日本政府のデジタル接種証明書として「SMART® Health Cards」の採択が決定
12月13日に披露されたデジタル接種証明書アプリで使用
「公共財としてのデジタルインフラおよびサービス」の構築をミッションとするコモンズ・プロジェクト(TCP)が推進する医療データ記録のための国際基準「SMART® Health Cards」が、日本政府によって2021年12月20日より発行開始されるデジタル接種証明書の規格(国内用・海外用)として採用されました。
コモンズ・プロジェクト日本委員会
(事務局:公益財団法人国際文化会館)
SMART® Health Cardsはワクチン接種履歴や検査結果などの健康情報をデジタル記録するための国際規格で、TCPのほかApple、Microsoft、全米病院ランキング1位のメイヨークリニックなどテクノロジーと医療の分野をリードする組織がステアリングを務める官民連合「Vaccination Credential Initiative」が中心となって推進しています。
ユーザーが自らのデータを管理できること、スマホで安全にデータを保管できること、プライバシーが大切な医療情報を扱う上での国際標準(HL7 FHIR)を採択していることなどが大きな特徴です。新型コロナウイルス以外のワクチン接種証明にも活用でき、処方箋などほかの医療データへの汎用も可能です。
SMART® Health Cardsは、デジタルワクチン証明書の規格として、カナダ政府に正式採用され、米国ではデファクトスタンダードとなっていますが、このたび日本政府の決定により、北米と日本を繋ぐ大きな利用地域が出現し、アジア太平洋を横断する国際標準が誕生することになります。コロナ禍で多大な影響を受けている経済界、旅行業界、医療機関などからSMART® Health Cardsへの期待の声が寄せられています。
各界からの声
(一社)日本経済団体連合会 常務理事 長谷川 知子
日本政府によってワクチン接種証明書のデジタル化が進められていることを歓迎しています。グローバルに活躍する日本企業にとって、国境を越える移動制限措置はビジネスに甚大な影響を与えており、貿易投資を通じた世界経済の復興のためには、感染拡大防止と両立する形で安全な国境往来を実現することが急務です。また、国境往来の仕組みの構築にあたっても、真正性を担保でき、手続きを効率化できるデジタルの形式で管理することが重要です。ワクチン接種証明書のデジタル化が、国内外でシームレスに活用できるようなかたちで進められ、国際往来の加速やビジネスの再活性化に繋がることを期待しております。
在日米国商工会議所 会頭 ジェニファー・ロジャーズ
SMART® Health Cardsは、⽇本の経済や国際交流の最重要マーケットのひとつである北⽶において広く普及する国際標準で、⾼度な汎⽤性と、他システムとの相互運⽤性を有しています。米国ではすでに1 億 5 千万⼈以上の⽶国⺠がSMART® Health Cards の接種証明書を発⾏することが可能とされています。
新型コロナウイルスの変異種の出現などにより、社会経済活動の回復の遅れに対する懸念が⾼まっています。速やかで、安全な活動の再開には、ワクチン接種証明や PCR 検査証明のデジタル化が急務です。この点において、⽇本経済にとって極めて重要な国際往来の安全な再開を円滑に進めるためのデジタルワクチン証明書の基準のひとつとして SMART® Health Cards が採⽤されたことに、大きな期待を抱いております。
(一社)日本旅行業協会 理事長 志村 格 「デジタル証明書への期待」
7月に発行開始されたワクチン接種証明書がQRコードを付した形で改訂され、搭乗、入国など様々な手続きの迅速化に大いに役立つものと期待します。またスマートフォンを使用した電子申請、電子交付により、これまでのような窓口での手続きも不要となり、多くの人々が容易に取得可能となることで、人流の拡大にもつながるものと思います。SMART® Health Cardsの採用は、日本語表記もあることから国内での利用、そして北米からの訪日旅行者にも利用しやすく、国内の地域活性化にも大いに役立つものと旅行業界では期待しております。
国立国際医療研究センター 国際感染症センター長 大曲 貴夫
自身の健康に関連する情報は本来自分のものなのですが、実際には医療機関のカルテ等の中に分散して存在しており、自分で自由に取り出して活用することは出来ません。その結果大きな不便が生じています。健康に関する情報が自分自身の意志に基づいて様々な場で活用されれば、利点は大変大きいです。今回SMART® Health Cardsが日本政府の発行するワクチン証明書に採用されたことは、個人の健康に関する情報の標準化による利活用の利便性の向上という点で、期待できるものと考えます。
(一社)日本医療情報学会 代表理事 中島 直樹
