【イベントレポート】AI時代の「次世代リスク」に総務はどう備えるべきか。DMM総務部長×上場保険仲立人が特別講演を東京ビッグサイトで開催
不確実性を排除し、企業の可能性を広げるリスクマネジメント。統計学と経営学、哲学の視点を交えて法人保険の本質を再定義する1時間。
保険仲立人として日本初の東証上場を果たした株式会社日本総険(本社:香川県高松市、代表取締役社長:葛石智)は、2026年6月18日(木)、東京ビッグサイトにて開催されたバックオフィス向け展示会「総務人事経理Week」内の「総務サービス EXPO 特別講演」に登壇しました。
当日は、合同会社DMM.comにて総務部門を管掌する高橋応和氏と、当社取締役副社長の葛石晋三が「総務∞〜AI時代の保険対応〜」をテーマに特別セッションを展開。激変するVUCA/BANI時代におけるリスクマネジメントの本質と、これからの総務が担うべき戦略的役割について、客観的なデータと国内外の事例を交えて紐解きました。
▼株式会社日本総険 コーポレートサイト

■他職種のプロとの「掛け算」から生まれる『総務シンカ論』
本講演では、数々の社内AWARD受賞や先進的なオフィス改革を牽引してきた高橋氏が、他業界・他職種の賢者に教えを乞う「掛け算トーク」の形式で進行。高橋氏は、これからの総務が目指すべき方向性として、見識を深めて質を高める「深化」、新しい技術でスピードを速める「新化」、業務を効率化する「進化」を掛け合わせ、最終的に時間を創出して真の価値を提供する「真価」へと至る『総務シンカ論』を提示。
そのための重要なアプローチとして、リスク管理の専門家である保険仲立人の葛石との対談が組み込まれ、目に見えない不確実なリスクをScientific(科学的)に構造化する手法が模索されました。

■生成AIの急速な普及に伴う「次世代リスク」の構造分析
セッションの前半では、Afterコロナによる働き方の変化や、これまでの前提が通用しにくくなった現代社会の構造を分析。前例踏襲や定型業務の遂行のみに終始する「変わらない運用」は、変化の激しい令和の環境においては「劣化の進行」に繋がりかねないという、時代の構造的課題を指摘しました。
特に、急速に普及する「生成AI」の業務利用がもたらすリスクの変化について、具体的な公的ファクトや海外の裁判事例が共有され、デジタルに依存しきらないアナログな確認プロセスや、人間によるチェックをバックオフィス側が適切に設計することの重要性が解説されました。
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機密情報の漏洩事例:エンジニアが業務効率化のためにソースコードや議事録を生成AIに入力したことで、外部サーバーへデータが送信され、意図せず学習データに取り込まれるリスクが発生した事象。
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ハルシネーション(AIの幻覚)事例:航空会社の顧客対応チャットボットが架空の割引ルールを案内し、裁判所から企業側へ損害賠償命令が下された判決実績。
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ディープフェイクを用いた超高度詐欺事例:AIによって偽造されたCFOや同僚の姿・音声を用いたビデオ会議に欺かれ、計15回にわたって億単位の送金がされてしまった事件。
■統計学・経営学・哲学から再定義する法人保険の本質
前段で挙げた生成AIの台頭など、企業を取り巻くリスクは複雑化する一方で、総務が管掌することの多い「法人保険」の領域は、約款の難解さなどから「難しいことはよくわからないから、付き合いのある代理店へお任せする」という流れが発生しやすい傾向にあります。これには、1996年の保険自由化以前の「護送船団方式」という、”パッケージ型保険”が日本に根付くきっかけとなった歴史的背景も大きく関係しています。
本講演では、損害保険が持つ本来の提供価値を「統計学(大数の法則によるリスクの数値化)」「経営学(不確実性を排除し財務を安定させる戦略)」「哲学(相互扶助の精神)」という視点から再定義し、これら3つの視点から導き出される結論として、総務が持つべき「リスクの性質に応じた4つの基本対応戦略」を提示しました。
【リスクの性質に応じた4つの基本対応戦略】
①回避
発生頻度・損害規模ともに大きい事業撤退レベルの致命的リスクに対しては、保険で賄うのではなく事業そのものの中止・撤退を検討。
②転嫁
発生頻度と損害規模を定量的に可視化した上で、巨大地震や巨額賠償などの致命的なリスクのみを、保険を活用して外部へ移転。
③低減
発生頻度は高いが損害規模は小さい日常的な物損や負傷に対し、予防策を講じることにより、発生確率や損失をあらかじめ抑えていくことで損害量を調整。
④保有
発生頻度・損害規模ともに小さい軽微なリスク群に対しては対策に労力をかけず、発生時には自社の財務(経費)で許容・吸収する戦略。
その上で葛石は、『”全部入り”、”総合パッケージ”というと聞こえは良いけれど、実際は同じ業態でも事業規模などによってリスクの大きさやパターンは異なるため、必要な保険範囲は企業によって様々。だからこそ保険は本来、「その会社独自」で構築してこそ価値があるものになる。パッケージ化された商品を”手厚いフルセット”いう固定観念でストレートに受容するのではなく、自社の潜在リスクを客観的に可視化し、4つの戦略を上手く使い分けて検討することが不可欠である。』と提唱しました。

