医師の働き方改革で医師採用の重要度が増加「1年以内に必ず医師採用をしたい」と答えた医療機関は54%
「医師の働き方改革」による医師の時間外労働の上限規制により、診療体制の穴を埋めるために医師採用に踏み切る医療機関が増加
登録している医師会員数が33万人以上である、医療従事者専門サイト「m3.com」のデータベースを有するエムスリーグループで、医療人材ビジネスを展開するエムスリーキャリア株式会社(代表取締役:沼倉敏樹、本社:東京都港区)は、医療機関の事務長や院長など247名に向けて医師採用に関するアンケート調査を実施しました。
今回は、その調査結果を発表いたします。
調査概要
調査内容:今後の医師の採用予定/採用理由
期間:2024年2月2日~4月12日
対象:医師の働き方改革関連セミナー参加者
医師採用をしたいと考えている医療機関は回答者全体の83%
今後の医師の採用予定についての回答結果は以下のとおりでした。
54%の医療機関は「1年以内に必ず医師採用したい診療科目がある」と回答。
「急ぎではない」「良い医師がいれば」という温度感である回答も含めると、83%の医療機関が医師を採用したいと考えていることが分かります。
では、採用したい理由や背景はどんなものがあるのでしょうか。回答結果は以下のとおりでした。
最も多い回答が「体制強化(増員)」でした。
医師の働き方改革により、勤務医の時間外労働時間は制限され、これまでどおりの診療体制を維持することは困難になります。そのような背景もあり、各医療機関は早期の医師採用に動き出していることが予測されます。
医師の労働時間が限られることで、「業務への投入時間」は必然的に少なくなります。
何も対策をしていないと、最悪の場合は、一部診療科の縮小や救急受け入れの縮小・停止、入院患者の受け入れの縮小・停止などもあり得るのです。
そのため、以下の図のように、一人当たりの労働時間の適正化、つまり診療体制の維持のためには、業務量全体の負担を軽減するか、人材確保により業務への投入リソースを増やすか、いずれかのアプローチが重要になっています。
このような医師の働き方改革による医療機関への影響を鑑みると、医師採用の需要増加は当然の流れといえるでしょう。
しかし、一般的に求人倍率7〜8倍とも言われている圧倒的売り手市場であるのが医師の転職市場です。
転職を考えている求職医師が、転職によりどんなものを求めているのか、市場の動向をキャッチすることが重要です。
求職医師が新しい職場に求めているものとは
2023年11月〜12月と2024年1月〜2月の過去2回、現役医師に向けて実施したアンケート調査の回答結果を振り返ってみると、「転職した場合、新しい職場に求めること」に寄せられたコメントの集計結果は以下のようになりました。
転職で求めるものとして最も多く挙げられたのが「拘束時間の減少」「定時に帰宅しやすい配慮が欲しい」といったワークライフバランスにまつわるものでした。
次に多かったのが給与面で、給与に関するコメントの中でも「残業手当を出してくれる。労働基準法の遵守」「業務に見合った給与の確保」「残業代はきちんと算定してほしい」など、医師の働き方改革の対応にまつわるものも多くみられました。
そのほかにも、「業務範囲が明確に自分の能力の範囲内であること」「働いた時間を正当に評価していただくこと」などのコメントが寄せられており、医師からも医師の働き方改革への対応に注目が集まっていることがうかがえます。
医師の働き方改革の対応が求職医師へのアピールにも繋がる可能性も
求職医師が新しい職場で求めているものも、医師の働き方改革への対応にまつわるものが多かったことから、医師採用に動き出している医療機関は、求職医師に対して自院での取り組みをしっかりアピールすることが重要になってくるでしょう。
医師の働き方改革は、医療機関が行う一方的な改革ではなく、医師一人ひとりの働き方の適正化に向けた取り組みです。
是非、医療機関の皆様には、医師一人ひとりが働きやすい環境は何かを考え、医師とともに本当の意味での医師の働き方改革が実現できることを願っています。
エムスリーキャリアでの医師や医療機関とのやり取りは1日約2,000件にも及びます。
その中で見えてくる働き方改革のリアルな医師の思いや医療機関の動きなどを、”医師採用と病院経営”の視点で今後もお届けしていきます。
エムスリーキャリア株式会社
医療関連ビジネスを展開するエムスリー株式会社(東証プライム上場)、株式会社エス・エム・エス(東証プライム上場)により、2009年12月に設立したジョイントベンチャー。
「イキイキと働く医療従事者を一人でも増やし、医療に貢献する」をミッションとし、医師をはじめとする専門職と医療機関等のマッチング支援を中心に、事業を展開しています。
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