スマートエネルギーと持続可能な都市:フィンランドのイノベーションが描く未来
~都市の持続可能性を支える、最先端のフィンランド発ソリューション~
世界的な都市化の進行と気候変動の課題に直面するなか、強靭で効率的かつ持続可能な都市システムへの期待はこれまで以上に高まっています。幸福度世界一の国フィンランドの都市や企業は、最先端の技術、協働の精神、人間中心のアプローチを融合させ、世界に共鳴するスマートシティ・ソリューションを生み出しています。

フィンランドのエネルギーミックスには、再生可能エネルギー、原子力、地熱、先進的な熱利用技術が含まれており、ほぼすべての家庭にリアルタイムのエネルギー管理を可能にするスマートメーターが導入されています。一方、世界的な都市化の進展は、インフラやエネルギー供給に新たな課題を生み出しています。都市は世界のエネルギー消費の78%、温室効果ガス排出の60%以上を占めています。さらに、2050年には世界人口の3分の2が都市部で暮らすと予測されています。こうした背景から、エネルギー、モビリティ、都市インフラにおける革新的なソリューションは、よりグリーンでスマートな都市の実現に不可欠です。
■日本市場におけるフィンランドの専門性:協働で変革を推進
バルチラ(Wärtsilä)は、船舶及びエネルギー関連市場において革新的技術とライフサイクルソリューションのグローバルリーダーです。同社は、「WISE(Wide & Intelligent Sustainable Energy)」といった取り組みを通じて、都市化やエネルギー転換の課題に対応する次世代エネルギーシステムの開発を牽引しています。柔軟かつ包括的なエネルギーソリューションを提供することで、信頼性やコスト効率を損なうことなく都市・国・地域の脱炭素化を支援しています。
バルチラジャパン株式会社 エナジー事業本部 ダイレクターNicolas Leong氏は次のように述べています:
「世界のエネルギーシステムは太陽光や風力といった再生可能エネルギーへとシフトしていますが、これらは断続的な電源であるため、柔軟な調整力が不可欠です。当社のエンジン発電技術は、再生可能エネルギーが利用できない時に迅速に稼働し、電力網の安定性と信頼性を確保します。」
バルチラは、世界的なエネルギー転換において、柔軟な調整力(フレキシブル・バランシングパワー)が重要な役割を果たし、強靭なエネルギーインフラの確保につながると考えています。WISEは、ゼロエミッションの調整力開発を通じてエネルギー分野の脱炭素化を加速させる取り組みです。WISEは「フィンランド流の共創」を体現しており、技術プロバイダー、エネルギー・発電所の専門家、大学や研究機関、ソフトウェア開発者、地方自治体など、多様なパートナーが協働して未来の都市・国・地域に向けたスマートエネルギーソリューションを生み出しています。日本においては、豊洲市場や埼玉県で柔軟な熱電併給システムを導入し、東京ガスと協力して2040年までに再生可能エネルギー比率を40〜50%に引き上げる目標を支援しています。
■実証都市としてのユヴァスキュラとオウル
タンペレ、ユヴァスキュラ、オウルといった都市は、持続可能性と市民体験の向上を両立させるスマートシティ開発を推進しています。
ユヴァスキュラ市は、協働と水素を活用した持続可能性において先駆的な存在としての地位を確立しています。同市は、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamおよびトヨタ・モビリティ基金と連携し、現地社団法人Central Finland Mobility Foundation(Cefmof:セフモフ)を設立しました。この取り組みは、都市のモビリティやエネルギーシステムにおける持続可能性が、個別の取り組みだけでは実現できないことを示しています。Cefmofはクリーンな交通手段を導入し、住民や事業者に対して水素利用の可能性に関する体験と実践的な情報を提供しています。2025年9月に国内初の水素バスの運行を開始し、この水素バス・プロジェクトは、フィンランド初となる水素ステーションの建設とも密接に連動しています。
オウル市は、スマートテクノロジーの先駆者であり「欧州の6G首都」として、データ駆動型のアプローチを導入し、インフラとサービスの最適化を実現しています。これにより、市民が主体的に関わり、恩恵を受けられる都市システムを構築しています。
こうした事例都市において、フィンランドのイノベーションは、持続可能な都市開発において住民を巻き込むことの重要性を強調しています。水素インフラからスマートエネルギーモデルに至るまで、テクノロジーを日常生活に溶け込ませ、混乱を生むことなく生活を向上させています。フィンランドの都市にとって脱炭素化とは、単に排出量を削減することにとどまらず、高い生活水準を維持し、活気と魅力あるコミュニティを育むことでもあります。
■共通の目標に向けて ― ローカルからグローバルへ
フィンランドは、官民連携と包括的なソリューションによって機能する独自のエコシステムモデルを有しています。イノベーションへの取り組みは国際的な協力へと広がる一方で、強固な地域エコシステムの考え方にも根ざしています。スマートシティやFlexible Energy Systemsプログラムを通じて、国内外の企業や研究機関を結びつけ、デジタル化、電力、熱供給、冷却、燃料といった幅広い分野におけるイノベーションを促進しています。
ユヴァスキュラにおける水素バスの導入や水素ステーションの建設の開発といった実証プロジェクトを通じて、フィンランドは国内企業と日本企業の双方を対象に、共同事業や技術交流を積極的に支援しています。

