「SDGs実施指針改定版」をSDGs推進円卓会議構成員が総括
2/4「SDGs実施指針改定 総括フォーラム」開催
2019年末に改定された「SDGs実施指針」。改訂版では「ジェンダー平等」が優先課題として記載されたことや政府による達成度の評価の実施と国別2030年目標の策定が盛り込まれたことが評価された一方で、「あらゆる貧困に終止符を打つとするSDGsに対し、当事者の声を捉えきれていない」「人権・差別・不平等・貧困といった課題は認識の弱さ」などが指摘された。
2019年12月に改定された「SDGs実施指針」について、その改定のプロセスや内容、課題などの総括を目的として『SDGs実施指針改定 総括フォーラム 〜改定SDGs指針から読み解くSDGs達成への道筋〜』を開催、改定指針のレビューと総括を行うこのフォーラムの重要性と今後も継続した議論の場づくりについて議論が交わされました。
総括では、イベントを主催した一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク共同代表の三輪敦子より、マルチステークホルダー間連携強化の必要性や当事者性を重視した対話の重要性などが挙げられました。三輪の発言要旨は以下の通りです。
- 本日のフォーラムでは、マルチステークホルダーという言葉が何回も出てきた。「みんなで一緒に」連携することは大変重要だが、趣旨と目的によっては、「みんなで一緒に」だけでは物事は進まない可能性がある。SDGsは国連で各国政府がコミットした目標であり、実施の第一義的責任は政府にあると言えるだろう。政府がその責任を果たしてこそマルチステークホルダー間の連携が強化され、互いの強みが相乗効果を発揮できると思う。そして、そのことがSDGs達成のための行動の加速化につながるのではないか。
- パブリックコメントの総数が前回の2016年から大幅に増え、303件に達したことは重要であり、このモメンタムをマルチステークホルダーによる丁寧な議論と実践に繋げたい。その際には、取り残されている人や社会的に脆弱な状況にある人の当事者性を大切にした議論が重要である。SDGs達成にはゲームチェンジやシステムチェンジが求められており、そのためには何に重点を置いて変革を進めるべきかを理解するためのギャップ分析が不可欠だ。構成員からの発言にあった「SDGsの認知は広がったが、行動がともなっていない」という指摘は重要である。すべてのSDGを理解している人は少ないだろう。どんな行動が必要かをわかりやすく発信する必要性も感じている。
- 質疑応答では、気候変動とジェンダーの話題も出た。今年はジェンダー平等を謳った「北京宣言・北京行動綱領」25周年にあたり(北京+25)、国際会議も予定されているが、UN WOMEN(注9)は、北京+25の重点課題の1つに気候変動とジェンダーを挙げている。昨年11月に北京以降の25年を振り返るアジア太平洋地域の会議に出席する機会があったが、太平洋諸国の女性たちが最重要課題として強調したのが気候危機とジェンダーの問題だった。このような世界の状況に目を開き、自らの生活を振り返り、取るべき行動を可視化し共有できるような方向性が必要ではないか。
- 最後に、「誰もが市民」という視点を強調したい。円卓会議構成員や会場の皆さまは所属も取り組んでいる課題も様々だが、皆、所属を離れれば、一人の市民である。安全な水、食べ物、衛生的な暮らしは、誰にとっても大切であるし、誰もが大切にされ、居場所がある社会が大切だ。SDGs達成に向けた政府の責任を確認しつつ、「誰もが市民」という視点をもち、実施指針改定のモメンタムを大切に、2030年には持続可能な開発への変革を実感できるようにしたい。これからの4年が正念場である。
各登壇者からの発表は、イベントを主催した一般社団法人SDGs市民社会ネットワークのサイトで読むことができます。
イベント詳細はこちらからご覧ください:http://bit.ly/2P0R79V
イベント開催概要
<日 時> 2020年2月4日(火)18時〜20時
<場 所> 東京大学 伊藤国際学術研究センター ギャラリー1
<参加費> 無料
<言 語> 日本語
<共 催> (一社)SDGs市民社会ネットワーク、みんなのSDGs
<後 援> Future Earth Japan Hub
<進 行>
17:30 開場
18:00〜18:03 開会(挨拶:SDGs市民社会ネットワーク 大橋正明)
18:03〜18:15 SDGs実施指針改定のプロセスと内容(外務省地球規模課題総括課 吉田 綾 課長)
18:15〜19:15 SDGs実施指針改定へのコメント(SDGs推進円卓会議構成員:10名)
19:15〜19:50 会場からの意見や質問
19:50〜19:55 フォーラムの総括(SDGs市民社会ネットワーク 三輪敦子)
19:55〜20:00 閉会(挨拶:みんなのSDGs 藤田雅美)
<登壇者紹介>
・外務省地球規模課題総括課 吉田 綾 課長
・SDGs推進円卓会議構成員(50音順)有馬利男氏、稲場雅紀氏、大西連氏、春日文子氏、河野康子氏、近藤哲生氏、 根本かおる氏、三輪敦子氏、元林稔博氏、山口しのぶ氏
*このフォーラムは一部地球環境基金の助成を受けて運営しました。
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