セルファイバ、細胞製造技術の開発に関して台湾Locus Cellとの協業を開始
〜 アジア最大級CDMOとの連携で細胞医薬品量産実現へ〜
・細胞治療・遺伝子治療で使われる細胞の大量製造を実現します。
・高回収率、高品質な大規模細胞製造方法を安価で提供します。
・台湾におけるセルファイバ技術の治験薬適用を通した社会実装への取り組みを加速します。
報道関係各位
2023年6月6日
株式会社セルファイバ
細胞量産技術開発スタートアップの株式会社セルファイバ(本社:東京都江東区、代表取締役:柳沢佑、安達亜希、以下「セルファイバ」)は、アジアにおいて最大規模のCDMO(※1)である楽迦再生テクノロジー株式会社(Locus Cell Co., Ltd.、本社:台湾、代表取締役:何弘能、以下「Locus Cell」)と、細胞製造技術開発ならびにアジア市場における事業展開を指向した基本合意書を締結しました。本提携は、以下のような形で社会貢献を実現します。
・細胞治療・遺伝子治療で使われる細胞の大量製造を実現します。
・高回収率、高品質な大規模細胞製造方法を安価で提供します。
・台湾におけるセルファイバ技術の治験薬適用を通した社会実装への取り組みを加速します。
提携に至った背景
がんをはじめとする疾患・障害の画期的な治療法として、細胞そのものを投与して治療効果を期待する「細胞医薬品」が注目されています。しかし、現状では、細胞の大量製造には様々な課題があり、希少かつ高額な細胞医薬品の適用はごく一部の患者に限られています。
セルファイバのコア技術「細胞ファイバ」は、上記の課題を乗り越えて高品質な細胞を大量に製造できる培養プラットフォーム技術です。ハイドロゲル(※2)でできた髪の毛ほどの太さのチューブに細胞を封入することによって、バイオリアクタ(※3)内で受けるシェアストレスから細胞を保護し、高密度細胞培養を可能にします。また、製造に必要な設備設置面積を大幅に縮小することができます。コスト削減と回収率の改善を実現し、研究レベルからスケールアップまで一貫した微小環境を提供し、プロセス開発を容易にします。
これまでにセルファイバは、細胞ファイバ技術をもちいた閉鎖培養系で、細胞医薬品の実製造スケールである100億個規模の細胞を製造できることを実証しました。
Locus Cellは、台湾の豊富な医療臨床資源と政府の全面的な支援を背景に、2020年に設立された企業で、海外から先進的な細胞治療製品や技術資源を導入し、アジア最大の細胞治療工場構築を目指しています。同社は、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T、※4)、iPS細胞、間葉系幹細胞(MSC、※5)、免疫細胞など、多彩な種類の細胞においてCDMOサービスを提供可能な生産技術プラットフォームを有しています。
提携の内容
セルファイバの培養技術とLocus Cellの細胞製造リソースの組み合わせにより、細胞医薬品の実製造プロセスにおいて、高品質な細胞の量産技術が適用できると期待されます。両社は以下の内容に合意しました。
・技術的提携のもと、台湾における臨床試験の実施にむけて協力する。
・顧客獲得にむけて協力する。
・相互の事業にとって必要な技術協力、ライセンシング協力を行う。
Locus Cell代表取締役 何弘能氏のコメント
今回のLocus Cellとセルファイバの国を超えたコラボレーションは、両社の専門知識と経験を融合したもので、将来的にはLocus Cell CDMOの技術プラットフォームに応用される可能性があります。 現在のセルファイバの技術では、従来プロセスにくらべて10倍以上の量のiPS細胞を、1/10のコストで製造することができます。
セルファイバ代表取締役社長 柳沢佑氏のコメント
Locus Cellとのパートナーシップをお知らせすることができ嬉しく思います。我々がこれまで開発してきた細胞培養技術とLocus Cellの経験が組み合わさることで、大規模細胞製造のグローバルスタンダードをつくる、という野心的な目標がまた一歩現実に近づきました。引き続き、製薬企業・バイオテックの良き製造パートナーとして、細胞製品の恩恵を世界の隅々まで届けることを目指していきます。
株式会社セルファイバについて(https://cellfiber.jp/ Twitter@ Cellfiber_JP, LinkedIn#CellFiber)
セルファイバは、東京大学で開発された細胞カプセル化技術「細胞ファイバ」をもとに、2015年に設立されたスタートアップです。これまでに同技術が細胞の大量製造に有効であることを実証し、国内外の製薬事業者と共同研究・共同開発を始めています。今後、さらなる技術開発により細胞医薬品のコスト削減を実現し、誰もが細胞治療に手の届く社会を目指します。
楽迦再生テクノロジー株式会社について(http://www.locus-cell.com/en.html)
日立グループ及び細胞治療CDMOで世界シェアNo.1のMinaris社の元CEOである古石和親博士と共同で設立された企業であり、台湾大学病院元院長何弘能が代表を務めています。新竹バイオメディカルパークにPIC/S GMP(※6)準拠の細胞工場を建設し、細胞製品のCDMOサービスを中心に事業を展開しています。海外から先進的な細胞治療製品や技術資源を導入し、台湾の豊富な医療臨床資源を活用して、アジア最大の細胞治療工場構築を目指しています。国内外の細胞メーカーからの受託製造を中心として、台湾と日本の協力という国際的なビジョンのもと、世界の再生医療サプライチェーンに参入し、台湾のバイオ産業と共同で医療の未来を創り出します。
用語解説
(※1)CDMO:Contract Development Manufacturing Organizationの略。製薬会社などから、医薬品の開発製造を受託・代行する企業。
(※2)ハイドロゲル:固体が水を吸い込んで膨潤し、それ自体に流動性がないもの。ゼリー、寒天、吸水性高分子などはハイドロゲルの一種。
(※3)バイオリアクタ: 細胞や微生物の培養に使用する容器や装置。
(※4)キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T):がん患者本人から採取され、体内のがん細胞を攻撃できるように遺伝子導入を行ったT細胞(免疫細胞の一種)。CAR-Tを用いたがん治療は、従来の化学療法では治癒が困難な血液がんに対して有効性が認められることから注目されている。
(※5)間葉系幹細胞(MSC):さまざまな種類の細胞に分化する能力を持った幹細胞の一種。組織再生や免疫調整等の作用を有し、MSCを用いた複数の細胞医薬品が上市されている。
(※6)PIC/S GMP:Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)の意であり、医薬品分野における国際的に調和されたGMP基準および査察当局の品質システムの開発・実施・保守を目的とした査察当局間の非公式な協力組織。
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