支援世帯のうち約30%の子どもが家計を理由にサッカーを辞める相談を家族にしていた。貧困や社会格差による、子どものサッカー体験格差に関するアンケート調査結果を公開。
love.fútbol Japanは、2021年より日本で、経済的な貧困等でサッカーをしたくても諦めている、続けることが困難な子どもたちを対象とする活動「子どもサッカー新学期応援事業」を、富樫敬真選手(サガン鳥栖)、小林悠選手、家長昭博選手(川崎フロンターレ)、山本摩也(INAC神戸)などサッカー選手18名とともに取り組んでいます。奨励金5万円の給付、用具寄贈、孤独に対する心の繋がりを育てるサッカー選手との交流を提供し、これまで3年間で、1000万円以上の奨励金を給付し、40都道府県子どもたち約1,100人に応援を届けてきました。
当会に支援を希望する子どもはこの2年間で3倍に増加し、今年300人を超えました。この調査は、日本で子どもの体験格差問題が顕在化する中で、本分野の課題とニーズを見える化し、日本スポーツ界と共有することで状況の改善の一助となるよう、2023年度の受益者36都道府県223世帯を対象に実施しました。
<調査概要> 回答者 : 2023年度事業の受益223世帯の保護者 地域 : 36都道府県(受益者の所在地) 方法 : アンケートを郵送し、自記式の任意回答の上、郵送で返答 回収期間 : 2023年3月11日〜3月31日 回収率 : 100% |
<サマリー>
世帯年収が200 万円以下の世帯は、全体の約60%を占めた。
35%の世帯が、これまでに子どもがサッカーを始めるまたは続けるために借入をしたことがあると回答。昨年の30%から増加した。
28%の世帯の子どもが、これまでに家計を心配してサッカーを辞めると家族や保護者に話した経験があると回答。
半数を超える53%の世帯が「相談をしたいが相手がいない」と回答し、相談相手がいる世帯割合を超えた。
82%の世帯が「子どものサッカーに対する支援活動は、食料や教育など生活インフラの支援と同じくらい必要」と回答した一方で、39%の世帯が「子どものサッカーに対して支援を求めることに抵抗があると回答。
91%の世帯が、コロナ禍や物価高を理由に子どものスポーツ費用を削減。87%の世帯が、スポーツ費用を捻出するために「生活費を削った」、30%の世帯が「仕事を増やした」、19%の世帯が「借り入れをした」と回答。
部活動の地域移行を認知している世帯において、100%の世帯が費用負担の増加に不安を感じている。
奨励金が5万円ある場合、「部活」では88%、「クラブチーム」では67%がサッカーを半年間以上継続できると回答。
100%の世帯(全223世帯)が、今後も今回のような支援を希望している。
【経済面】
35%の世帯が、これまでに子どもがサッカーを始めるまたは続けるために借入をしたことがあると回答。昨年の30%から増加した。
91%の世帯が、コロナ禍や物価高を理由に子どものスポーツ費用を削減。87%の世帯が、スポーツ費用を捻出するために「生活費を削った」、30%の世帯が「仕事を増やした」、19%の世帯が「借り入れをした」と回答。
【継続性】
奨励金が5万円ある場合、「部活」では88%、「クラブチーム」では67%がサッカーを半年間以上継続できると回答。
100%の世帯(全223世帯)が、今後も今回のような支援を希望している。
【相談環境】
半数を超える53%の世帯が「相談をしたいが相手がいない」と回答し、相談相手がいる世帯割合を超えた。
28%の世帯の子どもが、これまでに家計を心配してサッカーを辞めると家族や保護者に話した経験があると回答。
子どもから相談があった際に必要とされる相談相手・環境は、自治体、コーチや学校、匿名性が守られるオンライン、love.fútbol Japanのような第三者機関など様々な意見に分かれた。相談環境を一本化することだけでなく、相談環境の選択肢を増やすことの必要性が確認された。
【理解】
82%の世帯が「子どものサッカーに対する支援活動は、食料や教育など生活インフラの支援と同じくらい必要」と回答した一方で、39%の世帯が「子どものサッカーに対して支援を求めることに抵抗があると回答。
