ルートレックが、ネタフィムジャパンと精密農業と点滴潅水の重要性を伝えるため、マーケティング領域での協業を開始
株式会社ルートレック・ネットワークス(本社:神奈川県川崎市 代表取締役社長:佐々木伸一、以下当社)は、ネタフィムジャパン株式会社(本社:東京都中央区日本橋中洲5-10、代表:ジブ・クレメール、以下ネタフィムジャパン)と、地球規模での課題である食糧危機・環境負荷増大に対応する農業の実現に向け、効率的な水と肥料の利用と環境負荷低減を可能とする両社の精密農業システムおよび点滴潅水の技術・製品の普及に向けたマーケティング活動を協働する契約を締結いたしました。当社は、ネタフィムジャパンと共に、持続可能な開発目標(SDGs)の推進と達成に向けて農業観点から情報発信に取り組んでまいります。
協業による今後の活動内容
1.点滴潅水による環境負荷低減に関するデータ及び事例の発表
2.両社協働でのウェビナーや動画による情報発信
3.その他目的に合わせた各種マーケティング活動
精密農業と国内における課題
海に囲まれ国土の約67パーセントを山林で占める日本では、豊富な水や肥沃な土地を生かし、自然環境に即した慣行農業での手法が広く浸透しています。
一方で、昨今では高齢化や担い手不足により1人あたりが管理する農地も増え、農業経営的な観点で考えた場合において、センシング技術や過去データを元に、数値管理によるきめ細やかな栽培管理を行う精密農業が重要視されつつあります。精密農業は、作物のポテンシャルを最大限生かすことができ、高品質・多収量を実現することができます。
しかし初期投資費用がかかることなど、一般的な生産者にとってはハードルが高く、大規模な施設園芸(ガラスハウス・パイプハウス)や農園を展開する企業から導入が進んでいるのが現状で、国内の施設園芸面積の3%にも満たない状況です(※)。今後、食糧の安定供給や農業経営の安定を図る上でも、中小規模の施設園芸農家でも、より精密農業にチャレンジしやすい仕組みが重要となります。
※ 出典:農林水産省「施設園芸をめぐる情勢」
■地球規模での食糧問題、環境問題と農業との関わり
地球上の人口増加に伴い、近年大きな課題となっている食糧危機、止まることのない環境負荷の増加、そして異常気象、いずれにおいても、対策の実施が急務となっています。
2019年から2050年には、世界人口が77億人から97億人に増加すると言われており、最小限の水や肥料などの資源から、作物の収量最大化の重要性が増しています。
また、世界の温室効果ガス排出量のうち、農業分野における水田、家畜、肥料などからの排出量は約12パーセントを占めていると言われています。国内においても、農林水産省は、国内農業における持続可能な食料システムの構築に向け「みどりの食料システム戦略」を策定し、 中長期的な観点から、環境負荷低減のイノベーションを推進しています。
これらから、より環境問題に配慮しながら、異常気象などの外的環境の影響を受けにくい精密農業を行っていくという新しい循環が必要です。
日本で流通する精密潅水施肥システム「ゼロアグリ」
ゼロアグリとは、土壌センサーや日射情報から作物にとって最適な潅水量と施肥量をAIが算出し、最適なタイミングで実施するスマート農業システムです。
潅水施肥の労力削減による生産者の省力化、潅水施肥の精密管理による作物の収量、品質向上に繋がるため、生産者の収益向上に貢献します。一般的なパイプハウスのような中小規模の施設園芸市場でも活用できる精密農業システムであるため、既存の設備を活用した導入が可能です。そのため初期費用を抑えることができ、前述の課題で述べた一般的な生産者への導入ハードルを低減することができます。
また、AIが最適な量の肥料を供給するため、過剰施肥を防ぎ、化学肥料による地下水汚染やCO2排出量削減にもつながり、環境に優しい栽培が可能となります。ゼロアグリは、現在国内で370台ほどが導入されています。
<ゼロアグリの導入効果実績例>
・熊本県八代市の大玉トマト栽培において、導入前と比較し収量が24%向上
