「BCPが機能しない企業」は何が足りないのか?~1,000名調査が明かす課題と解決策~
リスクマネジメントコンサルティングを手掛けるニュートン・コンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:副島 一也)は、BCP(事業継続計画)策定済みの企業に所属する方1,000人を対象に、BCPの現状と課題を調査しました。
1.調査の背景
日本のBCPの策定率は、着実に向上しています(※)。しかし、大規模地震や富士山噴火、異常気象などといったさまざまなリスクに日々さらされている企業においては、策定率だけに目を向けるのではなく、「実効性」という観点から定期的にBCPの現状を捉え直す必要があります。
本調査では、BCP策定内容や活動とともに、その実効性に関する状況と意識を調べ、有事に際して「本当に機能するBCP」には何が必要なのかを考察しました。
※ 内閣府「令和5年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」
▼調査レポートの詳細は以下をご覧ください。
https://www.newton-consulting.co.jp/download/bcp2025_report.html

2.調査結果サマリー
01. BCPが機能すると思っているのは半数以下
02. BCPが機能しない組織は“ヒト”、機能する組織は“モノ”が課題
03. 実効性にはトップの危機意識・訓練・企業風土が欠かせない
01. BCPが機能すると思っているのは半数以下
BCP策定済みの企業に所属する回答者のうち、想定内の危機でBCPが「機能する」と回答した割合は、昨年と変わらず48%と半数以下にとどまりました。
自社のBCPは想定する危機が発生した際に機能すると思いますか?(全体)

さらに、自社のBCPが機能するかどうかという回答を役職別に見ると、経営者・役員は59%、BCP事務局は65%が「機能する」と答えている一方で事業部門は45%と、役職や部門ごとに大きな実感の差があることがわかりました。
自社のBCPは想定する危機が発生した際に機能すると思いますか?(役職別)

また、想定外の危機でBCPが「機能する」と回答した割合は27%にまで下がっています。
自社のBCPは想定外の危機が発生した際に機能すると思いますか?(全体)

02. BCPが機能しない組織は“ヒト”、機能する組織は“モノ”が課題
BCPの課題についての設問では、BCPが機能しない組織と機能する組織とで、正反対の傾向が見られました。
BCPが機能しない組織では「経営陣の取り組み意識が低い」、「社員の取り組み意識が低い」などヒトに関する課題が上位を占め、BCPが機能する組織では「代替生産・開発拠点がない」「重要なITシステムに対する代替システムがない」といったモノに関する課題が上位を占めています。
赤色:ヒトに関する課題 青色:モノに関する課題
n=192(グラフ1-1で「そう思わない」「全くそう思わない」と回答した方)

赤色:ヒトに関する課題 青色:モノに関する課題
n=472(グラフ1-1で「強くそう思う」「そう思う」と回答した方)

03. 実効性にはトップの危機意識・訓練・企業風土が欠かせない
「有事に適切に動けるBCPに必要なもの」を尋ねた設問では、全体としては「従業員のへの教育」、「適切なBCP対策」、「平時からのトップの危機意識」という回答が上位にあがりました。
有事に適切に動けるBCPとなるには何が必要だと思いますか?(全体)[複数回答] n=1,000

次に、BCPが機能する組織に「有事に適切に動けるBCPに必要なもの」を尋ねたところ、全体の回答とは異なり、上位から「現場からの権限移譲」、「BCPなど直接利益を生まない活動を重要と捉える企業風土」、「平時からのトップの危機意識」、「対象者への訓練」という回答が続きました。BCPが機能する組織は、企業風土や訓練が必要だと考えていることがわかっています。
▼調査レポートの詳細は以下をご覧ください。
https://www.newton-consulting.co.jp/download/bcp2025_report.html
3.まとめ
自社のBCPが想定する危機で「機能する」と回答した割合は、昨年同様48%と半数以下にとどまりました。さらに、役職別での内訳を見ると、経営層やBCP事務局では「機能する」と感じる割合が約6割であるのに対し、事業部門では45%と、役職ごとの実感に大きな隔たりがあるという点においても、昨年と同じ傾向が見られました。さらに、想定外の危機では「機能する」と回答した割合は27%にまで下がっています。
また、BCPにおける課題については、BCPが機能しない組織と機能する組織とで顕著な違いがありました。BCPが機能しない組織は、経営層や従業員の取り組み意識など“ヒト”に関すること、BCPが機能する組織は、拠点やシステムの代替手段など“モノ”に関することが課題であることが明らかになっています。
さらに、BCPが機能する組織は、BCPの実効性に「企業風土」や「トップの危機意識」、「訓練」が必要だと考えていることがわかりました。教育やBCP対策も必要なことではありますが、それだけでは機能するBCPにはなり得ないと考えられます。
BCPは有事が発生しないとその真価を発揮しないものであり、有事が起きることは稀であるが故、形骸化しやすく、活動を継続しないと実効性は失われていくといえるでしょう。BCPの策定率が一定の改善を見せている今だからこそ、「有事に真に機能するBCP」を追求する必要があります。実効性のあるBCPが評価される社会の実現に向けて、本調査が少しでも役に立つことができれば幸いです。
注)数字の合計はパーセンテージの端数処理のために100%にならない場合があります。
【調査概要:BCPの策定内容・活動(事実)と実効性(真実)に関する状況・意識調査】
調査対象者:BCPを策定している企業で、自社のBCP関連業務に携わっている方
サンプル数:1,000名
調査方法:ウェブアンケート
調査期間:2024年11~12月
調査結果の詳細:https://www.newton-consulting.co.jp/download/bcp2025_report.html
【ニュートン・コンサルティング株式会社 概要】
https://www.newton-consulting.co.jp/
社名 :ニュートン・コンサルティング株式会社
所在地 :東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビルディング5F
設立 :2006年11月13日
資本金 :30,000,000円(2024年12月末時点)
代表者 :代表取締役社長 副島 一也
事業内容:リスクマネジメントに関わるコンサルティング
【サポート実績】
内閣府、内閣サイバーセキュリティセンター、経済産業省、一般社団法人全国銀行協会、東京ガス株式会社、三菱商事株式会社、積水化学工業株式会社、武田薬品工業株式会社、ヤフー株式会社、デル・テクノロジーズ株式会社、他、約2,100社の支援実績を有する
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