幼少期を養護施設で過ごし、荒戸源次郎の元で映画制作を学んだ異色の映画作家・石井慎吾監督「風のゆくえ」が、8月5日より新宿K's cinemaにて公開!! 多彩なゲストを迎えたトークも
監督自身が作品に込めた思いを語った、オフィシャルインタビューも到着「20代後半から30代前半ぐらいで苦しんでいる人たちがいたら、べつに大丈夫だよ、と伝えたい。そういう映画です」
大森立嗣監督の『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(10)に、脚本協力で参加した石井慎吾監督による、待望の長編デビュー作『風のゆくえ』が公開される。同作は石井監督自身の実体験をベースに、一組の男女の恋愛の終わりを描いたもの。かつての別れを長く引きずっていた石井監督は、それと向き合わければ次に進めないという思いでこの脚本を書き上げた。
何を書いても自分の話になる
「僕の癖なんですけど、何を書いても結局自分の話になってくるんです。だからこそ、撮影は本当に辛くて、映画をやるのはこれで終わりかなと思っていました。それぐらいのものが撮れたし、これで終わっても悔いはないかなと」
主役の男女は石井監督と当時の交際相手がモデルになっている。自分から別れを切り出す真司を演じたのは、『菊とギロチン』(18)などに出演し、映画監督としての顔も持つ嶺豪一。石井監督とは、第33回ぴあフィルムフェスティバル入選作『ケージ』に助監督で参加したのがきっかけで、10年来のつき合いだ。その元カノである茉耶を演じたのは、子役出身で舞台をメインに活動中の斎藤千晃。この脚本の出発点は、茉耶のモデルになった女性のプレイリストに入っていた、山崎まさよしの「明日の風」という曲の歌詞だった。
「もともとは真司と茉耶の両方の視点から書いていたんですけど、だんだん自分に近い存在である真司の方に寄っていって。嶺くんも真司=僕だと思って演じていたらしいです。僕自身は真司を自分として演出したことは一度もないんですけど、事実の中に嘘を折りまぜるのが上手いというか、結構好きなのかもしれません」
台湾での撮影も
2018年に始動した本作は、コロナ前に台湾での撮影も敢行。別れを決めた後で、それ以前から予約していた台湾旅行に2人揃って行くエピソードは、石井監督の実話である。撮影前にはリハーサルを行い、台湾ではアドリブも交えながら、2人の空気感を作っていった。
真司の部屋は石井監督の自宅、アルバイト先の倉庫は石井監督が実際に働いていた場所、養護施設で育ったという真司の過去にも施設出身である石井監督の人生が反映されている。
真司は劇中で自分の中にある思いを日々ノートに書きとめているが、それも石井監督が15年以上続けている習慣だ。その集大成ともいえるラストの独白シーンは難航し、撮影は日をまたいで2日がかりに及んだ。
「『ひとりで生きる』(92/『動くな、死ね、甦れ!』(91)の続編にあたる)という映画で、主人公の少年が最後にカメラに向かって一人で話すんですけど、そのシーンをイメージしていました。ただ、嶺くんの芝居があまりにもすごくて、撮り終えた瞬間は、僕が嗚咽するぐらい号泣しちゃってその場にいられないほどでした」
荒戸源次郎事務所で学んだ映画制作
もともと映画監督になりたかったわけではなかった。面白いことがやりたい、という気持ちから映画の買い付けや宣伝を志し、荒戸源次郎が専用の映画館「一角座」を建設したことでも話題になった『ゲルマニウムの夜』(05)の上映活動に携る。それをきっかけに大森立嗣監督のもとに出入りするうち、面白いものは自分で作ればいいという方向にシフトしていった。
「大森さんの脚本を読んで感想を言ったりする中で、自分でも書いてみたのが、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』の原型になるものでした。でも僕、22歳まで1冊しか本を読んだことがなくて。「金田一少年の事件簿」のノベライズ本を3年ぐらいかけて読んだのが、それまでの唯一の読書体験。中学校の卒業文集も友達に書いてもらったぐらいだったんですよ」
それが今や自作だけでなく、『風のゆくえ』で助監督をつとめた木下雄介の『いたずら同盟』(18/『十年 Ten Years Japan』の一編)など、他の監督の脚本も担当している。
「10年ぐらい自分の作品を撮れていなかったので、もう他の人に撮ってもらえばいいかな、みたいな気持ちになっていたんですよね。でもようやく、また自分で撮りたいなという思いが、ちょっと出てきました。ただ、よく考えてみたら、今までもただ好きなことを流れでやってきただけ。だって作文すら書いたことのなかった人間が今は脚本を書いてるってすごくないですか(笑)? 映画化に至っていない脚本はまだめちゃめちゃあるので、書けることが僕の最大の強みですね」
2本目の脚本も書いてあるというだけに、興行が成功すれば続編も観られるかもしれない。
「自分の殻にこもっていた男が、カーテンを開けるだけの映画です。でも人生ってそういうもんじゃないですか。それで世界が変わるわけじゃないけど、自分自身は変わる。風の行方は誰にもわからないんだから、今を生きようよと。20代後半から30代前半ぐらいで苦しんでいる人たちがいたら、べつに大丈夫だよ、みたいな。そういう映画です」
劇場トークゲストスケジュール
新宿K’s cinema(連日20:00-)
8/5(土)嶺豪一さん(主演)、斎藤千晃(主演)、石井慎吾監督
8/6(日)嶺豪一さん(主演)、石井慎吾監督
8/7(月)ジャガモンド斉藤さん(映画紹介師)、石井慎吾監督
8/8(火)前田弘二さん(映画監督)、石井慎吾監督
8/9(水)大森立嗣さん(映画監督)、大西信満さん(俳優)、石井慎吾監督
8/10(木)瀬々敬久さん(監督)、嶺豪一さん(主演)、石井慎吾監督
8/11(金)嶺豪一さん(主演)、斎藤千晃(主演)、石井慎吾監督
クラウドファンディング 7月28日(金)23:59まで
7月28日まで、モーションギャラリーのクラウドファンドでサポーターを募集している。
https://motion-gallery.net/projects/kazenoyukue_release
集まった支援金によって、地方劇場への舞台挨拶など作品を届ける活動に使用する予定だ。
作品詳細
風のゆくえ
監督・脚本:石井慎吾
出演:嶺豪一、斎藤千晃、豊満亮、小林由來、武田真悟 、仙洞田志織、神野陽子、米元信太郎、針ヶ谷功明、 他
撮影:古屋幸一 録音:南川淳 台北録音:空井大地 助監督:木下雄介 美術:吉岡晶 ヘアメイク:香理
スチール:佐々木綾子 応援:池原大也、坂口天志、磯 龍介 台北コーディネーター:江依紋編集:足立佑安、立薗駿 サウンドデザイン:光地拓郎 音楽:今村左悶 音楽助手:今村淳平 音楽ミックス :今村左悶、江渡佳彦 協力:珈琲専門店アルマンド、pebble 下北沢、bar DUDE、晴海客船ターミナル、牛丸亮、針ヶ谷仁、飯田澄人、浅井ヘアメイク事務所
音楽協力: エム・スタイル (2022 年/カラー/日本/DCP/ビスタ/74分)©️映画「風のゆくえ」製作委員会
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト 配給協力:ALFAZBET
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像