見つめ直す時間を持ち、また歩み始めることが、当たり前の選択肢になっている社会です。

キャリアブレイクが文化になると、個人の心にゆとりが生まれ、人と人との関係や、地域、企業、社会全体にも広がり、社会の「うるおい」になっていくのではないか。今回のレポートでは、システミックデザインという手法を用いて捉え、キャリアブレイクが社会にもたらしうる影響の一端を可視化しました。

まだ、キャリアブレイクという文化は形成の途上です。だからこそ私たちは、その先にどんな社会をつくれるのかを考えながら、これからも研究と実践を続けていきます。


調査・研究概要

名称

 キャリアブレイク白書2026(社会的影響編)

研究主体

 一般社団法人キャリアブレイク研究所

共同研究者

 オスロ建築デザイン大学(AHO)修士研究員  エーグヘンリクセン翠氏

研究手法

 システムオリエンテッドデザイン(Systems Oriented Design / SOD)

研究内容

 「キャリアブレイク白書2025」によって把握したキャリアブレイク経験者の行動・実態を起点に、キャリアブレイクによって影響を受けるステークホルダーを整理。関係者へのインタビューを行い、そこで得られた事象と関係性をマッピングし、キャリアブレイクが文化として根付いた際に生じうる社会的影響を可視化しました。

発行日

 2026年9月9日

資料デザイン

 原真紀子


一般社団法人キャリアブレイク研究所について

2022年設立。「キャリアブレイクを文化に」を理念に、国内外の研究者・実践者・企業・自治体と連携し、調査研究・出版・研修・コミュニティ運営を行う。単著で「キャリアブレイクという選択肢(KADOKAWA)」、共著で「キャリアブレイク(千倉書房)」を刊行。

法 人 名 :一般社団法人キャリアブレイク研究所

所 在 地 :兵庫県神戸市垂水区塩屋町4-10-11

設   立 :2022年10月

代 表 理 事 :北野貴大

社 員 数 :3人

事 業 内 容 :キャリアブレイクに関するコンテンツ制作、企業研修など

ホームページ :https://careerbreak-lab.com/

問い合わせ先 :https://tayori.com/form/a0744cfbeb27167b2b9f8f0b108d5f09f9788925/

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会社概要

URL
https://careerbreak-lab.studio.site
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
兵庫県神戸市垂水区塩屋町4-10-11
電話番号
090-5672-1230
代表者名
北野貴大
上場
未上場
資本金
-
設立
2022年10月