多胎ママにとって本当に必要な支援をふたごハウス(活動拠点)で試行・検証する「育児ラボ」事業を開始します

WAM(独立行政法人福祉医療機構)助成を受け、多胎ママ支援の拠点(尼崎市・オンライン)でインパクト評価を伴う実証実験を実施、多胎家庭が本当に必要としている支援を明らかにし、その結果を行政・企業等に発信

NPO法人つなげる

多胎家庭の支援を行なうNPO法人つなげる(尼崎市 代表理事 中原美智子 以下「当団体」)は、WAM助成(独立行政法人福祉医療機構の社会福祉振興助成事業、期間2023年4月~2024年3月)の下、当団体の支援活動の拠点「ふたごハウス」(兵庫県尼崎市)において、インパクト評価を伴う実証実験を行う「育児ラボ」事業を2023年7月から開始します。本事業では、当団体のこれまでの経験とノウハウに基づき、多胎ママに対する様々な支援を実際に行い、得られた声に基づく評価を実施することで、多胎家庭にとって本当に必要な支援を明らかにします。得られた結果は広く発信し、行政・企業や他の支援団体と共有して様々な政策や連携につなげます。


  • 事業の背景

【多胎育児の困難さと社会的認知の低さ】

  多胎児(ふたごみつご等)を育てる多胎家庭は、育児負担が単胎の2倍・3倍以上になることも多く、単胎の場合とは異なる固有の困難がありますが、特別な助けが必要なことが十分に認知されていません。このため、母親あるいは他の養育者(以下「多胎ママ」)は無力感・閉塞感を深め、生活困窮やひきこもりの状態に陥りやすく、自殺や虐待のリスクも相対的に高まります。


【支援の機運の高まりと制度整備】

 こうした多胎育児家庭に対する支援の必要性は次第に認識され始め、厚生労働省でも事業化されるとともに(令和2年度から)、必要とされる支援の具体的な内容もわかってきました((一社)日本多胎支援協会「多胎育児家庭の虐待リスクと家庭訪問型支援の効果等に関する調査研究報告」(2017)等)。 必要な支援の中には、多胎ママ同士の仲間作りや気持ちの寄り添い・喜びの共有といった精神的なサポート、沐浴や離乳食時の介助、睡眠不足の解消、外出支援など、育児ヘルパーや多胎ピアサポーターが提供する日常生活での身近な支援も多く、こうした支援に対する公的支援も整えられてきています。


【本当に必要な多胎育児支援のニーズ】

  他方で、実際に行われている支援の多くは多胎家庭の実際の生活状況や多胎ママの心身の状態を踏まえておらず、本当に望まれる形では実施されていません。例えば沐浴の支援は重要ですが、各地の子育てひろばやサークル活動で簡単に提供できるものではありません。公的な支援制度にも含まれてはいますが、努力義務であるため必ずしも提供されず、されていても料金の高さなどから頻繁に利用できるものではありません。

 調査等で必要性が明らかになった支援は、実際の多胎家庭の状況を踏まえ、多胎ママの気持ちに寄り添った「本当に必要な」多胎育児支援として実施することが必要です。この意味での「本当に必要な支援」へのニーズは依然として残されたままです。そうした支援は、育児の様々なシーンごとに実際に試行し、検証を繰り返す中で初めて明らかになるものだと考えられます。


  • 事業の背景

【「育児ラボ」事業とは】

 こうした「本当に必要な多胎育児支援」の検証にむけて、当団体では2023年7月から、「育児ラボ」事業を開始します。

 本事業は、WAM助成(独立行政法人福祉医療機構の社会福祉振興助成事業、期間2023年4月~2024年3月)を受けて実施するもので、多胎ママに対する様々な支援を実際に試行・検証する中で、多胎家庭にとって「本当に必要な支援」を明らかにし、その結果を他の支援団体や行政・企業等と共有することを目的としています。

 「育児ラボ」事業は、当団体がこれまで実施してきたオンラインでの相談事業に加え、2023年3月に開設したリアルな拠点における対面での支援の試行・検証に基づき実施します。 検証は、実際の多胎育児の各シーンにおいて試行する支援に対し、支援を受けた多胎ママ自身からの評価を得ることによって行います。この評価は多胎ママのその場の声、インタビュー、アンケート等の形で収集していきます。得られた評価はインパクト評価のための分析を行ったうえで取りまとめ、リアル拠点からのSNSでの発信、ホームページや報告書等での発信や、各支援者との面談や勉強会の開催等を行うことで、他の団体や行政機関に結果を共有し、提案や意見交換を行ってまいります。

