【イベントレポート】『被害事例』から『先進的取組』まで!医療機関がサイバーセキュリティの『リアルを語る』セミナー実施

 「サイバー攻撃による『深刻な被害』ゼロ」を目指して「日本のDXをもっと安全に」するべく活動を展開する一般社団法人サイバーセキュリティ連盟(以下「当連盟」)は、2023年6月29日(木)に「『被害事例』から『先進的取組』まで!医療機関がサイバーセキュリティの『リアルを語る』セミナー」を開催しました。

 本セミナーは2023年3月24日に実施して好評を博した「サイバー攻撃で医療を止めさせない!医療機関に求められるサイバーセキュリティ対策強化とは?」セミナー(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000095631.html)の第2弾として「サイバー攻撃被害事例」の共有を中心に、サイバー攻撃対策に関する医療機関のリアルな現状をお届けしました。セミナーには医療従事者、関係するSIerなど150名超が参加しました。

 当日は当連盟の代表理事である小池敏弘の挨拶から始まり、厚生労働省副大臣の伊佐進一氏からのご挨拶、徳島県つるぎ町立半田病院の須藤泰史氏、順天堂大学医学部附属順天堂医院を擁する学校法人順天堂の杉村雅文氏にご登壇を頂き、実際に起きた医療機関へのサイバー攻撃状況や被害事例、DXを進める中でも取り組むべきサイバーセキュリティなどについてお話し頂きました。

 当連盟は今後も様々な取り組みを通じて、サイバーセキュリティの重要性を啓発するべく尽力して参ります。



■ 厚生労働副大臣 兼 内閣府副大臣 伊佐 進一 氏
 日本の成長戦略では、AIやグリーントランスフォーメーションなど様々なことが描かれています。そういったことは海外で先行事例があり、日本がどう追いかけていくかだと思っています。重要なことは日本の強みをどう強化していくかで、まさに日本の強みとは医療・介護なのではないかと思っています。
 日本は医療・介護のデータを統合し活用していくことが鍵となります。世界的に少子高齢化が進んでおり、その中でも特に少子高齢化が進む日本で、どのようにデータを活用していき、創薬などに繋げられるか。その前提としてサイバーセキュリティが重要となっています。
 厚生労働省が管轄している医療については、これまで策定したガイドラインの他、医療現場に対しサイバーセキュリティ研修、立ち入り検査、情報共有などを行っています。



■ 実例紹介:身代金要求型ウィルス「ランサムウェア」被害
  つるぎ町立 半田病院 つるぎ町 病院事業管理者 須藤 泰史 氏

- 「ランサムウェア」被害
 2021年10月31日未明に電源の入っている全てのプリンタから、コピー用紙がなくなるまで英字の犯行声明文が印刷され続ける事態が発生。同日の午前0時30分に電子カルテを確認すると、全く動かない状況だった。犯行声明文には身代金の要求と、支払いがなければ取得したデータを公開する旨が記載されていた。
 恐らくVPNの脆弱性が狙われた攻撃だと考えられる。ランサムウェア被害によりシステム復旧、そして新たなシステム構築におよそ二億円が必要と見込まれている。加えて、診療制限をかけていた期間の診療報酬の減収などを含めると、更に数千万円が被害額として上乗せされる。

- 復旧に向けて
 まずは電子機器全てのケーブルを抜き、病院上層部に連絡。また県内の電子カルテ共有ネットワークの被害確認と警察に通報を行った。2021年10月31日午前10時に南海トラフ地震を想定したBCP(事業継続計画)に基づき対策本部を立ち上げ、被害状況から通常診療が続けられないと判断、同日午後4時に記者会見を実施した。

 調査の末、電子カルテサーバを始め様々な周辺医療機器に感染が広がっていた。この内、カルテ端末PC200台中40台が感染しており、コスト削減のために専門業者指導のもと、ウイルス対策ソフトを用いたウイルス駆除作業は自分たちの手作業で行った。

 対策本部を設置した大会議室はエリアを4分割し、PCなど電子機器エリア、机と椅子を置いた打合せエリア、職員の食事エリア、災害時の記録「クロノロジー」・組織図・コンタクトリスト・ToDOリスト・部門別の復旧状況を掲示するミーティングエリア、と用途別に使用した。

- 工夫した点

  1. ミーティングを毎日行い、問題点・改善点などの報告・情報共有を実施。

  2. 大量の文具、PC、プリンタ、コピー機が必要になるため、借りられるところから借りる。

  3. マスコミ対応は事務長に一本化し、個別対応をしないように調整。


- 「ランサムウェア」被害を通じて感じた「備え」の重要項目

  1. サイバーセキュリティ向上と確実なバックアップ。

  2. 被害に遭った際にどう事業を継続させるかのBCP対策。

  3. 電子カルテシステムとは別の簡易バックアップシステムの構築。

  4. 大量の文具、PC、プリンタ、コピー機を備蓄しておく。

 ランサムウェア被害を完全に防ぐことはできないため、もし攻撃された際にどのようにデータを守るか、どのように事業を継続させるかが重要となる。
 まずは自分たちの病院に問題がないか、半田病院が公開している報告書を参考に自院の状況を確認して欲しい。

