5Gの到来により、中国キャリアへ端末販売奨励金の圧力が増加

・China Mobileは「5G端末先駆者イニシアチブ」プログラムを推進し、自社ブランドの5G端末を2019年に投入。更に、5Gによる技術革新やアプリケーションに多額の投資を行う。
・China Telecomは、5Gに限らず全ての通信モードに対して報奨金を用いたプロモーションを行うが、特にAIや先進的なネットワーク機能に重点を置く。
・一方で、China Unicomは端末の奨励金を減らし、品質とサービス向上に専念。
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下、カウンターポイント社)は、中国国内市場における5G対応スマートフォン端末販売奨励金に関する最新市場調査を発表致しました。

近年、中国のキャリアは奨励金の割当先の最適化を行っている為、端末への奨励金は減少しています。また、カウンターポイント社のMarket Pulseの調査資料によると、中国国内市場全体の2018年のスマートフォン売上は前年比11%減少しており、更に端末の販売奨励金も減少しています。

その一方で、複雑な5G端末は部品原価が著しく増えるため、これと相殺するためにキャリア各社は奨励金を増やそうとしており、カウンターポイント社の最新調査によれば、部品費は最大US$50程度増加する見込みです。

結果として、5G端末向けの奨励金によって、奨励金全体の減少傾向は止まるか、あるいは逆転して増加するとみられます。5Gスマートフォンに関するカウンターポイント社の最新予測では、2019年に約570万台が出荷され、2020年には前年比540%増の3650万台に達する見込みです。長い目でみれば、5Gの立ち上がり時期は、3Gのものと似るとみられ、5G端末向けの奨励金も着実に増加する見込みです。しかし、中国のキャリアは販売チャネルへのインセンティブ、サービス品質やユーザ体験の向上、あるいは消費者への直接還元を重視するので、端末そのものの奨励金は5G端末時代が来たとしても2014年以前のレベルには戻らない見込みです。

図1:純粋な端末奨励金額はトレンドが逆転

どの中国のキャリアも奨励金を増やす見込みですが、どのように使うかは各社異なります。

China Mobileは1~2億人民元を5G端末メーカー向けに用意しています。同社はさらに、200億人民元におよぶ5Gファンドを設立し5Gのイノベーションと事業開発を支援する計画です。4G全体の中で4G+の顧客は2018年で34%と比較的少ない為、5G時代到来後も、当面の間、China Mobileは4G+端末の助成も続ける予定です。

図2: China Mobileは戦略的パートナーに手厚く奨励金を出している


China Unicomは、端末の奨励金を減らしてきました。同社の奨励金戦略はインターネットにフォーカスしており、210億人民元を5Gへの乗り換えに投入しています。China Telecomが未だに4Gも含め全モードの機種に対して奨励金を出していることと対照的です。

スマートフォンに加え、Internet of Things (IoT) 用セルラーモジュールも奨励金の対象となります。例えば、China Telecomは、4GやNB-IoT(Narrow Band-IoT)のコストを低減させる為に、総額3億人民元つまり48億円ほどを2018年に投入しました。しかし、NB-IoTモジュールの価格はアメリカドルで$3~$4程度まで下がってきている為、今後、セルラーモジュール向け奨励金の金額は減少する見込みです。

図3: China Telecomは53億人民元を奨励金として拠出


5Gへの切り替えによって、ネットにつながるスマートデバイスの利用も進みます。いわゆるインテリジェントデバイス、例えば、VR/AR、ウェアラブルガジェット、コネクテッドノートブック、HD STB、MIFIなどは、5G時代にさらに種類が増える見込みであり、こうしたデバイスへの奨励金を、キャリア各社が別途提供することになる見込みです。この動きは、中華人民共和国国家発展改革委員会(NDRC)が消費者の端末アップグレードを促すために行う新しい施策の歩調に合わせることになると予測されます。

【カウンターポイント社 会社概要】
Counterpoint Technology Market ResearchはTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んだ経験を持つ。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/

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会社概要

URL
https://www.counterpointresearch.com/
業種
情報通信
本社所在地
20F Central Tower, 28 Queen’s Road Central, Hong Kong
電話番号
-
代表者名
Kyungsoo Kang
上場
未上場
資本金
550万円
設立
2012年05月