オリンピックで最も目立つランニング・シューズを履いているのは・・・?
FEI プレスリリース
2016年8月24日 リオデジャネイロ(ブラジル)
オリンピックで最も目立つランニング・シューズを履いているのは・・・?
リオ2016オリンピック競技で明らかに最速のランニング・シューズは、そのシューズを履いているのは、オリンピックで唯一の四足のアスリートである馬たちです。
欧州ではかかとを上に向けて幸運を呼び寄せ、アジアではかかとを下に向けて悪運を追い払うと考えられていますが、いずれにしろ馬の靴である蹄鉄は世界中で幸運のしるしとされています。そして、リオで最も勤勉なシューフィッターは、英国人およびブラジル人から成る装蹄師のチームであり、デオドロ地区のオリンピック馬術センターで、恵まれた競技馬たちの蹄鉄を良好な状態に保つため、24時間態勢で働いています。
ライダーたちのシューズ同様、競技馬にも手作りの蹄鉄を使うか既製品にするかの選択権がありますが、リオ・オリンピック出場馬ともなると、最高水準の演技を見せるため、特注品を装着しています。
これらの蹄鉄には様々な種類があります。平たいもの、先細りのもの、足全体を包み込むハート・バー蹄鉄、地面を強くつかむための鋲がついたものなどです。また衝撃を和らげるためにジェル・パッドがついたものまであります。
馬たちに靴ひもはありません。鉄またはアルミニウム製の蹄鉄を釘で打ち込むのです。
馬の足に最も適した形にするよう、蹄鉄は赤熱する800度まで熱し、鉄床の上で正確な形に整えます。温度が下がったら、足に押しつけ、形が最適であることを確かめたら、バケツの水で冷やします。それから、ひづめに釘づけします。ひづめは厚さ10ミリもある爪のようなもので、感覚がありません。この作業はペディキュアとシューフィッティングをセットにしたようなものです。
アルミ製の蹄鉄を接着する方法もあり、2分で固まる特殊な接着剤を使います。敏速さと正確さを要求される作業であり、非常に専門的な仕事です。この方法でオリンピック装蹄師チームが再装着した馬のうちの一頭が金メダルを獲得しました。
また一見すると装飾的な効果とみられますが、実は重要な役割を演じるものがあります。例えば馬の足をケアする銅被覆した抗菌性の釘です。
陸上競技やフットボールの選手同様、地面へのつかみがカギを握る場合に、鋲打ちした蹄鉄以外の手段はありません。馬用には、様々なグラウンド・コンディションに応じた様々な長さと形の鋲が大量に取り揃えられています。リオ2016の主任装蹄師Jim Blurton 氏(57歳)によると、「鋲の選定はF1レースにおけるタイヤの選定と同じくらい重要です」ということです。
前世界チャンピオンのBlurton氏は英国ウェールズ出身。 三世代にわたる装蹄師一家の出で、英国の5人の装蹄師チームをまとめます。氏の右腕のBen Benson 氏 (36歳) は装蹄師として二代目で、来月のパラリンピックでは主任装蹄師を務めます。両氏は鍛冶工場代表のEmma Cornish氏 (41歳)とともに、2012年のロンドン五輪に参加しました。英国側装蹄師チームの他の顔ぶれは、Ed Dailly氏 (26歳)、 Craig D’Arcy氏 (48歳)、 Dean Bland氏 (45歳)の3人です。
リオ2016五輪の主任装蹄師Jim Blurton氏。撮影: FEI/Arnd Bronkhorst) – 一連の写真をすべてご覧になるには http://goo.gl/hceXqy で。パスワードは fei2016
これらの装蹄師を統括するのが、オリンピック、パラリンピックの両方で装蹄業務調整の任に当たるLuiz Tenorio氏 (44歳)です。リオ2016の鍛冶工場を設計・装備した Tenorio氏はリオデジャネイロで生まれ育ち、自ら進んで装蹄師となりました。同氏の責務は、馬がいる場所ならどこにでも装蹄師がいて、蹄鉄の交換が必要であれば、たとえ競技開始の直前でも、交換できるようにすることです。
Blurton氏は言います。「大物の競技馬は専属の装蹄師を連れてきます。オリンピック出場馬のすべては、事前に形を合わせたスペアの蹄鉄が一組用意されているため、蹄鉄がひとつなくなっても、形が合うものをチームが作ることができます。2012年のロンドン五輪では、障害競技が始まる10分前のウォームアップ中に、蹄鉄をなくした馬がいました。私たちはその馬を7分で競技場にもどしてやりましたが、これは自動車レースで言えば、ピットストップが3.5秒しかかからなかったぐらいすごいことなのです」。