参考:徳島県つるぎ町立半田病院 コンピュータウイルス感染事案有識者会議調査報告書
https://www.handa-hospital.jp/topics/2022/0616/index.html

参考:つるぎ町立 半田病院でおきたこと(厚生労働省 セキュリティ教育支援ポータルサイト)
https://mhlw-training.saj.or.jp/contents/



■ 実例紹介:順天堂におけるサイバー攻撃に抗する組織・体制構築
  学校法人順天堂 情報センター本部 本郷地区情報センター
  次長(兼務 センター長補佐)杉村 雅文 氏

- 注視しているサイバー攻撃の脅威対策
 ランサムウェア、DDoS攻撃、フィッシングが挙げられる。特に注意すべき点として、不審なメールには注意し添付ファイルは安易に開かない。複数の眼で確認し、システム担当者に速報することが重要で、スマートフォンもパソコン同様の対応をする必要がある。

- 順天堂のサイバーセキュリティ対策の現状
 学内LAN環境ではID・パスワード承認の他、順天堂メール(ウイルス・迷惑メール対策)強化、ファイアウォール(不正通信遮断)の設置、ウイルス対策ソフトの導入、EDR(AI振る舞い検知ソフト+専門アナリストによる監視サービス)を利用している。
 医療LAN環境ではインターネットから分離し、ウイルス対策ソフト(EDR)の導入(2023年1月のシステム更新で電子カルテ端末をWASにてアップデート)、USB利用制限を実施。
 特にサイバーセキュリティ強化のため2018年度にEDRを導入。さらにセキュリティ体制整備を行い、セキュリティチーム(JIN-CSIRT)を設置して、学校法人順天堂全学内の法人・医療システムや、ネットワーク環境における情報セキュリティインシデント対応、インシデント対策、サイバーセキュリティ教育などの実施を予定している。

- 順天堂医院の医療情報システム
 システム更新では「7年毎の更新」をコンセプトとし、

  1. 部署最適化から全体最適へ

  2. オンデマンドで誰でもストレスなく利用できる情報基盤整備

  3. 情報共有・一元化の推進を軸とした更新

を実施。


 現行システムからの変更点として、

  1. 仮想デスクトップ(VDI)環境を構築

  2. 多要素認証を採用

  3. 電子カルテ端末からのインターネット閲覧

の3点を変更した。

- 今後の具体的な活動

  1. 職員教育(医療情報システム安全管理責任者設置の届け出)
    ※ 診療録管理加算の施設基準届け出をしている医療機関は必須

  2. サイバー攻撃に遭いシステムダウンした際の机上訓練

  3. 附属病院・各キャンパスのセキュリティ担当者の任命

  4. CISO任命

を実施予定。




■ 一般社団法人サイバーセキュリティ連盟について
名称:一般社団法人サイバーセキュリティ連盟(Cyber Security Alliance・CSA)
代表理事:小池 敏弘(株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役社長 兼 CEO)
理事:小川 隆一(独立行政法人情報処理推進機構 専門委員)
理事:齋藤 孝道(明治大学 サイバーセキュリティ研究所 所長)
所在地:〒141-0021 東京都品川区上大崎3-1-1 JR東急目黒ビル13階
設立:2023年3月31日
URL:https://www.cscloud.co.jp/dx-security
Cyber-sec+:https://launchpass.com/csa-security_slack


Vision:サイバー攻撃による「深刻な被害」をゼロに

Mission:日本のDXをもっと安全に

Values:

 - Interested parties oriented:当事者中心で動かす

 - Realistic feelings:生々しくリアルを伝える

 - Horizontal relationships:「横の繋がり」を積極的に展開していく


 一般社団法人サイバーセキュリティ連盟は「サイバー攻撃による『深刻な被害』ゼロ」を目指して「日本のDXをもっと安全に」するための様々な活動を展開しています。
 既にサイバーセキュリティに取り組まれている方への強化コンテンツはもちろんのこと「サイバーセキュリティって、必要なの?」「サイバー攻撃対策って、何をするの?」という方にも分かりやすく、その必要性や具体的な対策方法などが分かるコンテンツを提供しています。幅広く多くの方にご参加をいただける様に「無料」でご参加をいただけますので、この機会に是非ともご入会をご検討下さいませ。

■ 入会申込みフォーム
- 法人名義でのご入会を希望される方:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSczqSTsvijFvnKbgGO8bjJr_cf2QiT3A9lSbNwoOIy1PscwMQ/viewform

- 個人名義でのご入会を希望される方:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeFlS0JvX7eZ3H4hjvQ4jwLbulrO95ogh_bhSt-AwGdUJLj-w/viewform

ご入会に際して、ご不明点がございましたら、以下にお問い合わせ下さい。

一般社団法人サイバーセキュリティ連盟
事務局:contact@cs-a.or.jp

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会社概要

URL
https://www.cscloud.co.jp/dx-security/
業種
情報通信
本社所在地
東京都品川区上大崎3-1-1 JR東急目黒ビル13階
電話番号
03-6416-9996
代表者名
小池 敏弘
上場
東証グロース
資本金
-
設立
2010年08月