外国人旅行者の免税制度廃止は政府歳入にマイナス影響
免税制度は経済成長・国際競争力の維持・向上に不可欠と17団体が共同提言
小売業・観光業・旅行業・宿泊業・飲食業・労働組合など業界17団体は、消費税免税制度(以下、免税制度※)に関する共同提言書を取りまとめ、加藤勝信財務大臣・中野洋昌国土交通大臣をはじめ、政府および各党の国会議員に提出しました。
本提言では、観光立国戦略は日本経済の成長および国際競争力の向上に不可欠であり、外国人旅行者数・消費額いずれの視点からも「ショッピングツーリズム」の推進が重要としています。その推進の要となる免税制度は堅持すべきであるとして、制度廃止の意見に対する懸念と見解を論拠とともに提示しています。
免税制度廃止による経済影響を示す調査結果を公開
提言と並行して、ジャパンショッピングツーリズム協会など小売業関連7団体は、免税制度の廃止が訪日観光に与える影響を検証するため、訪日意欲の高い海外在住の外国人3,258人を対象としたアンケート調査を2025年7月に実施し、その結果を公開しました。
調査結果によると、免税制度の廃止は、訪日外国人客数および1人当たりの消費額にマイナスの影響を与え、訪日外国人客による消費総額の1兆4,304億円減少につながると算出されます。これに伴う税収の減少額は3,003億円と導出されます。
オーバーツーリズム対策などの財源確保を目的として免税制度廃止を求める意見・報道が散見されますが、本調査結果は、免税制度廃止はGDPの減少および税収減につながることを示しています。仮に制度廃止によって2,000億円の消費税収増があったとしても、歳入全体では1,003億円の減少となり、免税制度の廃止は政府の歳入にマイナスの影響を与えると算出されます。

調査対象地域:
・日本での旅行消費額が多い上位5カ国・地域(韓国、台湾、中国、香港、米国)
・本調査対象地域の訪日外国人は、全体訪日者数の 73.9%、全体旅行消費額の 65.6% を占める
(観光庁「訪日外国人の消費動向 2024年年次報告書」より)
調査対象者:
・スクリーニング調査において、訪日意欲の高い海外在住の外国人3,258人
当協会は、免税制度を維持しショッピングツーリズムを振興することが、異文化理解や国際交流の促進、日本全体の活力向上、GDPの増加につながり、また、観光立国政策における課題の解決にも寄与すると捉えています。オーバーツーリズム対策についても、課題の把握と対応策の検討、受入環境の整備、地方分散施策の推進などが有効だと考えています。
免税制度のありかたは、短絡的な判断ではなく多角的な視点から議論を重ねることが必要であることから、今後も引き続き、免税制度の検討に資するファクトデータの提供を行ってまいります。
10月中旬には、グローバルなマクロデータに基づく外部専門機関による経済波及効果分析結果を公開予定です。
※消費税免税制度:輸出物品販売場(いわゆる免税店)を経営する事業者が、外国人旅行者等の免税購入対象者に対し、免税対象物品を一定の方法で販売する場合には、消費税が免除される制度。正式名称は輸出物品販売場制度。
外国人旅行者向け消費税免税制度に関する共同提言書(別添)
【提言実施17団体(順不同)】
▼小売関連団体
全国免税店協会、日本百貨店協会、日本小売業協会、全国スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、日本ショッピングセンター協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本専門店協会
▼観光関連団体
日本観光振興協会、全国旅行業協会、日本旅行業協会、日本ホテル協会、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会
▼飲食関連団体・労働組合・その他団体
日本飲食団体連合会、UAゼンセン流通部門、ジャパンショッピングツーリズム協会
【提言内容】
添付資料「外国人旅行者向け消費税免税制度に関する共同提言書」をご参照ください
外国人旅行者向け消費税免税制度廃止による影響調査(別添)
【調査実施7団体(順不同)】
全国免税店協会、日本小売業協会、日本専門店協会、日本百貨店協会、日本フランチャイズチェーン協会、日本ショッピングセンター協会、ジャパンショッピングツーリズム協会
【調査内容・結果】
添付資料「外国人旅行者向け消費税免税制度廃止による影響調査(訪日可能性が高い在外ゲストへのアンケート)」をご参照ください
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