その理由として、「ひとり親の子どもがサッカーを習うのは贅沢だと批判を受けました。このように思う方は多いようです」、「子どもの夢・希望より、今の生活が大事だろう、やめさせればいいだろうと理解がなかなか得られない。」「贅沢だと捉えられてしまう風潮があるので支援を求めるのに躊躇した」、「世間ではシングル家庭ならそれ相応の身の丈に合った暮らしをすれば良い、習い事をさせなければ良いという考え方の人が多そうで抵抗があります」スポーツが世間から娯楽や趣味として捉えられやすいことに対する声が挙がっている。
【部活動の地域移行】
部活動の地域移行を認知している世帯において、100%の世帯が費用負担の増加に不安を感じている。
部活動の地域移行について詳しく知らない世帯は44%と半数近く確認された。仮に行政側で費用負担について政策が実施される場合でも、必要な人に情報を届けるための工夫が必要とされる。
【必要な支援について】
今後必要とする支援では、「奨励金」が最も多く全体の 94% が希望しており、続いて「スパイク」、「ウェア」など用具が続いた。
物理的な支援以外では、「子どもの習い事費用が軽減される支援」147件(68%)、「プロサッカー選手と一緒にサッカー」99件(46%)と、「Jリーグ、WEリーグや日本代表の試合観戦体験」106件(49%)の希望件数が多い。なお、全体の40%の世帯が、スタジアムでのサッカーの観戦経験はないと回答した。
「子どもが誰でも自由にスポーツを楽しめる居場所」は96件(44%)。コメントでも場所に対するニーズが確認された。
<本活動に参画する選手一覧>
計14クラブ18選手
・富樫敬真 選手(サガン鳥栖)
・田邉草民 選手(アビスパ福岡)
・森谷賢太郎 選手(サガン鳥栖)
・小林悠 選手(川崎フロンターレ)
・家長昭博 選手(川崎フロンターレ)
・齋藤学 選手
・新井直人 選手(アルビレックス新潟)
・ポープウィリアム 選手(FC町田ゼルビア)
・山本摩也 選手(INAC神戸)
・茂木力也 選手(大宮アルディージャ)
・吉見夏稀 選手(KSPO/韓国)
・三丸拡 選手(柏レイソル)
・韓浩康 選手(全南ドラゴンズ/韓国)
・野口龍彦 選手(ファジアーノ岡山)
・朴一圭 選手(サガン鳥栖)
・下澤悠太 選手(テゲバジャーロ宮崎)
・岡庭愁人 選手(大宮アルディージャ)
・宮澤ひなた 選手(マイナビ仙台レディース)
<報告書のダウンロード>
このアンケート調査報告書は、下記より閲覧・ダウンロードいただけます。
https://www.lovefutbol-japan.org/posts/44171545
<まとめ>
一般的に、スポーツは贅沢や趣味として見られやすいため、子どもの貧困問題において、スポーツの支援は、教育や食等の生活インフラの支援に比べて優先度が下がる傾向にあります。結果として、ニーズはあっても予算化されにくい、活動が生まれづらい、担い手が少ない状況が続いています。一方で、当会に支援を求める子どもの人数は2年間で3倍に増加し、規模が拡大しています。それだけでなく、子どもがサッカーをするために借入している、子ども自身が家の経済状況を心配して諦める、相談をしたくても相手がいない状況など、苦しい内情が確認され、今まさに対応が必要とされています。
私たちは今もこの先も、子どもたちが夢を持てる社会を望みます。夢を持つことができるのは、それが許される環境にある人だけではありません。自分の言葉を受け止め、理解しようとしてくれる大勢の人たちの存在があってこそ、子どもたちは夢を語ることができます。本報告書を通じて、子どもたちを支える仲間の輪が広がることを強く願います。どうか力を貸してください。
<団体概要>
love.fútbol Japanは、日本とアジアで、経済的な貧困や社会格差によって安全にサッカーをしたくてもできない子どもたちの「環境」を変える活動に取り組むNPO法人です。地域課題の解消と子どもたちが誰でも遊べる居場所を共創する「コミュニティ型のスポーツグラウンドづくり」や、日本で「子どもサッカー新学期応援事業」、サッカー選手たちが年俸の1%を寄付して子どもたちを支援するプラットフォーム「1% FOOTBALL CLUB」の運営をおこなっています。
団体名:特定非営利活動法人love.futbol Japan
設立:2018年1月12日
代表理事:加藤遼也
公式HP :https://www.lovefutbol-japan.org/
【問い合わせ先】
love.fútbol Japan 広報部
MAIL: team@lovefutbol-japan.org
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