第8回高校生科学教育大賞 最優秀校は京都府立桂高等学校
バイテク情報普及会より、活動費用として80万円を支援
バイテク情報普及会は、持続可能な農業の実現や食料の安定供給への貢献を念頭に、バイオテクノロジーの重要性をご理解いただくため、様々な活動を行っております。その一環として、これからを担う高校生の皆様に「植物バイオテクノロジー」と「持続可能な農業」についてより深く学び考えるきっかけとしてもらうことを目的とした「高校生科学教育大賞」を2017年に創設しました。支援対象となる科学教育活動を公募し、採択校にはその活動費用として1校につき最大100万円の支援を行っています。
第8回となる本年は、全国各地の高等学校から合計17件の応募を頂きました。小野 道之氏(筑波大学 生命環境系 准教授)、小泉 望氏(大阪公立大学大学院 農学研究科 教授)、小島 正美氏(食生活ジャーナリストの会・前代表)、高島 賢氏(農林水産省 消費・安全局 農産安全管理課 審査官)の外部委員及びバイテク情報普及会 会員企業から成る選考委員会において、各校より提出された申請書類に基づき厳正な審査を重ねた結果、下記の高等学校を授賞校に選定し表彰するとともに、その活動を支援することを決定いたしました。
最優秀賞には、京都府立桂高等学校(京都市西京区)の「原種『フジバカマ』の茎頂培養によるウイルス除去と養液栽培システムの構築」が選ばれ、バイテク情報普及会より活動支援金として申請金額の全額である80万円が給付されます。秋の七草のひとつで、古来より人々に親しまれ文化的価値が高いフジバカマが絶滅寸前種であることから、ウイルスフリー株を作出して原種を保存することを目標にしたこの研究は、生物多様性や地域社会へ大きく貢献することが期待されます。また、得られたウイルスフリー株を簡易的に養液栽培で行えるシステムの構築や、一般市民への普及活動も考案されている点も高く評価されました。
また、特別優秀賞に選ばれた広島県立西条農業高等学校(広島県東広島市)の「遺伝子の発現の変化と関連づけて高温ストレス耐性をもつチンゲンサイの品種を創出する」には25万円、優秀賞の岡山県立高松農業高等学校(岡山県岡山市)「茎頂培養による和薄荷優良苗の育種と増殖並びにその活用と普及に関する研究」、栃木県立那須拓陽高等学校(栃木県那須塩原市)「植物間コミュニケーションによるダイズの生育の変化」にはそれぞれ20万円の活動支援金が給付されます。
【バイテク情報普及会 第8回高校生科学教育大賞 授賞校一覧】
最優秀賞 (申請金額の全額となる80万円を支援)
京都府立桂高等学校(京都府京都市西京区) 原種「フジバカマ」の茎頂培養によるウイルス除去と養液栽培システムの構築 |
選考理由: 秋の七草のひとつで、古来より人々に親しまれ文化的価値が高いフジバカマを絶滅から守ろうという目標が明確である。フジバカマはレッドリストに絶滅寸前種として掲載されており、ウイルスフリー株の作出により原種の保存は、生物多様性や地域社会への貢献度が大きい。加えて、得られたウイルスフリー株を簡易的に養液栽培で行えるシステムの構築や、一般市民への普及活動も考案されている点も高く評価された。 |
特別優秀賞(申請金額の一部となる25万円を支援)
広島県立西条農業高等学校(広島県東広島市) 遺伝子の発現の変化と関連づけて高温ストレス耐性をもつチンゲンサイの品種を創出する |
選考理由:高温に耐えるチンゲンサイの創出は地球温暖化の時代に合致するアイデア。高温ストレス耐性に関係する遺伝子の発現量と成長率の関連を調べながら、遺伝子的に耐性を獲得した個体を見つけるという手法はバイテク技術の基本を学ぶ上で貴重な学習成果になりうる。リアルタイムPCRを大学と連携して実施する計画も予定されており、バイオテクノロジーの学習の広がりが期待できる。 |
優秀賞 (申請金額の一部となる20万円を支援) ※順不同
岡山県立高松農業高等学校 (岡山県岡山市) 茎頂培養による和薄荷優良苗の育種と増殖並びにその活用と普及に関する研究 |
地域の特産品である和薄荷(ハッカ)を扱った活動計画であり、新しい商品の開発を通じて地域へ貢献できる。ハッカの未利用部分を活用した飼料添加物や害虫忌避剤の開発も大いに期待したい。地域や小中学校への出前授業やSNSを活用する広報活動も含まれており、多くの世代への積極的な情報発信を行う点も評価された。 |
栃木県立那須拓陽高等学校 (栃木県那須塩原市) 植物間コミュニケーションによるダイズの生育の変化 |
植物間のコミュニケーションというテーマが非常にユニーク。ダイズに他の植物の匂いをかがせたり、低周波発信機で音を聞かせたりして収量の変化を研究するもので、新規性、ニュース性が感じられる。周囲に植える植物や周波数の違いで狙った作物の生育が変わることが証明されれば、今後の食料生産の増加に結び付く研究成果となりうる。 |
審査員特別賞(1万円の図書券を進呈)※順不同
愛媛県立西条農業高等学校 青パパイヤソーラーシェアリングでの連作障害の克服に向けた取組 |
広島県立西条農業高等学校 養コオロギ副産物で土壌改良材開発 ~サーキュラー・バイオエコノミーの実現に向けて~ |
兵庫県立小野高等学校 香りを持つクロモジ類の分類学的研究 |
神奈川大学附属中・高等学校 ホップサステナビリティ |
詳細は下記のウェブサイトをご覧ください。
https://cbijapan.com/education/
▼バイテク情報普及会について
バイテク情報普及会(英名:Council for Biotechnology Information Japan、CBI Japan)は、植物科学やバイテク作物の開発企業で構成する国際組織「クロップライフ・インターナショナル(本部:ブリュッセル)」傘下の任意団体で、2001年10月1日に設立されました。本会は、「クロップライフ・インターナショナル」のビジョンである持続可能な農業の実現や食料の安定供給への貢献を念頭に、サイエンスベースで透明性ある許認可システムの構築を支援するための活動や幅広いステークホルダーの皆様にバイオテクノロジーの重要性をご理解いただくための広報活動を行っています。
会員企業(50音順):コルテバ・アグリサイエンス日本株式会社、コルテバ・ジャパン株式会社、
シンジェンタジャパン株式会社、バイエル クロップサイエンス株式会社、BASFジャパン株式会社
▼このリリースに関するお問い合わせ先
バイテク情報普及会 事務局
メール:secretariat@cbijapan.com
https://cbijapan.com/
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