建築家・坂 茂氏の設計による木質免震構造オフィスビル『タマディック名古屋ビル』着工
木のあたたかな執務空間を持った“働きがいのあるオフィス”の実現を目指します
株式会社タマディック(本社:東京都新宿区/愛知県名古屋市、英文社名:TAMADIC Co.,Ltd.)は、東海エリアの事業拠点である愛知県名古屋市において、新社屋『タマディック名古屋ビル』の建設に着手いたします。当ビルは、プリツカー賞を受賞した建築家・坂 茂(ばん しげる)氏の設計によるCLT(直交集成材)を活用した地上8階・地下1階の木質免震構造オフィスビルになり、2021年11月に竣工予定です。
今回、弊社が取得した名古屋市中区の土地は防火地域にあたり、耐火建築物しか認められないエリアになります。本計画では、CLT板とコンクリートを組み合わせた構造を用いることで、木のあたたかな執務空間と、しなやかさと頑丈な構造性能を持つ建築を実現いたします※。当ビルには、総務部や営業推進部など本社管理機能のほか、航空・宇宙事業部 FA・エレクトロニクス事業部の一部が移転する予定です。(※詳細については次頁にて)
弊社は1959年の創業以来、自動車、航空・宇宙、FA・ロボット、情報・家電業界の国内トップメーカーとともに設計開発・生産技術・解析業務をはじめ最先端技術の開発・革新に取り組んで参りました。同時に、「働きがいのある職場の実現」「健康保持・増進」を重点施策に据え、社員のモチベーションアップを通して技術力と人材力を両輪とする「総合エンジニアリング企業」を目指しております。今回の新社屋においても、執務エリアの環境性向上や社員間コミュニケーションの活性化、フィンランド式サウナ導入による健康促進などをテーマに据え、“働きがいのあるオフィス”の実現を目指してまいります。
■構造材としてのCLT板活用
柱はCLT板を組み合わせてロの字型の断面をつくり、それを型枠にしてコンクリートを打設し、RCを内蔵したハイブリッド断面としています。常時は、内蔵のRC断面が建物を支え、地震時には木造(CLT)+RCの柱として水平力に抵抗し、火災時には耐火性能のあるRC構造が建物を支え崩壊を防ぎます。
この柱は、実大の試験体を製作して性能確認試験を行った結果、一般的な配筋のRC断面のみの場合と比べ、断面形状・CLT板厚により、最大耐力が約3.8~5倍、剛性が約1.3~1.6倍となり、非常に優れた構造性能があることが確認できております。
各階の床は、CLT板を型枠としてコンクリートを打設した(RC+CLT)構造としています。柱と同様に、常時はRC断面で床を支えますが、RC+CLTの合成構造とする事で、床の振動やたわみを抑え、強度、剛性、遮音性、耐火性の高い床構造となります。また、一般的なRC造で必要になる支保工が最小限となることで他工事も同時に行えるため、工程の短縮化も図れます。
※ CLT板とは; Cross Laminated Timberの略称。ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した集成材。本計画では国産の杉材を使用する。
■執務室の環境面
南・西側の窓には、最新旅客機にも使用されているスマート調光ガラスシステムを採用いたしました。空調には、床全面から気流を送り出す滲みだし空調を採用。気流感を抑え、静かで温度むらの少ない快適な室内環境を創出します。
■フィンランド式サウナと“働きがい”
8階には多目的ホールのほか、社員誰もが利用できるフィンランド式サウナを常設。健康促進効果のみならず、社員間のコミュニケーション活性化、集中力の向上など、エンジニアリング業務の効率化を目的としております。
弊社は「働きがいのある職場の実現」「健康保持・増進」を重点施策として、健康経営に取り組んでおります。新社屋建設においても、さまざまな部署・役職からプロジェクトメンバーを選定し、“働きがいのあるオフィス”実現に向けて意見交換を行い、コンセプト策定を進めております。
【建物概要】
建築設計 : 坂茂建築設計
構造設計 : 陶器浩一+飯島建築事務所
+高橋俊也建築構造研究所
設備設計 : テーテンス事務所
所在地 : 愛知県名古屋市中区丸の内2丁目
用途 : 事務所
敷地面積 : 637.4 ㎡
建築面積 : 約510㎡
延床面積 : 約4,500㎡
構造 : RC造、一部鉄骨造、木造(免震構造)階数 : 地下1階、地上8階
地下階 : 駐車場
1階 : エントランス・ショールーム・ものづくりラボ
2~3階 : 執務室
4階 : 会議室
5~6階 : 設計室
7階 : 研修室
8階 : 多目的ホール・フィンランド式サウナ
完成予定 : 2021年11月
【坂 茂氏 プロフィール】
1957年東京生まれ
84年 クーパー・ユニオン建築学部を卒業
82年 磯崎新アトリエに勤務
85年 坂茂建築設計を設立
95年から国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)コンサルタント、同時にNGO ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)設立
現在、慶應義塾大学環境情報学部教授
〈主な作品〉
「カーテンウォールの家」、「ハノーバー国際博覧会日本館」、「ニコラス・G・ハイエック・センター」、「ポンピドゥー・センター・メス」、「大分県立美術館」、「静岡県富士山世界遺産センター」、「ラ・セーヌ・ミュジカル」、「スウォッチ・オメガ本社」、他
〈主な受賞〉
フランス建築アカデミーゴールドメダル(2004)、アーノルド・W・ブルーナー記念賞建築部門世界建築賞(2005)、日本建築学会賞作品賞(2009)、フランス芸術文化勲章コマンドゥール(2014)、芸術選奨文化部科学大臣賞(2012)、プリツカー建築賞(2014)、クリスタルアワード(ダボス世界経済フォーラム、2015)、紫綬褒章(2017)、マザー・テレサ社会正義賞(2017)、読売国際協力賞(2019)、など
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