世界のマーケティング責任者の71%が今後3年間、生成AIに年間1,000万ドル超を投資する計画~BCG調査

次の重点投資領域は動画生成、パーソナライゼーション、AIエージェント

経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、アジア、欧州、北米におけるさまざまな業界の最高マーケティング責任者(CMO) 200人を対象に、生成AIに関する調査を2023年、2024年に続いて実施し、その結果に基づくレポート「How CMOs Are Scaling GenAI in Turbulent Times」(以下、レポート)を発表しました。

CMOの83%が生成AIの業務への影響を楽観視、2023年の74%から増加

今回の調査では、マクロ経済の不確実性が続く中でも、CMOの71%が今後3年間、生成AIに年間1,000万ドル超を投資する計画であることがわかりました。昨年の57%から大幅に増加しています。また、生成AIが業務に与える影響について「楽観的である」と答えたCMOの割合は83%に上り、2023年の74%から増加しました(図表1)。一方で「不安・懸念」や「拒絶感」を示すCMOの割合は急速に低下しています。

生成AIが最も大きな変革をもたらしたと感じる分野を聞いたところ、3分の1超のCMOが「顧客体験」や「コンテンツの質・量」が向上したことを実感していました(図表2)。「生産性の向上」や「人手を必要とする作業の減少」を挙げるCMOは昨年より減少したものの、60%のCMOが、注力分野において生成AIが5%以上の収益増をもたらすと見込んでいます。

動画生成 、パーソナライゼーション、AIエージェントが次の重点領域

CMOは、さまざまな領域で生成AIの試験導入から適用規模拡大を進めています(図表3)。新たな活用領域を模索する中で、今後はコンテンツ作成(特に動画や没入型メディア)、パーソナライゼーション、AIエージェントの試験導入に重点的な投資が行われる見通しです。

  • コンテンツ作成における新しい可能性として動画生成に期待: CMOの30%が今後の重点領域に挙げている

  • パーソナライゼーションに向けて予測分析が依然として重要: 多くのCMOが、商品のおすすめ表示、最適なタイミングでの顧客へのアプローチ、次に届けるべきコンテンツの選定などをすでに本格的に展開している。今後は、個別最適化された特典の提供(パーソナライズド・オファー)、顧客の離脱予測、対象顧客層の最適化といったより高度な取り組みが試験導入段階に進むとみられる。パーソナライズド・オファーの適用を拡大している先進企業は、画一化されたオファーと比べ3倍の効果をあげている

  • AIエージェントはマーケティングのワークフローを再構築しており、特にB2B企業で顕著: B2B企業のCMOの3分の1、B2C企業のCMOの4分の1近くが、AIエージェントを優先投資領域に挙げている

マーケティングROI測定は優先度低、人材育成への投資が継続

デジタルチャネルでの顧客体験向上に対する資金配分について聞いたところ、マーケティングROI(投資対効果)の測定・評価に生成AIを活用することは、CMOにとって優先度が低いことがわかりました。多くのCMOは、過去に構築してきたファーストパーティデータ(自社で直接収集した顧客データ)の利活用を引き続き重視しており、マーケティング施策と売上のつながりを可視化するために重要なROIの測定には十分な投資を行っていないのが現状です。

一方で、人材育成への投資は継続されています。生成AI人材が不足する中、多くの企業が外部からの採用に頼るのではなく、社内でのハッカソン(短期間で集中的にサービスやプロダクトを開発するイベント)や外部の専門家などを招いたデモンストレーションを通じて、自社チームのスキルアップを図っています。

マーケティング・営業・プライシンググループのグローバルリーダーを務めるBCGニューヨーク・オフィスのマネージング・ディレクター&シニア・パートナー、ローレン・ウィーナーは次のようにコメントしています。「生成AIはいま、マーケティングチームの業務の中核に組み込まれています。競争優位性を構築しつつあるCMOは、テクノロジーの適用規模を拡大するだけでなく、それを使いこなす人材を重視しています。ツールと人材の両方に投資しているCMOこそが、マーケティングの常識を書き換えることができるのです」

■調査レポート

How CMOs Are Scaling GenAI in Turbulent Times

■関連する過去のプレスリリース

世界のマーケティング責任者の半数が「コンテンツ作成」に生成AIを活用~BCG調査」(プレスリリース、2024年7月26日)

世界のマーケティング責任者の70%が生成AIをすでに自社のマーケティングに導入~BCG調査」(プレスリリース、2023年6月29日)

■日本における担当者

阿川 大  マネージング・ディレクター & パートナー

BCGマーケティング・営業・プライシンググループのアジア・パシフィック地区リーダー兼日本リーダー。 

京都大学法学部卒業。イエール大学国際関係論修士、および経営学修士(MBA)。日興シティグループ証券株式会社、BCGニューヨーク・オフィスを経て現在に至る。

■ ボストン コンサルティング グループ(BCG)について

BCGは、ビジネスや社会のリーダーとともに戦略課題の解決や成長機会の実現に取り組んでいます。BCGは1963年に戦略コンサルティングのパイオニアとして創設されました。今日私たちは、クライアントとの緊密な協働を通じてすべてのステークホルダーに利益をもたらすことをめざす変革アプローチにより、組織力の向上、持続的な競争優位性構築、社会への貢献を後押ししています。

BCGのグローバルで多様性に富むチームは、産業や経営トピックに関する深い専門知識と、現状を問い直し企業変革を促進するためのさまざまな洞察を基にクライアントを支援しています。最先端のマネジメントコンサルティング、テクノロジーとデザイン、デジタルベンチャーなどの機能によりソリューションを提供します。経営トップから現場に至るまで、BCGならではの協働を通じ、組織に大きなインパクトを生み出すとともにより良き社会をつくるお手伝いをしています。

日本では、1966年に世界第2の拠点として東京に、2003年に名古屋、2020年に大阪、京都、2022年には福岡にオフィスを設立しました。
https://www.bcg.com/ja-jp/

■ 本件に関するお問い合わせ

ボストン コンサルティング グループ マーケティング 中崎・福井・中林

Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com

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会社概要

URL
https://www.bcg.com/ja-jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都中央区日本橋室町三丁目2番1号 日本橋室町三井タワー 東京都中央区日本橋室町三丁目2番1号 日本橋室町三井タワー
電話番号
03-6387-2000
代表者名
秋池玲子、内田有希昌
上場
未上場
資本金
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設立
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