 より具体的には、本事業は以下の3つに分かれます。

1ふたごハウスでの対面支援実証実験

2オンラインでの個別相談

3事業内容および成果発信


【1ふたごハウスでの対面支援実証実験:①拠点における支援実施】

  本事業の柱は、当団体が開設した多胎ママの居場所となる拠点「ふたごハウス」において、実際の生活の場における支援を試行錯誤し、その評価を行う中で、意味のある支援の形、利用が難しい制度の実態、潜在的なニーズなどを拾い上げ、制度からこぼれ落ちた多胎ママにとって望ましい「本当に必要な支援」を明らかにする実証実験です。

 当団体はこれまでLINEオープンチャットを利用した「ふたごのへや」、オンライン会議システムoViceを利用した「ふたごのひろば」といったオンラインでの支援を行ってきましたが、「ふたごハウス」はこれらとは異なる対面での支援を実施するために設置したものです。


 本事業では、当団体がこれまでにオンライン等での活動において集めた多胎ママの無数の声と、蓄積した様々なノウハウを踏まえ、リアルの場で実態に合ったサポートを行います。

 「ふたごハウス」では、一般的な住宅環境の中で、多胎育児の各シーン(授乳、排泄、沐浴等)における実際のサポートが可能となるため、特別な施設や設備などがなくても、地域の子育てひろばなどで対応できる支援を見つけることができます。

 たとえば沐浴の支援は育児における大きな負担であり、支援の重要な対象の一つです。しかし、本事業の実施準備の中で、特定の拠点において沐浴の支援を行うためには保健所からの公衆浴場営業許可を受ける必要があることが分かりました。当団体はこの許可を得たうえで、本当に必要な沐浴支援を検証します。こうした拠点整備のノウハウについても支援団体と共有していく予定です。


(沐浴サポートをするために、公衆浴場の営業許可証を取得)


【1ふたごハウスでの対面支援実証実験:インパクト評価】

  上記のサポートに対しては、多胎ママからその場でインタビューやアンケート等の形で評価を受けます。得られた評価データのうち、定量データに関しては定量分析の手法を用いて統計的に分析を行うとともに、質的なデータは定性分析を行って検討することで、多胎育児支援のインパクト評価を行います。この評価の結果から、多胎ママが求める「本当に必要な支援」を明らかにします。


【2オンラインでの個別相談】 

 検証は、オンラインにおける個別相談に関しても実施します。当団体は、オンライン拠点である「ふたごのひろば」(バーチャルオフィスoVice上の子育てひろば)において、多胎ママに対する個別相談を行っています。こうした相談と、ふたごの部屋での支援を比較し、リアル拠点に来所できない場合や夜間につながれる交流の場としてのオンライン拠点の意義を明らかにします。たとえば、「顔が見えない関係性だからこそ本音での相談がしやすい」という仮説を検証することを予定しています。


【3事業内容および成果発信】 

 上記のような支援と評価から得られた結果は、分析を行ったうえで取りまとめ、様々な形で発信します。具体的には、リアル拠点からのSNSでの発信、ホームページや報告書等での発信や、各支援者との面談や勉強会の開催等を予定しています。こうした発信によって検証結果を共有するとともに、他の団体や行政機関に対する提案や意見交換を行います。 特に、特別な施設や設備などがなくても、地域の子育てひろばなどで対応できる支援を見つけ、各地の支援者に発信するとともに、既存の制度の問題点を明らかにして行政に対して問題提起を行います。


  • 本事業の特徴と意義

  本事業は、事業自体の意義に加え、①インパクト評価を行うこと、②多胎育児支援に限らず他の社会課題解決への展開と示唆が見込まれること、の2つの点でも、大きな社会的意義があるものと考えております。


【インパクト評価】

 インパクト評価に関しては上記の通り、実際に行ったサポートと、それに対する多胎ママからの評価を、合わせて分析することで実施します。この評価は、当団体理事で、神戸大学大学院経営学研究科教授の内田浩史が中心となって行います。持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)が示すような、様々な社会的・環境的課題の解決に向けてのインパクト評価においては、ロジック・モデルやセオリー・オブ・チェンジなどを用い、その根底にどのような社会の問題が存在し、それに対してどのような介入を行って社会を変革していくのかを可視化したうえで、その各段階における介入と成果の関係を計測して評価していく必要があります。

