宿場JAPAN、夏よりも秋の宿泊が増加。インバウンド需要増加に伴い「ハイシーズン」が分散化か
インバウンド客は引き続き堅調、新規客増加でリピーター創出のための工夫が鍵に

品川エリアを中心にゲストハウス運営、ツアー企画・運営等を行う株式会社宿場JAPAN(代表取締役:玉井(渡邊)崇志、以下宿場JAPAN)は、2024年度における当社が運営する宿泊施設「品川宿ゲストハウス&ツアーズ」の宿泊者データの分析を行いました。その結果、国内外宿泊者の動向として、下記のような傾向がみられました。
◼️概要
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コロナ前〜コロナ禍は、夏が秋に対して優勢、2022年以降は「秋>夏」にシフト。
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特に2022年以降は 秋の宿泊比率が継続的に高まっており、ハイシーズンの分散化が顕著に。
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延べ宿泊者数は増加。新規利用者が増え、リピーター率は減少。
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海外客が占める比率は2023年以降、全体の6割超に。
◼️詳細・背景
⭕️夏よりも秋の宿泊利用者が増加傾向に
今回の分析では、夏シーズンを7〜8月、秋シーズンを10〜11月と定義し、延べ宿泊者数を比較した。その結果、2022年以降は秋が夏を上回る傾向が明確になった。
<年度別>
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2018〜2019年(コロナ前):2018年は夏が秋に対して+2%超と優勢だったが、2019年になりほぼ差分がない状況に。
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2020〜2021年(コロナ期):全体の延べ宿泊者数が大幅に減少したが、夏の比率は回復。
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2022年:初めて秋が夏を逆転。秋が夏比較で約+4.8%、秋の宿泊需要が強く表れた年。
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2023年:夏と秋がほぼ拮抗(差分は約0.2%)。
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2024年:秋が再び優位に。秋が夏に対して約3.8%の差をつける。
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2025年:3年連続で夏は減少傾向、秋には回復するか?

⭕️延べ宿泊者数は増加、リピーター数は減少
実数ベースで見ると、延べ宿泊者数は、コロナ禍以前の2018年度数値を上回った。利用者の内訳としては新規利用者率が増加し、リピーター率が減少。また、日本人客・外国人客の比率を見ると、2023年以降は外国人利用者が6割を超えた(2023年は海外:国内が61%:39%、2024年は62%:38%)。これはコロナ禍以前の2018年時点の数値(38%:62%)とほぼ逆転した結果となった。


⭕️総括 〜インバウンド需要によりシーズンが分散〜
全体として、夏シーズンに比べて秋シーズンの需要が伸びている背景には、インバウンド需要の拡大があると考えられる。国内利用者は夏の長期休暇に観光や宿泊需要が高まる一方、海外からの旅行者は国や地域によって訪日シーズンが分散する傾向にあるためである。
(なお従前より、当社のゲストハウスが位置する北品川は、羽田空港、ターミナル駅・品川駅に近く、飛行機や新幹線など各種交通機関のハブとなっていること、オフィス街エリアが近接することなどから、宿泊者の利用用途も観光、イベント、出張、受験、就活など多岐にわたる。そのため、主に夏季休暇による国内需要の影響は比較的少ない)
2018年時点では、夏が秋を2%以上上回っていたが、2019年には両者の差がほぼなくなった。新型コロナの影響を大きく受けた2020〜2021年は夏の比率が回復したが、これは緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、さらに「Go To キャンペーン」(2020年7月〜)などにより、国内需要が大半を占めたためである。2022年には一転して秋の宿泊需要が強まったが、これは同年10月に入国者総数の上限が撤廃された(新型コロナウイルス感染症に関する水際対策緩和)ことで、10月以降に海外からの宿泊がやや回復したことが影響している。
本リリース作成時点(2025年9月末)において、同年夏(7〜8月)の延べ宿泊者数を前年までの同期と比較すると、3年連続の減少(対前年95%)となった。一方、本年3〜6月の延べ宿泊者数の動向は前年と大きな差がないことから、今秋(10〜11月)も夏を上回る傾向が続くと予想される。



◼️当社の売上状況および今後の方針について
当社が運営するゲストハウス等宿泊施設3店舗(品川宿ゲストハウス&ツアーズ・Bamba Hotel Tokyo・Araiya Tokyo)の2024年度合計売上は、前年度比で116%という順調な結果となりました。2024年に15周年を迎えたゲストハウス「品川宿ゲストハウス&ツアーズ」の延べ宿泊者数も、パンデミック以前を上回る水準まで回復(2018年対比約103%)。背景には、日本全体におけるインバウンド需要の増加があります(※1)。従前より利用者の4割前後が外国人利用客だった当社ゲストハウスも、先述の通り、2023年以降は6割以上が外国人利用者となっています。
同時に、新規客の増加に伴い、リピーターに支えられてきた状況にも変化が出てきています。リピート率は2024年には2割にとどまりました。持続可能な経営を考えるにあたり、外的要因に左右されやすいインバウンド需要頼みとならないよう、一度きりの訪問にとどまらず再訪してくれる顧客=リピーターとなってもらう必要性を感じ、様々な工夫を行っています。
※1 2024年の訪日外国人旅行者数は、3,687万人と過去最高を記録(2025年・令和7年度 観光庁「観光白書」より)
【1】ローカルな魅力を伝えるウォーキングツアー
行っている施策の一つが、「品川宿ウォーキングツアー」です。元々コロナ以前の2017年から、品川区からの依頼で行っていた外国人訪問客に向けた無料のローカルツアーを現場スタッフがアップデートし、2025年から公式ツアーとして販売開始。住みながら働く環境だからこそ掴めている街の最新情報と、観光トピックからニッチな歴史ネタ、ディープなスポット案内まで、硬軟織り交ぜたトークが毎回好評です。ゲストの要望に合わせてアレンジする柔軟性もこのツアーの強みです。もちろん、住宅地である品川宿エリアでツアーをさせていただけているのは、創業以来積み重ねてきたこの街の皆様との関係性、ご理解があってこそです。


