日本の医療に根強く残る“体育会的価値観”。世界で活躍するこれからの医師像を岩田健太郎先生と考える
〜世界からみた日本の医学について〜
MED ITALY株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:近藤晋一郎)が運営するイタリア医学部予備校は、急速に人気が高まってきている「海外医学部」について、神戸大学・感染症内科教授の岩田健太郎先生にインタビューを実施しました。
岩田 健太郎(いわた けんたろう)先生のご経歴
1997年島根医科大学卒業、沖縄中部病院研修医。1998年ニューヨーク市コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院内科研修医。2001年米国内科専門医、ニューヨーク市ベス・イスラエル病院感染症フェロー。2002年ロンドン大学熱帯医学衛生学修士課程入学。2003年中国北京SOSクリニック家庭医、米国感染症専門医。2004年より亀田総合病院総合診療部感染症内科。2008年より神戸大学感染症内科。神戸大学都市安全研究センター 医療リスクマネジメント分野。神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座感染治療学分野を兼任。

本インタビューでは、「海外で医学を学ぶメリット」「国際的な医師として活躍する上で重要なこと」といった内容を岩田先生のご自身の国際的な医療経験を基にお話しいただきました。イタリアをはじめとする海外医学部への進学を検討する学生やその保護者にとって、非常に示唆に富む内容となっております。インタビューの内容はこちらからご確認いただけます。
また動画の一部を抜粋して本記事にも掲載しております。
以下「【岩田健太郎先生】海外医学部に進学するメリットとは?」より抜粋。
※以下敬称略
国際的に活躍する医師とは?
――英語で医学を学ぶことのメリット・デメリット
浅野)
英語で医学を学ぶことには、どのようなメリットやデメリットがあるとお考えですか?
岩田)
個人的にはメリットの方が大きいと感じています。その理由の一つが、日本語の医学用語には翻訳の過程で意味がわかりづらくなっているものが少なくないことです。たとえば心臓生理学に出てくる『前負荷』や『後負荷』という単語を初めて学んだとき、「なぜ心臓の“前側”が後負荷で“後ろ側”が前負荷なのか?」と混乱したことがありました。しかし、英語でそれが 『preload』と『afterload』であると知ったことで、これは「空間的な前後」ではなく「時間的な前後」を表しているのだと理解できました。他にも、「てんかん」という日本語を聞いても、それが『癲癇』なのか『(転換性障害における)転換』なのか、つまり「神経疾患」と「精神疾患」のどちらの話なのか文脈なしにはわかりにくい。一方で、英語で『seizure』や『conversion』 と言われれば、意味がはっきりします。このように、語学力のハードルさえ乗り越えれば、英語のほうが学問理解は進みやすいと思います。

――国際的な医師として活躍するための能力
浅野)
国際的な医師として活躍するためには、どのような能力が必要だとお考えですか?
岩田)
「フラットにものを見る力」だと思います。そのためには、自分の中に“軸”を3つ以上持っておくことが重要です。たとえば日本とアメリカの2軸だけで比較していると、どうしてもアメリカを模範として日本を批判するような姿勢になりがちです。しかし、アメリカの在り方が必ずしも世界標準とは限りません。実際に私が北京で勤務していた際には、アメリカ、オーストラリア、南アフリカ、フランス、ドイツ、中国など、様々な国の医師たちと仕事をしましたが、それぞれの国で個別のスタイルがありました。重要なのは、それを優劣ではなく「スタイルの違い」として肯定的に捉えられるかどうかです。国際的な環境が苦手な人ほど、例えば途上国に派遣された際などに、つい「日本と比べてここが良くない」などと判断してしまいがちですが、それでは現地との信頼関係は築けません。どの国にも独自の文化や価値観に根ざした在り方があり、それを単純な優劣で測るのではなく「違い」として理解できることが、どこに行っても通用する国際的な医師としての資質だと思います。
――国際的に活躍したい学生へのアドバイス
浅野)
将来、国際的に活躍したいと考えている学生へのアドバイスがあればお願いします。
岩田)
海外で働いても「自分がすごいことをしている」と思わないことが大事ですね。僕自身、アメリカで働いていた際に「ニューヨーク市のど真ん中でバリバリ働いている自分はすごい」と天狗になっていた時期がありましたが、実際にはニューヨークで働いているから偉いということはなく、臨床医がやることは日本でもアメリカでもアフリカでも大体同じで、診察して診断をつけて治療するだけです。日本でできないことは他の国でもできない。だからこそ、逆説的かもしれませんが「自分のやっていることを過大評価しないこと」が、国際的に活躍する上ではとても重要だと思います。
――海外の医学部出身者に期待すること
浅野)
最後に、最近ではイタリアなどの海外医学部で学び日本に戻ってくる医学生が増えています。この点について、どのようにお考えですか?
岩田)
期待は大きいです。海外で学んだ人たちは、多様な価値観や在り方に触れてきており、それが日本の凝り固まった医療文化を変えるきっかけになりうると思っています。日本の医療現場には、未だに「夜遅くまで働くのが当たり前」「休まず働くのが美徳」といった体育会系的価値観が色濃く残っています。こうした風潮に疑問を持たない医師も多く、加えて「女性医師が病院で活躍できるはずがない」「病院は男社会だ」といった前時代的な感覚も根深いのが現状です。一方、海外では数多くの女性医師が活躍していますし、医師が夕方に帰宅することに何の問題もない。そうした「当たり前」が日本では非常識扱いされる。それだけ日本の医療現場は閉じていて、価値観が単一すぎるんです。医学そのものはすでにグローバル化が進んでいて、エビデンスやガイドラインは国を超えて共有されています。どこの国で学ぼうが、診療の本質はほとんど変わらない。国ごとに大きな違いがあるのはシステムや文化、価値観などの部分です。だからこそ、海外で訓練を受けた人たちが持つ“違うものの見方”はとても貴重です。そうした多様性を持ち込める人材が増えることで、日本の医療界もより柔軟で豊かなものになっていくと期待しています。
今後の展開
今回のインタビューを実施したMED ITALY株式会社が運営する「イタリア医学部予備校」は、海外医学部の中でも、「イタリアの医学部」受験に特化した予備校です。年間学費が安く(約30万円〜/年)、入学のハードルが低いと言われるヨーロッパの医学部、中でも英語で医学が学べるイタリアに注目が集まっています。
本インタビューを通じて、当校の取り組みをより多くの方々に知っていただくきっかけになればと考えております。当社の理念である「踏み出す一歩が未来を変える」に基づき、引き続きイタリア医学部進学を望む学生への渡航前、渡航後のサポートを一層充実させていこうと考えております。

MED ITALY株式会社
【会社概要】
会社名 : MED ITALY株式会社
代表者 :代表取締役 近藤晋一郎
所在地 :東京都港区芝公園3丁目4-30 32芝公園ビル7階
Tel : 03-4400-0815
mail :imat.japan@kondomeditaly.com
事業内容 :イタリア医学部予備校 運営
本件担当者 :梅本湧馬
公式HP :https://www.kondomeditaly.com/
公式ブログ :https://kondomeditaly.com/blog/
YouTube :https://www.youtube.com/@meditaly-japan
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