Tenorio 氏はブラジル人の装蹄師チームも選定しました。チームにはボランティアの装蹄師が13人含まれています。オリンピック伝来のプログラムに従い、毎日のスケジュールには、講義と一対一の訓練が組み込まれており、経験が浅いブラジル側の装蹄師が、とくに矯正目的の装蹄法について、知識を得られるようになっています。
Luiz Tenorio氏は, リオ2016オリンピック、パラリンピックの両方で装蹄業務調整を担当 (撮影: FEI/Arnd Bronkhorst) – 一連の写真をすべてご覧になるには http://goo.gl/hceXqy で。パスワードはfei2016
これはブラジルにとっては大きな財産ですが、世界にとっても財産となります。国家チームの装蹄師とリオ2016のチームがほとんど毎日、鍛冶場で顔を合わせて、業界の変化について語り合うのですから。馬術競技が進歩すれば、より多くの競技馬を生み出すための馬の繁殖術も進歩し、それにより蹄鉄と装蹄師に対する需要も高まります。このような会合では、最高水準での知識の交換ができるのです。
装蹄術は、体重が500-600キログラムもあり、それぞれが意志を持つ馬たちを相手にする、肉体を酷使する仕事です。そこで、オリンピック競技全体の中で唯一、男女が互いに戦う馬術のために働く装蹄師の世界で、男女同権はどうなっているのでしょう。男性ほど数が多くはありませんが、女性の装蹄師もいます。女性の装蹄師はからだの強さで劣る部分があったにしても、素早さや、気まぐれな馬を扱う能力に長けている傾向があります。
けが人は出るでしょうか。Jim Blurton によると、「私は3回足の骨を折り、背骨も1回折りましたが、いずれも装蹄作業とは無関係です。つま先を折るのはしょっちゅうだし、仕事の初日から腰痛に悩まされます。ずっとかがんでいるのですが、慣れますし、背中と腕は筋肉隆々になります。ただ、仕事から得られる満足感は格別です。装蹄師は合法的に馬の能力を強化しているのだと私は思います」。
2016年8月24日 リオデジャネイロ(ブラジル)
オリンピックで最も目立つランニング・シューズを履いているのは・・・?
リオ2016オリンピック競技で明らかに最速のランニング・シューズは、そのシューズを履いているのは、オリンピックで唯一の四足のアスリートである馬たちです。
欧州ではかかとを上に向けて幸運を呼び寄せ、アジアではかかとを下に向けて悪運を追い払うと考えられていますが、いずれにしろ馬の靴である蹄鉄は世界中で幸運のしるしとされています。そして、リオで最も勤勉なシューフィッターは、英国人およびブラジル人から成る装蹄師のチームであり、デオドロ地区のオリンピック馬術センターで、恵まれた競技馬たちの蹄鉄を良好な状態に保つため、24時間態勢で働いています。
ライダーたちのシューズ同様、競技馬にも手作りの蹄鉄を使うか既製品にするかの選択権がありますが、リオ・オリンピック出場馬ともなると、最高水準の演技を見せるため、特注品を装着しています。
これらの蹄鉄には様々な種類があります。平たいもの、先細りのもの、足全体を包み込むハート・バー蹄鉄、地面を強くつかむための鋲がついたものなどです。また衝撃を和らげるためにジェル・パッドがついたものまであります。
馬たちに靴ひもはありません。鉄またはアルミニウム製の蹄鉄を釘で打ち込むのです。
馬の足に最も適した形にするよう、蹄鉄は赤熱する800度まで熱し、鉄床の上で正確な形に整えます。温度が下がったら、足に押しつけ、形が最適であることを確かめたら、バケツの水で冷やします。それから、ひづめに釘づけします。ひづめは厚さ10ミリもある爪のようなもので、感覚がありません。この作業はペディキュアとシューフィッティングをセットにしたようなものです。
アルミ製の蹄鉄を接着する方法もあり、2分で固まる特殊な接着剤を使います。敏速さと正確さを要求される作業であり、非常に専門的な仕事です。この方法でオリンピック装蹄師チームが再装着した馬のうちの一頭が金メダルを獲得しました。
また一見すると装飾的な効果とみられますが、実は重要な役割を演じるものがあります。例えば馬の足をケアする銅被覆した抗菌性の釘です。