・茨城県の中山間地域におけるイチゴの実証栽培において、慣行区と比較し、収穫量が17.3%向上、廃棄果実量は60.7%減少、定植後の潅水作業時間は1反あたり42時間削減
・青森県の夏秋トマトの実証栽培において、慣行区と比較し83%の減肥
ゼロアグリの更なる詳細については、以下サイトを参照ください。
<ネタフィムジャパンとの繋がり>
当社は2010年に総務省の事業をきっかけに農業界に参入し、2013年よりゼロアグリを販売しています。ゼロアグリの開発にあたり基盤となった潅水技術が点滴潅水(詳細については、次項に記載)となり、ネタフィムの日本支社であるネタフィムジャパンとは開発当初より協業をおこなっております。
イスラエルに本社を構えるネタフィムジャパンは、点滴潅水技術および点滴チューブの製品化を世界で初めて実現した会社となります。点滴潅水は、水や肥料の効率的な利用ができ、作物や土壌にもストレスなく環境に優しい栽培ができるというメリットがあるため、水の枯渇が課題視されている世界各国で活用が進んでいます。一方で、雨が多く湿度も高い日本国内においては、潅水の量やタイミングが難しく、市場での浸透スピードが遅いという課題がありました。そこで、誰でも簡単に点滴潅水の活用ができることを目指し、ゼロアグリの開発を行いました。今後さらなる点滴灌水の市場浸透に向け、マーケティング領域で協働することとなりました。
精密管理の土台となる点滴潅水とは?
ゼロアグリのAIは、作物に対して最適な量の水と肥料を供給するように指示を出します。点滴潅水は、雨水での水やりや、散水とは違い、点滴チューブというチューブの壁面に空いた穴からポタポタと水と液肥を、必要な分量だけ、直接作物に与えます。この技術は国土の半分以上が砂漠であるイスラエルで開発されました。
1965年に開発されたこの技術は、乾燥地帯で作物が育ちにくいイスラエルの土地で、ある灌漑技術者が一本の木が他よりも大きく育っていることに気付いたことがきっかけで考案されました。実はその木の近くを通っている水道管の継ぎ目から水が滴っていて、周りの土が適度に湿っていたのです。植物が育つには水が必要ですが、一度に多量の水を撒くと、浸透や蒸発で水が無駄になり根腐れも起こります。滴るようにゆっくりと潅水することで、貴重な水が無駄にならず、根域の通気性が保たれて植物の生育にもメリットがあります。このため、現在では乾燥地帯だけではなく、世界中の先進的な農場や温室でこの技術が利用されるようになっています。
<株式会社ルートレック・ネットワークス>
当社は、2005年の創業以来培ってきたM2M/IoT技術を活用して、2010年 総務省 広域連携事業の「ICTを利活用した食の安心安全構築事業」に採択されたことを契機として、明治大学黒川農場との共同研究を開始し、スマート農業事業に参入しました。2018年には、第4回日本ベンチャー大賞(農業ベンチャー賞 農林水産大臣賞)を受賞、同年 経済産業省よりJ-Startup企業、内閣府官邸 先進的技術プロジェクト「Innovation Japan」にも選出されました。
<ネタフィムジャパン株式会社>
ネタフィムジャパン株式会社は、ネタフィムの日本支社として1996年に創業。日本農業の生産性向上を目指し、国内生産者さまへの点滴潅水システム導入を進めると同時に、持続可能な環境問題にも取り組んでいます。現在、点滴潅水はハウス栽培や露地栽培での利用だけでなく、太陽光利用型大型植物工場の”ハイテク温室”としてその技術を広めています。さらには、都市型緑化プログラムにも積極的に取り組み、これまでに恵比寿ガーデンプレイスや豊洲市場の屋上緑化にも実績をのこしてきました。また、東京オリンピック 2020 では国立競技場と選手村両拠点において、ネタフィムの点滴潅水システムが採用されました。
本リリースにおけるお問合せ先
株式会社ルートレック・ネットワークス 広報担当 中島
TEL:044-819-4711 E-Mail:mktg@routrek.co.jp
※記載されている会社名、製品名などの固有名詞は、各社の登録商標または商標です。
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