AI-CAEソフトウェアである「RICOS Lightning」を提供する株式会社RICOS、約6億円の資金調達を完了

RICOS

AIとシミュレーション技術で製品設計の効率化と高付加価値化を実現する株式会社RICOS(本社: 東京都千代田区、代表取締役 井原遊、以下 RICOS)は、XTech Ventures株式会社、mint、DRONE FUND株式会社、UT創業者の会(東大創業者の会)ファンド、山梨中銀経営コンサルティング、株式会社広島ベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資と、株式会社北國銀行からの借り入れを実施、総額約6億円の資金調達を2025年7月に完了いたしましたので、お知らせいたします。

■RICOSの概要と調達の目的

RICOSは、CAE(Computer Aided Engineering)※1 にAIおよび高性能計算の技術を組み合わせることで、ものづくりのプロセスを最適化するテックカンパニーです。ものづくりの現場における製品設計のプロセスでは、CAEを活用しコンピュータ上に疑似的な製品モデルを作成したうえで、流体の流れや熱伝導などさまざまな物理現象をシミュレートする手法が多く利用されます。しかし、高い精度を求めてシミュレーションを行う際に、計算時間が非常に長くなることが1つの課題となっています。

そこでRICOSは、CAEとAIを組み合わせることで、高速にシミュレーション結果を予測できるアルゴリズム「IsoGCN(アイソジーシーエヌ)」を2020年に開発、特許を取得しました。その後soGCNのアルゴリズムを用いたAI-CAEソフトウェアである「RICOS Lightning」を販売開始、流体・熱流体向けのシミュレーションツールとしてお使いいただいております。現在、複数の自動車メーカー・機械メーカーと協働しております。また、現在、IsoGCNアルゴリズムを改良、より良精度かつ幅広い現象の表現が出来るAIアルゴリズムを開発中で、提供中製品である「Lightning」の継続的な更新も予定しております。

更に、製品形状の自動変形・最適化ソフトウェアである「RICOS Generative CAE」を昨年リリース、既に、土木建築資材を開発・製造・販売する株式会社ダイクレ様や自動車会社の方々をはじめとする複数企業との協業を開始しています。本システムは弊社のCAD kernel OSSであるTruck※2 と連携されており、既存製品の高性能化やコストダウン等を目的とし、構造、部材の選定、配置や形状を最適化するシステムの開発を進めています。

今回調達した資金は、「RICOS Lightning」「RICOS Generative CAE」の開発に充てるとともに、CAEを発展させるAIアルゴリズムの精度向上を目的とした研究開発、プロダクトの開発エンジニアや海外開拓含むBizDev人材などの採用強化に充当する予定です。

■CAE×AIアルゴリズム「IsoGCN」について

RICOSが開発したAIアルゴリズム「IsoGCN」を使うことで、シミュレーション結果を高速かつ高精度に予測できます。シミュレーションデータへの適用に特化した「IsoGCN」は、下記の4つの特長を備えています。

① 高速化:従来のシミュレーションに比べて計算量が削減できるため、シミュレーションの抜本的な高速化が可能になります。

② 3Dデータの把握:3次元形状を詳細に把握できるため、製品設計の現場で用いられる複雑な形状の予測に適しています。

③ 形状に関する“外挿”の可能性:アルゴリズムに流体解析、熱解析、構造解析などの手法を組み込んでいるため、従来のシミュレーション同様まったく新しい製品形状に対しても信頼性の高い結果が得られます。

④ 容易な操作:従来、CAEシミュレーションに必須であった厳密なメッシング作業が不要となります。結果、シミュレーションに携わる方の早期の立ち上がりや、設計者・デザイナー等、シミュレーション専門の方以外の使用が可能となります。

これにより、数日かかっていたシミュレーションの計算時間を十分な精度を保ったまま数分にまで短縮した実績もあります。また瞬時に計算結果を確認できることで、リアルタイムでの製品設計の実現に近付きます。これまでの適用実績には、自動車の空力特性解析、電子部品の熱解析、樹脂製品の成形解析、ガスの熱流体解析などがあります。

