スペースシフト、AIを活用した精密農業ソリューションをAWS上で開発

作物生育モニタリングによる持続可能な農業実現への貢献

スペースシフト

東京-2022年12月23日-株式会社スペースシフト(以下、スペースシフト)は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社と連携し、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)上で作物の生育状況を正確に把握する技術「AI 搭載精密農業ソリューション」を開発することを発表しました。スペースシフトは、AWSの世界最先端のクラウドサービスを活用した、安全で柔軟かつコスト効率の高いデータ処理により、より正確な作物の生育モニタリングを実現し、世界中の農業分野の顧客にとって価値の高い技術を提供していきます。
農林水産省の統計(農林業センサス、2010年世界農林業センサス)によると、農家の数は減り続けており、2005年の224万1,000人から2020年には39%減になりました。また、農業従事者の70%が65歳以上であり、49歳以下は11%となっています。このように、農業分野は現在、高齢化による農業従事者の減少などの課題を抱えています。その解決に向けては、データを活用し、人手に頼らない効率的な農作業を支援するなどの対策を講じることが必要です。地球観測衛星は、定期的かつ自動的に、広域を一度に撮像することができます。そのため、衛星で得られるデータは、高齢化による人手不足などの課題解決に向けて、活用が期待されています。

スペースシフトは、人工知能(AI)および機械学習(ML)を用いた衛星データ解析、特に合成開口レーダ(SAR)衛星データを中心としたソフトウェア開発により、「人間活動と自然環境の最適化」を通じた持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。現在、SAR衛星の数は急速に増加しており、そのデータを農業など様々な分野で活用することで、作物生産の最適化を図ることが期待されています。しかし、衛星データを利用するエンドユーザーが簡単かつ効果的にデータを活用できるためには、解析技術やソフトウェアの開発・提供を行うことが必要です。スペースシフトは、専門のテクノロジーを活用し、ソリューションの開発に取り組んでいます。

農業分野では従来、作物の生育状況を推定するために光学衛星を用いた観測が行われてきました。しかし、光学衛星は曇天時の観測ができないため、収穫適期等の解析に必要な時期のデータが取得できないなど、実用上の課題があります。そこで、光学衛星でデータが取得しづらい時期をSAR衛星のデータで補うことで、より継続的な観測を可能にします。また、生育状況を把握するためにAIを活用し、SAR衛星データから作物の作付け状況や生育状況を把握することができるようになります。スペースシフトは、AIやMLのノウハウを活かし、AWS上で本技術を開発することで、衛星データ活用市場の拡大に貢献します。

スペースシフトでは現在、SAR衛星を利用して農作物の生育状況の情報を配信するサービスを開発中です。得られた情報は、農業分野だけでなく、農産物の流通やマーケティング・広告業界など、さまざまな業界で活用できるよう開発を進めています。広大な畑を管理する上で、経験の浅い農業生産者でも、圃場(ほじょう・田や畑などの農地)単位で生育状況がわかれば、適切な時期に収穫を行うことができます。そして、広告代理店やメーカーは、旬の時期を早く知ることで効率的なキャンペーンや生産計画を立て、売上向上やコスト削減を図ることができるようになります。

日本海に面した鳥取県は、宇宙関連産業を県の将来を担う新産業の一つと位置付け、産学官連携による宇宙産業の創出にも積極的に取り組んでいます。スペースシフトはこの分野に注目し、2022年5月に鳥取県米子市に衛星データ利用技術研究開発センターを開設し、県の特産品であるネギを題材に衛星データによる作物の生育モニタリングの実証実験を行っています。作付けから収穫までのネギの生育状況をCapella社の小型SAR衛星で定期的に撮影すると同時に、大規模農家と直接連携して、ネギの高さや生育過程におけるスペクトル値を人手で計測し、AIの学習データとして活用しています。

