アジア・パシフィック(APAC) 不動産投資市場
投資環境の大幅な変化でも底堅い投資利回り
足許の市場環境下では、アジア・パシフィック都市の不動産の投資利回りを、他の資産クラスと相対比較すると、不動産投資の妙味は底堅いことがわかります。さらに資産別にみると、オフィスと物流施設が、イールドの追求ととインカム改善という組み合わせでは最適といえるでしょう。キャップ・レートの見通しをみると、オフィス市場ではコロナ禍の影響が抑制されていけば、賃料上昇を反映したキャップ・レートの低下、需要の高まる物流市場でもキャップ・レートの低下が見込まれています。
一方で、ホテルや小売セクターは、より時間のかかる構造的課題に直面しており、リスク・プレミアムも高まっています。ただし、一部のアジア都市、特にシンガポールと香港のホテルセクターでは、価格が急落しており、今後の価格回復の可能性を鑑みれば、より高いリスク・プレミアムを十分に補う水準にあるともいえます。
APAC不動産投資市場における資産別の収益力上昇の見通しは本当に様々です。従って、域内の資産を一括りの資産クラスとしてまとめてみなすことはもはや不可能であり、都市別、資産別のリスク対リターンを把握していくことが重要です。
資産クラス別の投資推奨
オフィス
オフィス・セクターでは、「コア投資」は必ずしも都心地区を意味するわけではありません。割安な地域への移転需要やサテライト・オフィスへの需要から追い風を受ける可能性が高いため、郊外のオフィスやビジネス・パークは投資妙味が高まっていくでしょう。
物流施設/産業用施設
コロナ禍に伴い、APAC全体でのeコマースとラストマイル配送を実現させる需要が高まっています。物流/産業施設はリスク・プレミアムが低く、安定した収益成長が期待できます。独立した物流業者、冷蔵倉庫などの機能が高度化した物流施設への投資意欲は強く、今後数年間も堅調に推移していく見通しです。データ・センターなどの関連アセットも含めて、全体的にキャップ・レートは低下していく見通しです。
ホテル
ホテル・セクターのリスク・プレミアムは相対的に高いですが、高いリスクに見合った潜在的な収益力も高く、コロナ禍からの回復力も非常に強いものです。過去を振り返ると、経済危機に伴う急激な売上高の減少の後は、急激な業績回復が認められています。
小売
過去を振り返ると、リテールセクターはディフェンシブに推移していました。しかし、セクター全体の構造的な問題の影響は増大しており、逆風にさらされ続けています。ただし、管理の行き届いた都心型若しくは郊外型のショッピング・モールなどではまだ投資妙味も残されていますが、概ね賃料上昇は見込みがたいでしょう。
「アジア・パシフィック(APAC)不動産投資市場:投資環境の大幅な変化でも底堅い投資利回り」の 詳細レポートは、以下のリンクよりダウンロードできます。
https://f.tlcollect.com/fr2/120/79304/%E3%80%90%E5%92%8C%E8%A8%B3%E3%80%91P1_Colliers_Real_Estate_Still_Good_Value_Part_1_AH_20200615.pdf
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