ザスモールシングス、名古屋グランパスとSDGsアカデミー『在留ブラジルキッズプロジェクト』でSROI算出の実証実験を実施

~2024年度の活動において13,175,195円のインパクトを生み出す 100円の投資が生む社会的価値は448円、スポーツ×共創で社会的価値を見える化~

株式会社ザスモールシングス

株式会社ザスモールシングス(代表取締役:田上悦史)のプロジェクトチーム(押見大地准教授/東海大学体育学部スポーツ・レジャーマネジメント学科、山口志郎教授/流通科学大学人間社会学部人間健康学科、福原崇之教授/京都橘大学経営学部経営学科)は、プロサッカーチーム・名古屋グランパスを運営する株式会社名古屋グランパスエイト(代表取締役社長:清水克洋)と連携し、SDGsアカデミー「在留ブラジルキッズプロジェクト」においてSROI(社会的投資収益率)の算出に関する実証実験を実施しました。その結果、2024年度の活動において13,175,195円のインパクトをもたらしたことがわかり、SROI値は4.48、100円の投資に対して448円の社会的価値が創出されたことが明らかになっています。

6/4(水)には、株式会社ザスモールシングスのファシリテーションのもと、今回のプロジェクトにおける共創パートナーや有識者、パートナー企業等を招いた「フューチャーセッション」を開催します。このセッションでは、今回算出されたSROI結果や現場で得られた学びを共有し、それらを踏まえた今後の展開について議論します。社会的価値を見える化したエビデンスを活用し、活動のさらなる拡大、新たなプログラムの企画、そしてスポンサー連携の強化策などが検討される場となります。ザスモールシングスと名古屋グランパスエイトは、本セッションでの対話を通じて、得られた示唆を今後の共同プロジェクトやスポンサーセールス展開に反映し、地域課題解決とクラブの価値向上の両立を図っていきます。

スポーツ領域で広がるSROI活用の意義

SROI(Social Return on Investment:社会的投資収益率)とは、ある活動や投資が生み出す社会的価値を金銭換算し、投資額に対する社会的リターンとして示す手法です。欧州ではサッカー連盟による各国での社会的効果測定例や英国政府の調査事例があり、スポーツチームの社会貢献活動にSROIで効果を定量化する取り組みが進んでいます。日本でも同様の試みが始まりつつあり、スポーツ領域にSROIを活用することで、クラブの社会的価値を可視化し、SDGsやCSRの文脈でその意義を客観的かつ明確に伝えることが可能になります。本取り組みは、Jリーグクラブによる社会貢献活動の効果測定としても先進的な試みであり、今後のモデルケースとなり得るものです。

名古屋グランパスが在留ブラジル人キッズ支援に取り組む背景

愛知県にはブラジルにルーツを持つ住民が非常に多く、子どもたちの教育支援や地域社会への溶け込み支援は重要な課題です。ホームタウンである愛知県における多文化共生を推進するため、名古屋グランパスでは地域貢献活動「SDGsアカデミー」において在留ブラジル人の子どもたちを支援する取り組みを展開してきました。2024年に取り組んだ「SDGsアカデミー在留ブラジルキッズプロジェクト」では、外国にルーツを持つ子どもたちとクラブのアカデミー(U-18)所属選手がともに学び合い、異文化理解を深める共創プログラムを実施しました。

名古屋グランパスU-18選手と外国ルーツの子どもたちの共創プログラム

クラブのU-18選手たちと在日ブラジル人コミュニティの子どもたちが、サッカーやワークショップを通じて積極的に交流しました。言葉や文化の壁を越え、お互いに教え合い学び合う共創型のプログラムであり、年間を通じて複数回のセッション(目標設定、体験交流、振り返り等)を実施しました。例えば、サッカーの合同練習やブラジル文化の紹介イベント、少人数のグループディスカッションや全体での振り返りセッションなどを行い、選手と子どもたちが共に考え行動する機会を創出しました。こうした活動を通じて、言語・文化の違いを超えた相互理解とチームワークが育まれています。

