教職員アンケート結果を公開!どう思う? 不登校児童生徒の成績・評価問題

欠席中の学習も成績に反映はすべきとの声が多い一方、評価の実施には教職員の業務負担増の懸念も。評価の公平性については「問題」だと考える人と「問題ではない」と考える人が同数の結果に。

不登校状態の児童生徒の評価・成績をどうつけるのか?…この問題に直面したことのある方も多いのではないでしょうか。教室にいない(ことが多い)児童生徒の学びを評価するということは難しく、現状は通知表の評価欄が「斜線」になることも多いようです。

文科省は、不登校児童生徒の適切な評価を促進し、誰1人取り残されない学びを一層推進するため「学校教育法施行規則」の改正を予定しています。「当該児童が欠席中に行った学習の成果を考慮することができる」との文言が追加される方向です。

当然ながら、評価・成績は進路選択にも大きく影響します。実際、不登校の中学生は、内申書・調査書に成績が載らないことが多いために、進路選択の幅が狭まっているという現状もあります。

一方で、欠席中の学習の成果を成績に反映することには実務的な難しさや公平性の問題も指摘されています。

そんな「不登校の児童生徒の成績・評価」について、全国の学校教職員から声を集めました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年8月2日(金)〜2024年8月26日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら )
■回答数 :50件

アンケート結果

Q1. 不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映させることについてどう思いますか?

「反映させるべき」「どちらかというと反映させるべき」と答えた人が全体の68%に上りました。肯定的な回答の中には「反映させるべきだが難しい」という意見も多く見られました。また消極的な回答の中にも、学校だけが評価するシステムを変革するなど、より積極的な対応をするべきとする意見が寄せられました。校種別では、中学校では72%が反映することに肯定的である一方で、高等学校では57%の人が反映することに消極的な回答を選択しました。

Q2. 不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映させることについて、教員にとっての大変さ(難易度・負担度など)はどの程度だと思いますか?

「とても大変だと思う」「まあ大変だと思う」と答えた人が全体の68%でした。校種別では小学校に勤務する43%の人が「とても大変だと思う」と答え、中学校の39%、高等学校の29%と比べて多く見られました。不登校の児童生徒を評価するための職員を増員する必要があるとの意見もありました。

Q3. 不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映させることについて、学校に来ている児童生徒の評価・成績と異なる基準になること(公平性の問題)についてどう思いますか?

公平性について「問題」だと考える人と「問題ではない」と考える人が同数となりました。校種別では高等学校の71%が「問題ではない」と回答しました。年代別では20代の回答者に「問題」だと考える人がいなかったのに対し、50代では56%が問題だと答えました。

Q4. 文科省の動きとは別に、高校受験の際に一定割合の「内申点不問枠(=当日試験や面接などで受験に挑戦することができる枠)」を設けることで、不登校児童生徒の進路選択を保障しようと求める民間の動きもあります。「内申点不問枠」についてどう思いますか?

内申点不問枠について「賛成」「どちらかというと賛成」という意見が全体の84%を占めました。「どちらかというと反対」「反対」という回答は一般的な教員では21%、主幹教諭などその他の職種では0%でした。埼玉県ではすでに実施しているとの回答もありました。

▼まとめ

不登校状態の児童生徒の評価について「成績に反映させるべき」「どちらかというと反映させるべき」だと考える教職員は全体の68%でした。しかし、そのための作業が「とても大変だと思う」「まあ大変だと思う」と認識している人も全体として68%に上ります。成績に反映させることで教職員の負担が増えることを予想し「特別な職員を配置し、その教員が特別に評価するというのであれば納得はいく」という意見も寄せられました。

不登校の児童生徒の評価・成績が、学校に来ている児童生徒と異なる基準になることによって起こる公平性の課題については「問題」だと考える人と「問題ではない」と考える人が同数となりました。「高校受験で評価を使用している以上、公平性を無視することは難しい」という意見がある一方で「学びの文脈は、教室にいるときでさえ教師がコントロールしきれるものではありません。公平であるべきとの考え方そのものが間違っていると思います」との回答もありました。
高校受験の際に一定割合の「内申点不問枠(=当日試験や面接などで受験に挑戦することができる枠)」を設けることについては「賛成」「どちらかというと賛成」という意見が全体の84%を占めました。「(競争に作用しないよう)制度設計のバランスをとることが鍵」とする声も寄せられました。

※WEBメディア「メガホン」の記事(https://megaphone.school-voice-pj.org/2024/10/post-5504/)より、自由記述の内容がご覧いただけます。また全回答がデータもDLしていただけます。

運営団体:NPO法人 School Voice Project

学校現場の声を「見える化」し、対話の文化をつくるプロジェクト。児童生徒も教職員も「自分の思いや声には価値がある」「私には現実を変えていく力がある」と実感できる学校づくりのために、教職員WEBアンケートサイト「フキダシ」と学校をよくするWEBメディア「メガホン」の運営、政策提言・ロビイング活動を行なっています。


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会社概要

URL
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業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都港区浜松町2丁目2番15号 浜松町ダイヤビル2F
電話番号
-
代表者名
大野睦仁
上場
未上場
資本金
-
設立
2022年08月