陸上競技やフットボールの選手同様、地面へのつかみがカギを握る場合に、鋲打ちした蹄鉄以外の手段はありません。馬用には、様々なグラウンド・コンディションに応じた様々な長さと形の鋲が大量に取り揃えられています。リオ2016の主任装蹄師Jim Blurton 氏(57歳)によると、「鋲の選定はF1レースにおけるタイヤの選定と同じくらい重要です」ということです。
前世界チャンピオンのBlurton氏は英国ウェールズ出身。 三世代にわたる装蹄師一家の出で、英国の5人の装蹄師チームをまとめます。氏の右腕のBen Benson 氏 (36歳) は装蹄師として二代目で、来月のパラリンピックでは主任装蹄師を務めます。両氏は鍛冶工場代表のEmma Cornish氏 (41歳)とともに、2012年のロンドン五輪に参加しました。英国側装蹄師チームの他の顔ぶれは、Ed Dailly氏 (26歳)、 Craig D’Arcy氏 (48歳)、 Dean Bland氏 (45歳)の3人です。
リオ2016五輪の主任装蹄師Jim Blurton氏。撮影: FEI/Arnd Bronkhorst) – 一連の写真をすべてご覧になるには http://goo.gl/hceXqy で。パスワードは fei2016
これらの装蹄師を統括するのが、オリンピック、パラリンピックの両方で装蹄業務調整の任に当たるLuiz Tenorio氏 (44歳)です。リオ2016の鍛冶工場を設計・装備した Tenorio氏はリオデジャネイロで生まれ育ち、自ら進んで装蹄師となりました。同氏の責務は、馬がいる場所ならどこにでも装蹄師がいて、蹄鉄の交換が必要であれば、たとえ競技開始の直前でも、交換できるようにすることです。
Blurton氏は言います。「大物の競技馬は専属の装蹄師を連れてきます。オリンピック出場馬のすべては、事前に形を合わせたスペアの蹄鉄が一組用意されているため、蹄鉄がひとつなくなっても、形が合うものをチームが作ることができます。2012年のロンドン五輪では、障害競技が始まる10分前のウォームアップ中に、蹄鉄をなくした馬がいました。私たちはその馬を7分で競技場にもどしてやりましたが、これは自動車レースで言えば、ピットストップが3.5秒しかかからなかったぐらいすごいことなのです」。
Tenorio 氏はブラジル人の装蹄師チームも選定しました。チームにはボランティアの装蹄師が13人含まれています。オリンピック伝来のプログラムに従い、毎日のスケジュールには、講義と一対一の訓練が組み込まれており、経験が浅いブラジル側の装蹄師が、とくに矯正目的の装蹄法について、知識を得られるようになっています。
Luiz Tenorio氏は, リオ2016オリンピック、パラリンピックの両方で装蹄業務調整を担当 (撮影: FEI/Arnd Bronkhorst) – 一連の写真をすべてご覧になるには http://goo.gl/hceXqy で。パスワードはfei2016
これはブラジルにとっては大きな財産ですが、世界にとっても財産となります。国家チームの装蹄師とリオ2016のチームがほとんど毎日、鍛冶場で顔を合わせて、業界の変化について語り合うのですから。馬術競技が進歩すれば、より多くの競技馬を生み出すための馬の繁殖術も進歩し、それにより蹄鉄と装蹄師に対する需要も高まります。このような会合では、最高水準での知識の交換ができるのです。
装蹄術は、体重が500-600キログラムもあり、それぞれが意志を持つ馬たちを相手にする、肉体を酷使する仕事です。そこで、オリンピック競技全体の中で唯一、男女が互いに戦う馬術のために働く装蹄師の世界で、男女同権はどうなっているのでしょう。男性ほど数が多くはありませんが、女性の装蹄師もいます。女性の装蹄師はからだの強さで劣る部分があったにしても、素早さや、気まぐれな馬を扱う能力に長けている傾向があります。
けが人は出るでしょうか。Jim Blurton によると、「私は3回足の骨を折り、背骨も1回折りましたが、いずれも装蹄作業とは無関係です。つま先を折るのはしょっちゅうだし、仕事の初日から腰痛に悩まされます。ずっとかがんでいるのですが、慣れますし、背中と腕は筋肉隆々になります。ただ、仕事から得られる満足感は格別です。装蹄師は合法的に馬の能力を強化しているのだと私は思います」。
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