ネルソン・ホー個展「鏡中花、水中月 - A Mere Reflection of Flower and Moon」

2025年12月6日(土)より神楽坂・√K Contemporaryにて開催

√K Contemporary

√K Contemporary(ルート K コンテンポラリー|東京・新宿)では、2025年12月6日(土)から12月27日(土)まで、マレーシア出身のアーティスト、ネルソン・ホー(1998–)による個展「鏡中花、水中月 - A Mere Reflection of Flower and Moon」を開催いたします。

ネルソン・ホー個展「鏡中花、水中月 - A Mere Reflection of Flower and Moon」メインビジュアル

ネルソン・ホー(Nelson Hor)は、多摩美術大学で日本画を学んだのち、岩絵具、陶、写真、インスタレーションといった多彩なマテリアルを自在に往還しながら、LGBTQやメンタルヘルスといった現代社会の根源的な課題に向き合い、繊細かつ詩的な表現を生み出してきました。

「イスラム宗教色の強いマレーシアに育ったゲイの私にとって、美は宗教に代わるものでした。」

作家自身のこの言葉が示すように、本展は、濃密な宗教文化の中で育ったLGBTQの人々にとって “美” がどのように精神的な拠り所となり得るのか——その内的世界とクィア(Queer)の美学を独自の視点から掘り下げる試みです。

会場では、ネルソン・ホーによる新作ペインティングや立体作品、インスタレーションに加え、イサム・ノグチ、水之江忠臣、柳宗理といった戦後日本に新しい美意識をもたらしたデザイナーの家具を配置。日常に寄り添うシンプルかつ機能美に優れた家具と作品を共存させることで、ギャラリー全体が “クィアの聖域” として再構成されます。そこでは、美は贅沢品ではなく、クィアが厳しい現実を生き抜くための「精神的サバイバルの必需品」として、あらたな意味をもって私たちの前に立ち現れることでしょう。

作家のまなざしは、性や背景を問わず、残酷な現代を生きるすべての人の心に共鳴を生むはずです。

また、会期中には、内海潤也氏(公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館学芸員)をお招きしたギャラリートークや、AndromedaとNixie HumidityによるDrag Queenパフォーマンスを開催いたします。

Exhibition Information

ネルソン・ホー「鏡中花、水中月 - A Mere Reflection of Flower and Moon」

会期:2025年12月6日(土)〜12月27日(土)

※オープニングレセプション 12月5日(金)17時~

会場:√K Contemporary(ルート K コンテンポラリー)

所在地:東京都新宿区南町6

本展WEB:https://root-k.jp/exhibitions/nelson-hor_2025/

開廊時間:13:00–19:00 

休廊日:日・月主催:√K Contemporary

※最新情報はギャラリーウェブサイトおよびSNSにてご確認ください。

Artist Statement

本展タイトルの「鏡中花、水中月」は、中国語の慣用句である「鏡花水月」に由来しています。美しいものは往々にして儚く、手に入らないものであるという意味です。

イスラム宗教色の強いマレーシアに育ったゲイの私にとって、美は宗教に代わるものでした。

そこで、私はWhitney Davisの「Queer Beauty」という本を私なりに解釈し、本展を構成しました。同書の中でデイヴィスは、クィアの美意識は単なる欲望の表現ではなく、抑圧から脱却する方法でもあると述べています。私は、育った宗教に裏切られたと感じるからこそ、クィアの人たちは美しいものに聖域を見出すのだと思います。美は精神的なサバイバルの一形態になり得るものです。クィアの創造性は、世界をゼロから再構築し、かつて苦痛があった場所に美を見出すことから生まれています。ニュアンスに富み、重層的で、時にラディカルな方法で美意識を形成します。

今回の個展では、イサム・ノグチ、水之江忠臣、柳宗理など戦後日本のデザイナーたちによる家具とともに、私の新作を展示します。戦後の家具デザインは、凝った装飾を排除し、シンプルさと機能性を重視することをテーマとしていました。このアプローチは、後世の人々に美に対する新しい理解をもたらしました。

私はこの空間を、クィアな記憶と儀式に満ちた神聖な場所にしようと考えています。デザイン・オブジェを組み合わせることで、鑑賞者が座り、立ち止まる。クィアの人たちが美の概念を再構築するプロセスと同様に、美を贅沢品としてではなく、必需品として捉えなおすことができる空間にしたいと思っているのです。