【2】ゲスト情報の蓄積と共有を徹底
ゲストの方々とのコミュニケーションをより質の高いものにするため、お話しした内容を毎日スタッフ間で共有しています。さらに、すべてのゲストに対して、前回滞在履歴があるか、ある場合はどうであったか、必ずチェックイン前日に確認することをルーティンとして徹底。リピーターであればスタッフ全体に周知し、前回対応スタッフが不在でも、前回滞在時のリクエストや留意点、エピソードなどを踏まえていつでも誰でも迎えられるようにしており、リピーターの方々から良い評価をいただいています。
【3】職住近接のスタッフ体制
ゲストハウススタッフは、いずれも半径4km以内に住む職住近接スタイル。社員の8割は「ご近所」といえる距離圏内に住んでおり、出勤日でなくても祭りや地域活動に日常的に関わっているからこそ、地域に密着した情報提供や自身の言葉で語るまち案内を提供できています。また、ゲストハウス内のコモンルームは、スタッフによるイベントやワークショップなどの自主企画が盛んに開催され、街のリビングのような役割も担っています。卒業スタッフメンバーでそのまま近隣に住み続ける人も少なくなく、ゲストハウスの近くに住むようになった常連ゲストさんも。職と住が近いからこそ、初回ゲストとリピーターゲスト、新旧スタッフに、ご近所さんまでが入り混じって、“ホーム”のような居心地の良さを感じていただけるようにしています。

観光庁も令和7年度 観光庁「観光白書」にて、「何度も地域に通う旅」を推奨しておりますように、当社でも今後「観光」をより広義のものとして捉え、まちづくりだけでなく、メンタルヘルスやウェルビーイング、自己成長といった地域社会や個々人のより健やかな機会としての旅体験を提供するべく、様々な施策をお届けしてまいります。
参考:
○人口減少下での国内交流の拡大に向けては、新たなニーズを踏まえた帰省に近い感覚の旅等の潜在需要の顕在化の他、休暇取得など旅行実施のハードルを下げる取組等により、一人当たり旅行回数の増加や滞在⾧期化を図る必要。
○何度も地域に通う旅、帰る旅やワーケーション・ブレジャー等の普及促進、ユニバーサルツーリズムの推進等
(2025年・令和7年度 観光庁「観光白書」より)
◼️株式会社宿場JAPAN 代表取締役:玉井(渡邊)崇志のコメント
昨年配信したプレスリリースでも振り返った通り、当社が運営するゲストハウス等宿泊施設3店舗(品川宿ゲストハウス&ツアーズ・Bamba Hotel Tokyo・Araiya Tokyo)の2023年度の総売上は2019年比139%・前年比212%(※1)。コロナ禍で減退したインバウンド観光客を中心とした観光需要の復活を確認しました。さらに、2024年度においては前年比116%と、好調な成績を上げられております。これもひとえに、宿泊者の皆様、品川区はじめ行政の皆様、提携地域・業界のご協力を賜る皆様、そして地域の皆様のお力添えの元と考えております。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
上記に述べさせていただきました通り、今後も多様なニーズに応えていき、気候や外的要因に左右されない安定的な経営を目指していく所存です。
また、近年では各方面からご相談を多くいただくことが増えてきております。本年7月には令和7年度 台東区・城北旅館組合 講演会(主催:台東区都市づくり部地域整備第二課)に、観光とまちづくりの観点から講演登壇させていただいたほか、今月9月17日には港区立港南小学校にて、去年に引き続き多文化共生についての特別授業をさせていただきました。昨年から連携を始めている北海道浦河町とのCBT(コミュニティベースドツーリズム)ツアーや、長野県松川町との地域間交流プログラムなど、今後も継続的な地域間連携による取り組みを予定しています。随時情報は発信してまいりますので、ぜひ引き続きご期待ください。
こうして私たちの元に集まってきている様々な種別のお悩み・課題を適切にネットワークを活かしながら、ともに解決に向かっていきたいと考えております。業界・規模の大小に関わらず、情報はオープンに公開してまいります。同業者の連携も深めていきたいと考えておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
※1 参考:「コロナ禍前とのゲストハウス売上比較、インバウンド需要復活で2019年比139%・前年比212%の大幅増」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000097061.html
■株式会社 宿場JAPAN 会社概要
社名:株式会社 宿場JAPAN
会社HP URL:https://shukuba.jp/
代表取締役:玉井(渡邊)崇志
住所:〒140-0001 東京都品川区北品川1-22-16
設立:2011年3月
資本金:100万円
事業内容:
宿泊施設「品川宿ゲストハウス&ツアーズ」の運営
宿泊施設「Araiya Tokyo」の運営
宿泊施設「Bamba Hotel Tokyo」の運営
宿泊施設「Kago #34 Tokyo by Shukuba HOTEL」の運営
宿泊施設「HOTEL Rin TOKYO」の運営
スモールラグジュアリー宿泊施設の受託運営
宿泊施設の開業コンサルティング
自治体と連携したエリアプロデュース
おもてなし人材の育成と教育
ゲストハウス開業支援プログラム「Detti プログラム」の提供
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