 今後、AIの精度を向上させるためには、衛星や地上でのデータ収集とモデル開発のサイクルを継続する必要があり、AWSの技術によってこれを効率的に行い、精度向上のサイクルを加速させることができると期待しています。また、AWS IoT Greengrassを利用して、複数のエッジセンサーから地上データを収集・処理し、エッジからAWSにセキュアで低遅延(低レイテンシー)なデータ送信を行うとともに、Amazon SageMakerでAI/MLのためのデータ処理を行う予定です。さらに、AWSのフルマネージドクラウド基盤を活用し、作物の生育状況に関する分析結果を従来よりも迅速に顧客に提供する予定です。

Amazon Web Services 航空宇宙・衛星ソリューション事業部門ディレクター クリント・クロシエ(Clint Crosier)は次のように述べています。「スペースシフトは、将来にわたって安全で信頼性の高い地球観測データに対する顧客のニーズに応えようとしています。AWSの包括的なクラウドサービスは、このスペースシフトの世界規模での目標達成を支援します。AWSは、宇宙関連の技術を有し、クラウドの力を活用して地球上での暮らしと仕事をより良くすることに取り組むスペースシフトのようなお客様をサポートすることをお約束します」

鳥取県未来・産業創成課は、次のように述べています。
「スペースシフトは、『とっとり宇宙産業ネットワーク」に参画するとともに鳥取県内に衛星データ研究所を設置され、本県補助事業により地元農産物である白ネギなどの生育状況について、衛星データを活用して把握する実証試験を行っています。同社がAWSを活用することで、安定的かつスケーラビリティの高い先進的なサービスを実現し、その取組が更に加速し、地域課題の解決や本県の目指す宇宙産業創出に繋がっていくことを期待しています」

スペースシフトと協業する農場の一つである河岡農園株式会社の代表取締役である河岡誠氏は、次のように述べています。
「農業従事者の高齢化などによる就農人口の減少により、テクノロジーを活用して農業を効率化し、新規農業従事者にとって魅力的なものにすることがより重要になると考えています。ベテランの農業者なら適切な収穫時期や出荷時期などを感覚的に把握できますが、新規就農者には難しく、環境に左右される農業にとっては全体の状況把握が必要になります。今回のプロジェクトは、これらを衛星データやIoT、そしてAIでカバーする技術として、既存の農家やこれから農業へ踏み出す方を手助けする可能性を秘めており、非常に楽しみにしています」

スペースシフトの代表取締役社長 金本成生は、次のように述べています。
「スペースシフトは、SAR衛星のデータとAIで地上の様々な変化を解析する技術を開発しています。農業分野では、SAR衛星による農地の変化を解析するデータは非常に曖昧であり、地上データと組み合わせたAIアルゴリズムの開発が必要です。現在、作物を直接手で計測するには多くの人手と時間がかかりますが、より多様な作物を検出できる高精度なAIを開発するためには、できるだけ多くのデータを精密に収集することが重要です。AWS Greengrassが提供するIoTデバイスのエッジAI処理・管理機能を活用することで、地上データの計測を自動化し、AI用の膨大な学習データを自動作成することが可能となります。さらに、Amazon SageMakerを活用することで効率的なAI開発が可能となり、SAR衛星データのAI解析能力の向上が加速されると期待しています。当社は、今後も自社開発のAI技術により、農家の課題解決や地域活性化に貢献してまいります」
 


<関連リンク>
・鳥取県:​https://www.pref.tottori.lg.jp/
・スペースシフト米子衛星データ研究所:https://www.city.yonago.lg.jp/37452.htm
・Capella Space:https://www.capellaspace.com/
・AWS IoT Greengrass:https://aws.amazon.com/jp/greengrass/
・Amazon SageMaker:https://aws.amazon.com/jp/sagemaker/
・とっとり宇宙産業ネットワーク:https://www.pref.tottori.lg.jp/301313.htm

<会社概要>
会社名:株式会社スペースシフト(英文表記:Space Shift, Inc.)
本社:東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル6階
代表取締役 金本 成生
URL:https://www.spcsft.com/

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会社概要

株式会社スペースシフト

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URL
https://www.spcsft.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区大手町1−6−1大手町ビル6階
電話番号
-
代表者名
金本成生
上場
未上場
資本金
2億7400万円
設立
2009年12月