私は、作品の優しさをこの空間に宿したい。

なぜなら、美とは残酷な現実への報復ではなく、ただ花や月の姿を映すものだからです。

ネルソン・ホー

Events

本展会期中には、クィアアートについて掘り下げるギャラリートークや、「クィアの美」をご覧いただけるパフォーマンスなど、本展のテーマとなっている「クィア」をテーマにしたイベントを開催いたします。

ご参加のお申し込み・お問い合わせは info@root-k.jp までお願いいたします。

【Event #1】 Gallery Talk「ネルソン・ホー(Nelson Hor) × 内海潤也」

日時: 12月6日(土)18時~

初日となる12月6日18時より、公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館学芸員の内海潤也さんをお迎えしたギャラリートークを開催します。

内海潤也(公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館学芸員)

内海潤也(うつみ じゅんや)

1990年、東京都生まれ。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科キュレーション専攻修了。

黄金町エリアマネジメントセンターキュレーターを経て、現在は公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館学芸員。ジェンダーに関心を寄せ、日本と東南アジアの現代美術を調査・研究しながら、展示企画、執筆などを行う。主な企画展に「ジャム・セッション 山城知佳子×志賀理江子 漂着」(2025–2026年)、「ジャム・セッション 毛利悠子 ピュシスについて」(2024–25年)、「第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap」(2023年、いずれも全てアーティゾン美術館)。2025年7月に設置したアーティゾン美術館屋外彫刻作品、レイチェル・ホワイトリード《Artizon Conversations》の企画・制作を担当。

【Event #2】「Drag Queen Performance」by Nixie Humidity and Andromeda 

日時: 12月13日(土)16時~

イベント第二弾は、Nixie HumidityとAndromedaによるドラァグクイーンパフォーマンスを行います。クィアの聖地となる本展会場にて、ドラァグクイーンによる美しいパフォーマンスをどうぞお楽しみください。


「すべての宗教に儀式があるように、もしクィアが宗教であるならば、ドラァグクイーンの舞は、魂を讃える神聖な儀式となるだろう。」 ― ネルソン・ホー

Andromeda

Andromeda(アンドロメダ)

2019年より東京を拠点に活動するドラァグ/パフォーマー。創造的な表現を通じて、セクシュアリティやジェンダーを探求している。これまでに、Gallery -1をはじめとする東京のギャラリーや、北千住のBuoYなどのアートスペースでパフォーマンスを行ってきた。IWAKAN MagazineおよびMoto IWAKANのメンバーとして、日本語でクィア文化をキュレーションし、発信している。ドラァグを通じて、新宿二丁目のクラブ(キングダム、アーチ、イーグルブルーなど)や、TOMO KOIZUMIのSOHO HOUSEイベントにも出演し、欠かせない存在となっている。

Instagram : @luna.andromeda.jp

Artist | ネルソン・ホー(Nelson Hor)

Nelson Hor

東京を拠点に制作するアーティストです。和紙に岩絵具で描かれる繊細な絵画作品や、陶、インスタレーション、写真を通じて、幼少期から現在に至るまでのクィアとしての経験や宗教との葛藤、記憶と癒やしのプロセスをテーマに制作を続けています。マテリアルに対する細やかなまなざしと、東アジアの絵画・工芸の技法を取り込みながら展開される作品は、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる個人的な物語と、普遍的な「生の不安/希望」を静かに繋ぎ合わせます。

公式WEB https://nelsonhor.com/

主な個展

「子どもの目から見たクリスマス」(スパイラル、東京、2024年)「赤い空に飛んでいた赤い鳥 The Red Cloud Over My Head」(KYOBASHI ART ROOM、東京、2024年)「Memory is a Garden」(GALLERY ETHER、東京、2022年)「毎日、君に手紙をかいてあげる」(haydEn Tokyo、東京、2021年)「見ぬが花 not seeing is a flower」(PULPLISM、東京、2020年)

主な受賞歴

「CRAZY PEACH Pilot Micro-Grant」Finalist(Crazy Peach Art Foundation、ロンドン、2025年)「KYOBASHI ART WALL」優秀作品(戸田建設株式会社、東京、2023年)「Spotlight 2022」Finalist(Penang Art District、マレーシア、2022年)