ビジネスフィンランドのFlexible Energy Systemsプログラム責任者、Jussi Åkerbergは次のように述べています。
「フィンランドの強固なデジタルインフラと、スマートグリッドやエネルギーハブ、デジタルツインの統合により、都市部のエネルギー利用を最適化し、変動する需要に対応することが可能になっています。特にデータセンターは、電力系統の柔軟性を高めると同時に、その排熱を地域の冷暖房に再利用することで貢献しています。エネルギー転換は長期的な取り組みであり、発電事業者、規制当局、企業、研究者の協力が不可欠です。持続可能なエネルギーシステムの構築は、パートナー間の協働関係と継続的な知識共有に支えられています。」
フィンランドのアプローチは、世界的なエネルギーや持続可能性の課題には、協力と信頼が不可欠であることを強調しています。これはまさにフィンランドと日本の関係の核心にある価値観であり、カーボンニュートラルな未来に向けた共通の解決策を模索する上での基盤となっています。
大阪・関西万博といった国際的なイベントは、フィンランド企業の専門性や強みを発信し、双方向のパートナーシップを育む場となっています交流強化の機会として、9月30日(火)に北欧パビリオンで「スマートシティ・デー」が開催されました。本イベントは、スマートシティ分野における最新動向を把握し、両国間でのビジネスや研究における協働の可能性を探るうえで、非常に有意義なプラットフォームです。当日は、バルチラ(Wärtsilä)、タンペレ市、オウル市/Business Oulu、VTTフィンランド技術研究センター、Vilpe、Helvarなどが参加しました。

ビジネスフィンランドのFlexible Energy Systemsプログラム責任者、Jussi Åkerbergは次のように述べています。
「大阪・関西万博におけるフィンランドのスマートシティ・デーは大きな成功を収めました。フィンランドの都市、企業、研究機関が日本企業とネットワーキングを行い、非常に前向きかつ好奇心に満ちた反応をいただき、セッション後には活発な議論が交わされました。今回の代表団は、大阪および東京にて、日本企業ならびに公共部門の関係者との個別協議を引き続き行う予定です。」
Finland at Expoについて
2025年4月13日(日)から10月13日(月)まで、大阪にて開催される大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、約2,800万人の来場者が見込まれています。北欧パビリオンは、フィンランド、デンマーク、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの5カ国が共同で展開するプロジェクトです。フィンランドの主なパートナーには、ノキア、農林省、フィンエアー、5G Mökki、ユヴァスキュラ市、オウル市、Metsä Group ja Metaverse Dayなどが名を連ねています。
ビジネスフィンランドについて
ビジネスフィンランドは、イノベーションへの資金調達と貿易・観光・投資の促進を目的としたフィンランドの政府機関です。ビジネスフィンランドの700人以上の専門家は、世界各地の40のオフィスと、フィンランド国内の16の地域オフィスで働いています。ビジネスフィンランドは、チーム・フィンランド・ネットワークの一部です。www.businessfinland.fi
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