【客観的なリスク仕分けを実現する「リスクマップ」】
さらにこの「4つの基本対応戦略」を企業の現場で具現化するための具体的な手段として、当社が開発・運用しているリスク管理ツール「リスクマップ」を紹介。
同ツールは、企業ごとに潜在する無数のリスク事象を「発生頻度(横軸)」と「損害規模(縦軸)」の2軸から緻密に判定し、二次元のマトリックス上へ動的に可視化するシステムです 。製造業から医療・ヘルスケア・福祉分野にいたるまで、多種多様な業界の法人リスクに向き合ってきた当社の提案実績を基盤としており、高度なAI分析機能を備えているのが特徴です。主観や正常性バイアスを排し、自社の事業体に起こりうるリスクの現在地を視覚的に網羅することで、どの領域を「低減・保有」すべきか、あるいはどの致命的リスクを保険へ「転嫁」すべきかといった、その会社独自の合理的な保険活用法を見出すことが可能となります。確かなデータに基づき、単なる前例踏襲ではない最適な付保設計を行うための、実務的なコンサルティングインフラとして存在しています。

こうしたリスクの性質やバックオフィスの課題に応じて、スピードと特定商品への深い知見の強みを持つ「保険代理店」と、100%顧客の側に立って事業分析を行い、オーダーメイドの条件を調達・交渉する「保険仲立人」、それぞれの提供価値を正しく理解し、客観的に「使い分ける」という総務主導のガバナンス体制を構築していく重要性を改めてお伝えしました。
■ 会場のリアルな悩みに応える「深掘りライブコンサルティング」
セッション後半では、会場の参加者から寄せられたテーマに対し、葛石がその場で回答を導き出す「深掘りライブコンサルティング」を実施しました。
質問の中でも注目を集めたのが、「エンジニアへAIコード生成ツールを導入したが、未知の脆弱性やバグによって顧客のシステムで大規模障害を引き起こすリスクが怖い」という、まさにAI時代特有の悩みです。
これに対し葛石は、現行の枠組みにおいて「AIが生成したコードだからツールメーカーの責任」という免責は通らず、採用して納品した自社に賠償責任が帰属すると指摘。
その上で、システム障害によって顧客に生じた経済的損失に対しては「E&O保険(業務過誤賠償保険)」で、脆弱性を突かれた情報漏えいには「サイバー保険」で財務的にカバー(転嫁)するという、
リスクの層に応じた保険の使い分けを提示しました。
さらに、自社でのバグ修正や開発やり直しの費用は保険対象外となるのが一般的であるため、「保険は最後の砦」と位置づけ、契約書における賠償上限条項の明記や外注先へのコードレビュー義務化といった『予防』とセットで防衛線を構築するプロセスを伝授。
未知のテクノロジーリスクに対しても、経営陣が確信を持って”攻めの意思決定”を下すためのバックオフィス発の具体的な段取りが示され、多くの参加者の方がメモを取りながら深く頷く姿が見受けられました。
▼本セッションで解説した「AIコード生成ツール導入に伴う賠償リスクと保険の考え方」について、さらに詳しい実務対応や法的解釈を当社のリスクマネジメント専門メディア『損保のインサイト』にて公開しています。
日本総険グループのリスクマネジメント専門メディア『損保のインサイト』

■ 総括:主語の変換と「QOL」の向上、そして今後の展望
1時間に及ぶセッションの結びとして、高橋氏より「総務が何をしたか(作業)」ではなく「相手がどうなったか(状態)」へ主語を変換し、成果を定義する重要性が共有されました。
戦略立案から日々のファシリティサービスまでを一気通貫で管掌する総務職が、属人的な感覚を排して Scientific にリスクを構造化し、経営層が論理的に理解できる状態を再現性高くつくること。
そして「リスクマネジメントとは、自分の組織についての未来を考えること」であり、不確実性をコントロール(排除)して「挑戦の基盤」を築くことこそが、企業の新たな可能性を創造し、社内全体の“QOL(クオリティ・オブ・ライフ)”向上に直結するという力強いメッセージでセッションは幕を閉じました。
【日本総険グループからのメッセージ】
当社グループは、今回の特別講演を通じて再確認された「企業を取り巻くリスクの複雑化」に対し、今後も保険仲立人としての客観的な視点と高度な金融ロジックを駆使し、BANI時代における企業の多様な課題に伴走していく方針です。
単なるコストとしての保険手配にとどまらず、企業が不確実性を恐れず「次のステージ」へ踏み出すための合理的なリスクマネジメントの普及を通じ、日本企業の持続的な成長と社会課題の解決に貢献してまいります。
【グループ情報】
株式会社日本総険 会社概要
代表者役職氏名: 代表取締役社長 葛石 智
本社所在地: 香川県高松市サンポート2番1号
設立: 1996年12月
事業内容: 保険仲立人
証券コード: 5840
従業員数: 38名(2026年4月8日現在、連結)
拠点: 香川県
株式会社日本総険inカスタマー 会社概要
代表者役職氏名: 代表取締役社長 葛石 真士
本社所在地: 香川県丸亀市飯野町東二844-1
設立: 2000年4月
事業内容: 保険代理店
株式会社日本総険トラストテクノロジーズ 会社概要
代表者役職氏名: 代表取締役社長 葛石 晋三
本社所在地: 香川県高松市サンポート2番1号
設立: 2013年10月
事業内容: リスクコンサルティング
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