出展作品

ネルソン・ホー《出淤泥》(2025年)和紙に岩絵具 45.5 × 45.5 cm
ネルソン・ホー 《ナマコ》(2024年)粘土に釉薬  7×7×5cm
ネルソン・ホー《鏡花水月》(2025年)写真
ネルソン・ホー《僕の信仰を奪った烏》(2025年)インスタレーション (画像: アートフェア東京2025展示風景)
ネルソン・ホー《承認欲求中毒》(2025年)和紙に岩絵具  45.5 × 38 cm

【同時開催】√K Contemporary 作家支援プロジェクト|韓成南「手榴弾か、心臓か、」

韓成南「手榴弾か、心臓か、」メインビジュアル

メインギャラリーでの展示に加え、ギャラリー地下にあるSpace√Kでは、√K Contemporaryによる作家支援プロジェクトの一環として韓成南の個展「手榴弾か、心臓か、」を同会期にて開催します。

韓成南「手榴弾か、心臓か、」

韓成南は、コロナ禍をきっかけに「海中でしか鑑賞できない美術館」という構想を得て、2022年に日本初となる海中美術館プロジェクト《海の中の美術館》を立ち上げました。

同プロジェクトは、現代アートの展示を目的として設計された世界初の海中美術館であり、人間社会の営みを海中にトレースする試みを通して、現代社会に対する新たな視点を提示しています。また、作品を水中で鑑賞するという行為を通じて、鑑賞体験や人の身体機能、発想力や創造性の拡張や海中アクティビティの新たな可能性を探っています。

水中での鑑賞では、中性浮力によって無重力に近い状態を体験できることから、今回のSpace√Kでの展示では、天地を90度回転させた空間構成が試みられます。

また、本展では毎週パフォーマンスが行われ、加えて毎週金曜日には、展示中の映像作品が新しい内容に更新されることなど、常に変化し続ける意欲的な展覧会となっております。

Performance 

*最新イベント情報は√K Contemporary webサイト、SNSにてお知らせいたします。

  • 12月11日(木 )19:00-19:30 Viola and Video Night

    Viola: 森本 由希子/ 観覧料:donation (投げ銭)

  • 12月18日(木) 13:00-19:00  All-day performance by Sung Nam HAN (観覧無料)

  • 12月25日(木) 13:00-19:00  All-day performance by Sung Nam HAN (観覧無料)

韓成南(Sung Nam Han)

Artist | 韓成南(Sung Nam Han)

兵庫県神戸市生まれ。映像作家、演出家。シングルチャンネル映像、ブルーバックによるキーイングを用いた映像インスタレーション、AR写真・映像作品、アートパフォーマンスや「青」をテーマにしたインスタレーション作品などを制作している。Interdisciplinary Art Festival Tokyo、Art in Country of Tokyo、Interdisciplinary Art Project Kobeの代表、海の中の美術館初代館長。

Instagram: @sungnamhan_jonart.net_

Exhibition Information

√K Contemporary 作家支援プロジェクト|韓成南「手榴弾か、心臓か、」

2025年12月6日(土)〜27日(土)

会場:Space√K

所在地:東京都新宿区南町6(√K Contemporary B1F)

開廊時間:13:00–19:00

休廊日:日・月

本展web:  https://root-k.jp/exhibitions/root-k_artistsupportproject_sung-nam-han

√K Contemporary について

2020年、東京・神楽坂にオープンしたアートギャラリーです。ジャンルや世代、国境に捉われることなく、様々な芸術作品を提示し、後世に残す活動をしています。古代から現代に至る歴史の中で生み出されてきた美術作品を通して、先人たちの芸術思考を学び、独自の審美眼でキュレーションを行います。戦前から現代、コンテンポラリーを中心に、選りすぐりのアーティストたちの個展や企画展を開催しています。

また、宇宙空間に造設されたギャラリーをイメージした300 平米を超える展示スペースは、作品に新しい価値観を生み出す革新的な場面を作ります。それを鑑賞者と共有し、深く記憶されていくことで、私たちの活動の記録を未来につなぎ、新たなアートシーンを創出していくことが、√K Contemporary のミッションだと考えています。

Web | https://root-k.jp | FB : @rootkcontemporary | X / IG : @rk_contemporary

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会社概要

美術商社盛林株式会社

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URL
https://root-k.jp/
業種
商業(卸売業、小売業)
本社所在地
東京都新宿区南町6
電話番号
03-6280-8808
代表者名
加島林衛
上場
未上場
資本金
-
設立
2020年03月