COVID-19のデジタル証明は、国際的な移動のみならず、国内サービス利用やイベント参加などにも強力なニーズが存在します。一方、COVID-19は特別な疾患ではなく感染症の一種であり、単回の陰性証明に終わることなく、詳細情報(ワクチン種・履歴、検査種・結果、変異株種・罹患歴など)を状況に応じて有効に活用するべきです。基礎疾患や服用中の薬剤の相互影響も大きいでしょう。したがって、個人情報保護の観点からも、デジタル証明は、個人健康医療情報を管理するPHRの一機能とするべきです。現在厚労省が推奨するHL7 FHIRをベースとしたPHRに実装されることにより、PHRは強力なデジタル証明のニーズを得て普及発展が促進されます。同時に、デジタル証明は、その高機能化を果たすことが期待されます。
SMART® Health Cardsについて
ワクチン接種履歴や検査結果などの医療情報をデジタル記録するための、オープンで相互運用可能な国際標準です。ユーザーが自身の医療データをスマートフォンで管理し、その内容へのアクセスをコントロールするという原則に基づいているため、個人情報の保護に最大限配慮した仕組みとなっています。
証明書を提示された側も、SMART® Health Cardsに含まれる情報が変更されていないこと、また信頼できる機関から発行されたものであることを簡単に検証できます。
世界におけるSMART® Health Cardsの主な採用例
●アメリカ:SMART® Health Cardsは、連邦政府がデジタル証明書の公式規格を定めていないアメリカにおけるデファクト標準です。カリフォルニアやニューヨークなどの主要州を含む州政府、WalmartやCVSなど新型コロナワクチン接種やPCR検査を実施している大手ファーマシー、EpicやCernerの電子医療情報記録プラットフォームを利用する600以上の医療機関によって採用されています。
●カナダ:政府によって正式に採用されています。
●ニュージーランド:EU共通の枠組みであるEU DCC標準とあわせて、SMART® Health Cardsでワクチン証明書が発行される予定です。
●モバイルプラットフォームへの採用:Apple、Google、Samsungが、スマホにワクチン接種記録を保存するための規格としてSMART® Health Cardsを採用しています。
コモンズ・プロジェクトについて
米ロックフェラー財団の支援を受けて設立された非営利組織です(本部:スイス)。世界経済フォーラムとの連携のもと、人々が自らの健康情報にアクセス・管理することを可能にする「公共財としてのデジタルインフラおよびサービス」を構築・運営することをミッションに、米国をはじめ世界各国で活動しています。
日本では、2020年7月に国際文化会館内に事務局が設置されました。国際文化会館理事長の近藤正晃ジェームスはTCPグローバル副会長と評議員を、また同理事の宮田裕章氏(慶應義塾大学医学部教授)はTCPグローバル評議員と日本代表を務めています。
コモンズ・プロジェクト日本委員会
代表:
・宮田 裕章 (慶応義塾大学医学部 教授)
委員(ボードメンバー):
・大曲 貴夫 (国立国際医療研究センター 国際感染症センター長)
・近藤 正晃ジェームス (公益財団法人国際文化会館 理事長)
・塩崎 彰久 (弁護士)
・関 治之 (一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表)
・細田 直樹 (日本放送協会 制作局〈第2制作ユニット〉社会・文化 チーフ・プロデューサー)
・森 亮二 (弁護士法人英知法律事務所 パートナー弁護士)
・和田 照子 (一般社団法人日本経済団体連合会 国際経済本部長)
アドバイザー:
・新浪 剛史 (サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長)
・船橋 洋一 (一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ 理事長)
・村井 純 (慶應義塾大学 教授)
協力団体(パートナー):
(一財)アジア・パシフィック・イニシアティブ、(公社)経済同友会、在日米国商工会議所、(一社)新経済連盟、全日本空輸株式会社、定期航空協会、(公財)東京財団政策研究所、(一社)日本IT団体連盟、(一社)日本医療情報学会、(公社)日本観光振興協会、(一社)日本経済団体連合会、日本航空株式会社、日本商工会議所、(一社)日本旅行業協会、(一社)日本臨床検査医学会
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お問合せ:
コモンズ・プロジェクト日本事務局
国際文化会館 企画部
〒106-0032 東京都港区六本木 5-11-16
TEL: 03-3470-3211(土日祝日・年末年始を除く 9:00~17:00)
広報 TEL: 03-3470-9810(同上)
https://www.i-house.or.jp/programs/activities/tcp
※SMART® Health Cardsのロゴ使用に関しては、こちら(https://smarthealthit.org/smart-logo-for-smart-health-cards/)から直接管理者にお問い合わせください。
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