 当団体は、多胎育児問題の根底にある社会の問題と、それを解決して望ましい社会を実現するための道筋を、「つなげるToC」として本格的なToCにまとめている数少ない団体の一つです。本事業ではこのToCを踏まえつつ、適切な方法でインパクト評価を行います。


【他の社会課題解決への展開と示唆】

 他の社会課題解決への展開は、本事業が多胎育児支援だけでなく居場所づくり、空き家活用、地域活性化にもつながる事業であることを表しています。本事業のリアル拠点である「ふたごハウス」は、兵庫県尼崎市の市営住宅の一室を、同市の空き家活用事業(REHUL事業(地域活動を行う団体等に市営住宅の空き室を提供する、あまがさき住環境支援事業)を利用して借り受けたものであり、本事業は同市とコープこうべとの連携によって可能になったものです。この事業は、社会から孤立しがちな多胎ママにとっての居場所を提供するだけでなく、空き家の有効利用にもあたり、多胎家庭が「ふたごハウス」に集うことで周辺地域の活性化にもつながります。


  • ふたごハウスのご利用方法

・場所:兵庫県尼崎市(詳細住所は訪問予約された際にお伝えします)
・利用可能日:不定期(当面は、毎月4回程度)

・利用可能時間:10-19時を目安に開放

・利用予約方法:つなげるの公式LINE(https://page.line.me/159etpmu)より訪問予約を受付

・利用可能者:尼崎市在住でなくとも、ご訪問可能な多胎家庭はどなたででもご利用が可能です。

(利用の仕方はコチラから → https://tsunagerunpo.com/news/8951/


  • メディア取材・訪問対応

 ふたごハウス・育児ラボ事業や当団体の多胎支援に関するメディア取材、団体・企業様の視察に関しては、以下の通り受け付けています。


視察日程:「ふたごハウス」開所日時(順次SNSでアナウンスしています)

問い合わせ先:https://tsunagerunpo.com/contact/


※視察日程が開所日と合わない場合は、応相談。



(2023.7.19 更新)

フジテレビ『フューチャーランナーズ』にて取材いただきました。

https://www.fujitv.co.jp/futurerunners/archive_249.html


(2023.7.21 更新)

当法人が運営するWEBメディア『多胎チャンネル』にて開設までの経緯をまとめた記事を公開しました。

https://tatai-ch.jp/media/interview/20230701.html


  • NPO法人つなげるについて

 NPO法人つなげるは、「多胎家庭を社会につなげる」をミッションとし、「誰もが命の誕生を当たり前に喜べる社会」の実現を目指しています。

 そのために、孤独感や悩みを抱えた多胎ママパパを、日本最大の多胎家庭のオンラインコミュニティをはじめとする様々な支援でつなげ、どの地域・環境でも自分らしく自律的に多胎児の育児ができるよう、支援を実施しています。

 当団体では、各地域で対面での支援活動が主流だったコロナ禍以前から、多胎支援におけるオンラインツールの可能性を感じ、「ふたごのへや」(LINEオープンチャット)をはじめとするサービスの充実を図ってきました。絶対数が少ない多胎家庭は各地に点在しているためにコミュニティーを作りづらく、行政の支援の手も行き届かないために、外出もできず、家に引きこもりがちです。当団体はこうした家庭をオンラインでつなげており、「ふたごのへや」は2500人弱の登録者を数える日本最大の多胎家庭向けオンラインコミュニティに成長しました。

 こうしたオンラインコミュニティーの運営は、当団体の事業の中では(1)「多胎ママ同士をつなげる」事業(交流の場の提供と相談)に当たります。このほかに、当団体ではさまざまな問題を抱える多胎家庭に対して個別相談を行い、適切な支援を受けるサポートを行う(2)「支援につなげる」事業多胎育児にかかわる多種多様な情報発信を実施し、企業や行政等を含め、社会の様々なプレーヤーに課題を周知し解決のための連携を行う (3)「社会をつなげる」事業(ピアサポーター養成と行政・企業等との協働)を実施しています。

つなげる WEBサイト:
https://tsunagerunpo.com/

多胎チャンネル|多胎家庭に役立つ情報メディアサイト:
https://tatai-ch.jp/

つなげる公式LINE:
https://page.line.me/159etpmu

すべての画像


ビジネスカテゴリ
出産・育児ボランティア
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

NPO法人つなげる

2フォロワー

RSS
URL
https://tsunagerunpo.com/
業種
サービス業
本社所在地
兵庫県尼崎市上ノ島町1-39-1
電話番号
06-4977-0811
代表者名
中原美智子
上場
未上場
資本金
-
設立
2018年06月