RICOSは、弊社の製品を通して、あらゆるものづくりの現場で効果的に科学計算が活用され、最終的には最適な性能を瞬時にデザインできる世界の実現を目指します。

※1 CAE(Computer Aided Engineering)とは、より高品質な製品開発のために、コンピュータ内で製品設計やシミュレーションなどを行う設計手法です。コストや時間のかかる製品の試作・実験を一部省略できるため、多くの設計現場で用いられています。

※2 Truckとは、RICOSで開発しているRust言語を用いたCAD kernelソフトウェア(GitHub)です。

■出資を頂いた皆さまより

▼XTech Ventures株式会社 インベストメントマネージャー 荻野公平様より

AIによるシミュレーション高速化技術において、グローバルでトップの技術力を有しており、この市場においてグローバルでゲームチェンジを起こせると思い、今回出資させていただきました。経営メンバーの皆様も非常に優秀な方々が揃っており、日本発の研究開発型スタートアップとして、グローバルにご活躍されることを心より期待しております。弊社としても微力ながらご支援していきます。

▼mint principal 岡澤 雄介様より

前回の投資では、創業者井原さんをはじめとする卓越したチームと圧倒的な技術力に強く惹かれ、出資を決定いたしました。期待どおり、同社は着実に事業を拡大したうえ、海外顧客の獲得など、潜在成長力を一層示しています。これらの実績を高く評価させて頂き、今回も追加出資を実行いたしました。今後も、同社のさらなる成長に貢献してまいります。

▼DRONE FUND株式会社 共同創業者/代表パートナー 大前 創希様より

2023年に引き続き、フォローオン投資という形でRICOS社を支援させていただくこととなりました。 私たちDRONE FUNDが目指す「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現には、機体設計のアップデートによる性能向上が不可欠であると考えております。 RICOS社のCAE解析技術は、自動車業界をはじめとする様々な産業分野において受け入れられ始めており、ドローン・エアモビリティ分野にも大きく広がっていくことを期待しています。 引き続き、「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現に向けて、RICOS社への支援を強化してまいります。

▼UT創業者の会(東大創業者の会)ファンド 伊藤 豊様より

東大創業者の会ファンドは、2023年10月の前回ラウンドに引き続き、RICOSへの追加出資を決めました。製造プロセスにおけるシミュレーションにおいてAIを活用し高度な計算を行うニーズはグローバルで共通しており、日本の大企業のみならずグローバル企業に広く展開できる可能性に魅力を感じています。日本発世界に挑む起業家の挑戦を東大出身起業家のコミュニティで応援してまいります。

▼山梨中銀経営コンサルティング株式会社 代表取締役 入戸野文謙様より

同社のAI-CAEシミュレーションソフトウェアが、計算速度の高速化(約100倍)・省力化、精度の向上を実現することで、製造業の抱える課題解決に大きく寄与し、持続的な地域経済の発展に貢献する事業と評価し、出資を決定いたしました。

当社は、資金面での支援を行うとともに、今後は地域金融機関として同社の成長発展に向けて積極的に各種支援を行ってまいります。

▼株式会社広島ベンチャーキャピタル シニアアソシエイト 古川皓一様より

とにかく、井原さんのCAEにかける熱意に圧倒されました!RICOSの持つ「IsoGCN」技術は、少ないデータでも高精度・高速に解析できる次世代CAEで、モノづくりの現場にとって心強い技術だと感じています。また、技術に向き合ってきた姿勢や、チームのみなさんの努力がプロダクトにしっかり表れている点も、とても印象的でした。製造業が盛んな広島でも、RICOSの技術がしっかり活かされていくよう、私たちも支援していきたいと思います!

▼株式会社北國銀行 マネージャー 中村光佑様より

同社のAI・シミュレーション技術は、CAE解析を進化させ、自動車業界をはじめとする製造業における試作、設計の計算作業が大幅に短縮となり、製造業の設計・解析分野に革新をもたらすと考え、今般ご融資を決定いたしました。今後、例えば北陸地区の製造業にも連携していくこと等、より幅広い領域で同社の技術が活用されていくよう、弊行としても支援を続けてまいります。

■株式会社RICOSについて

会社名:株式会社RICOS

事業開始日:2015年12月

所在地:東京都千代田区丸の内二丁目3番2号

代表:代表取締役 井原 遊

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会社概要

株式会社RICOS

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URL
https://www.ricos.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区丸の内二丁目3番2号
電話番号
03-5615-9777
代表者名
井原遊
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
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