算出結果:2024年度事業は1300万円以上のインパクトを生む SROI値は4.48

名古屋グランパスが推進する『SDGsアカデミー』は、地域社会の課題解決に向けて2021年に発足したアカデミー選手に対するプログラムです。本実証実験では、2024年度の取組みによる社会的インパクトを評価しました。2024年度の「SDGsアカデミー」における影響をもたらした金額は、13,175,195円、SROI値は4.48という数値を示しました。これは、投入した資源1に対して約4.48倍(100円の投資に対し448円)の社会的価値を生み出したことを意味します。スポーツを通じた社会貢献活動として非常に高い水準の社会的リターンを示しており、本取り組みが地域社会にもたらす価値の大きさが裏付けられました。定性的に語られてきた効果を数値で示すことで、活動の意義をより広く共有できる成果と言えます。

可視化されたアウトカムと社会的意義

今回のSROI算出により、これまで漠然としていた効果が数値とともに可視化されただけでなく、具体的なアウトカム(成果)も浮き彫りになりました。主なアウトカムとして、以下の3点が挙げられます。

アカデミー選手の成長:異文化交流を経験したことで、クラブの育成年代選手たちの視野が広がり、コミュニケーション能力や社会性が向上しました。普段の練習や試合では見られない一面が引き出され、人間的な成長につながったという声が上がりました。

外国ルーツの子どもたちの変容:子どもたちにとって、プロの育成組織の選手と触れ合う機会は大きな刺激となり、自信や自己肯定感の向上につながりました。言葉の壁を超えて受け入れられた経験から、日本社会への安心感や将来への意欲が高まるなど、前向きな変化が見られました。

ステークホルダー間の連携強化:クラブスタッフ、共創パートナー、地域の支援団体、スポンサー企業など多様な関係者が本プロジェクトに関わりました。共同の活動を通じて関係者同士の連携が深まり、地域課題解決に向けた新たなネットワークと信頼関係が構築されました。

SROI手法とフューチャーセッションによるマネジメントサイクル

今回実施した名古屋グランパスSDGsアカデミーに対して、評価プロセスにワークショップ形式を取り入れています。SROI(Social Return on Investment)は、事業が生み出す社会的価値を金額で示す評価手法であり、ステークホルダーの関与がその根幹を成しています。従来は主に個別インタビュー等でステークホルダーの意見を収集してきましたが、ワークショップ形式で複数の関係者が一堂に会し対話する手法は近年注目される新たなアプローチです。

また、SROI調査の結果を単なる評価で終わらせることなく、これを未来への価値創出につなげるべく、新たな展開を図っています。本プロジェクトではステークホルダーの皆様をお招きしたフューチャーセッションを通じて、合意形成を図り、共創的な対話を促進します。SROIから得られた示唆を次のアクションに反映させることで、社会的価値創出のサイクルを強化しています。さらに、SROIをマネジメントサイクル(Plan-Do-Check-Act)の一部として組み込み、評価後のアクションを体系立てて創出するこの革新的なアプローチにより、社会的インパクト評価の役割を「結果を測ること」から「結果を用いて次の価値創造につなげること」へと拡張することで、継続的に社会的インパクトを高め、ステークホルダーとの共創による持続可能な未来への貢献を加速してまいります。

ザスモールシングスの共創による価値創出と今後の展望

株式会社ザスモールシングスは、スポーツ領域での共創とSROI評価に強みを持ち、スポーツを通じた社会価値創出支援を行っています。本プロジェクトでも調査者として参画し、SROI算出のノウハウを活かして定性的な成果を定量的な価値として見える化する役割を担いました。ザスモールシングスは今回の成果と知見を踏まえ、今後も他のスポーツクラブや地域プロジェクトへと共創の輪を広げていく考えです。社会的価値の最大化とSDGs達成に資する取り組みを推進し、スポーツ×共創による新たな社会貢献モデルの創出に引き続き挑戦してまいります。

