衛星データ等の変化を検知し、南シナ海で新たな埋め立て等を確認
直近に撮像された衛星データ等を活用してリアルタイムに近い形で多角的に分析

株式会社New Space Intelligence(本社:山口県宇部市、CEO:長井裕美子、以下 NSI)は、株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)と実施した衛星データ等を活用した分析の結果、南シナ海のバーク・カナダ礁南西部に、新たな埋め立て・施設建造を確認しました。この成果は、衛星データ等を活用したインテリジェンス・サービス開発の一環として実施した南シナ海の島しょ部における変化状況分析に関するPoC(概念実証)によるもので、埋め立て等に関与した可能性のある船舶の存在も明らかにすることができました。
1. PoC実施の経緯
不確実性・不透明性の高い世の中では、客観的エビデンスに基づいた意思決定に資する情報(インテリジェンス)が不可欠です。衛星などの空間情報に基づくインテリジェンスへのニーズはますます拡大傾向にあります。
NSIは、複数の衛星データを対象に、画像の選択・統合・解析・提供といった一連のプロセスを「パイプライン」として自動化する技術を有し、またMRIは衛星データ利用の社会実装に向けた調査検討や実証の実績のほか、安全保障分野に関する実績・知見が豊富にあります。こうした互いの強みを活かし、NSIとMRIは現在、衛星データ等を活用した国内外向けインテリジェンス・サービスの開発に取り組んでいます。2024年のPoCでは、過去の衛星データを用いて島しょの埋め立て活動等に伴う地形の変化の検知が可能であること等を確認しました。
2. PoCの成果と開発中のサービスの特長
今回のPoCでは2024年のPoCから発展させ、報道等で言及されていない南シナ海の島しょ部における埋め立て・施設建造状況の検知と、それらに関与した船舶の特定等を目指した検証を行いました。具体的には、分析対象の島しょを選定した後[1]、衛星データ[2]やAIS(Automatic Identification System:船舶自動識別装置)データ[3]などを組み合わせ、リアルタイムに近い形で多角的に分析しました。
その結果、バーク・カナダ礁南西部で新たな埋め立て・施設建造を確認するとともに、これまで報道されていない本活動に関与した可能性のある船舶の存在を明らかにできました。この技術やノウハウを用いることで、南シナ海以外の島しょ部でもそこでの変化とそれに関係する船舶の動静を明らかにできる見込みです。
既存の類似サービスは、人が衛星画像を目視で確認し、変化を判断するものが多いのに対し、現在NSIとMRIが開発中のサービスは、さまざまなインデックス(観測データの変化指標)を用いて機械的に広域の変化を捉える特長があります。これにより、お客さまの関心エリア(島しょ部等)の変化やリスク予兆を効率的に把握できるようになります。詳細はレポート全文のPDFファイルをご参照ください。
3. 今後の予定
本PoCを通じて得られた成果等を踏まえ、両社は分析対象地域を南シナ海以外の地域に拡大した上で、引き続き各種地理空間情報を活用し、海外情勢の把握やインフラの状況監視、被災状況の把握、海上物流・サプライチェーンのリスク分析等、多様な分野で役立つサービスの開発を進めていきます。
[1] 分析対象の島しょは、サビナ礁、セカンド・トーマス礁、バーク・カナダ礁、ピアソン礁
[2] 光学衛星データ(分解能10mおよび0.3m)を使用
[3] AISデータはKpler社提供
参考:
株式会社三菱総合研究所(MRI)概要
会社名:株式会社三菱総合研究所
所在地:東京都千代田区永田町二丁目10番3号
代表者:籔田健二
設立:1970年5月8日
資本金:6,336万円
事業内容:シンクタンク・コンサルティングサービス ITサービス
関連情報
→New Space Intelligence、三菱総合研究所と事業連携(ニュースリリース 2023.12.25)
→衛星データ等の変化を検知し、南シナ海で新たな埋め立て等を確認(MRIニュースリリース 2025.10.29)
本件に関するお問い合わせ先
株式会社New Space Intelligenceへのお問い合わせ
info@newspaceint.com
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