㈱名古屋グランパスエイト 代表取締役社長 清水克洋様コメント

「名古屋グランパスは、プロスポーツクラブとしてスポーツの持つ社会的影響力を活かし、SDGs達成や地域課題の解決に貢献していくことを重要な使命と考えています。本プロジェクトは、今回のように、スポーツクラブと専門企業が共創することで、従来は把握が難しかった活動の社会的価値を定量的に評価し、共有することが可能となりました。本実証実験は、スポーツの力を活用した社会課題解決に新たな可能性を示す取り組みでもあります。本プロジェクトで得られた成果と経験を糧に、今後も多文化共生をはじめとするさまざまなホームタウン活動を継続・拡大していく予定です。また、SROIによる客観的な効果測定を積極的に取り入れることで、活動の振り返りと改善を図り、その価値をステークホルダー(自治体、パートナー企業、地域の皆様)に対してわかりやすく発信していきます。スポーツ×共創の力で社会的価値を創出し続けるクラブとして、これからもチャレンジを続けてまいります。」

流通科学大学 教授 山口志郎様コメント

「今回の実証実験では、名古屋グランパスU-18選手と在留ブラジル人の子どもたちが主体となり、スポーツを通じた共創により多文化共生を含む社会課題解決に向けた可能性を示しました。SROIを用いて、本プロジェクトから生まれたアウトカム(成果)を貨幣価値に換算し、その社会的価値を可視化するとともに、これらの成果に関するエビデンスを示しています。

具体的には、U-18選手は異文化理解力やリーダーシップの向上、キャリア形成への主体的意識を獲得し、アスリートとしての社会的責任をより深く自覚するに至りました。一方、在留ブラジル人の子どもたちは日本語習得や将来への意欲、自己肯定感の向上といった日常生活における前向きな変化を経験しました。これらの成果は、スポーツによる共創が参加者の成長を促すだけでなく、地域社会に持続可能なインパクトをもたらすことを示す重要な裏付けとなっています。

本プロジェクトは、スポーツの力を活かした社会課題解決に向けた実証的な取り組みであり、こうした成果とエビデンスを基盤に、さらなる共創による価値創出を目指してまいります。本プロジェクトにご協力いただいた関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。」

㈱ザスモールシングス 代表取締役社長 田上悦史コメント

「スポーツがもたらす価値とは何か――名古屋グランパスSDGsアカデミー『在留ブラジルキッズプロジェクト』に参画するにあたり、私たちザスモールシングスはまずこの本質的な問いを自らに投げかけました。スポーツを通じて社会課題に挑むこの共創型プロジェクトで、私たちはSROI(社会的投資収益率)の算出とその可視化という実験的アプローチにより、活動が生み出す社会的価値の「見える化」に挑戦しました。選手や在留ブラジル人の子どもたち、クラブ関係者と共に多様な気づきを共有するプロセス自体に、スポーツ×社会課題解決の大きな可能性がまさに示されているのではないでしょうか。こうして得られた知見を糧に、今後は他の地域や領域にも共創の輪を積極的に広げ、共に問いを立てながら、社会的価値の意味をさらに深めていきたいと考えています。」

6月4日に「フューチャーセッション」を開催

名古屋グランパスでは、今回の成果を踏まえ、下記のとおり「フューチャーセッション」を開催します。

ご取材をご希望される場合は、取材申請書に必要事項を記入の上、クラブ広報までご提出をお願いします。

日時:6月4日(水)15:00~18:00

場所:JICA中部オフィス(愛知県名古屋市中村区平池町4丁目60-7)

参加者:名古屋グランパススタッフ・共創パートナー・有識者など約15名

内容:SROIの結果や現場での学びを共有し、今後のプロジェクト展開や多文化共生推進の方策についてコミュニケーション

ご取材には、こちらの申請書をご提出いただいております。

詳しくは、下記URLより取材申請書を取得の上、下記メールアドレスまでご提出ください。

URL:https://nagoya-grampus.jp/news/assets_c/2025/06/25_0602_application_form.pdf

Mail:koho@nagoya-grampus-eight.co.jp

<株式会社ザスモールシングス 概要>

株式会社ザスモールシングスは、エクスペリメンタルソウルバンドWONKの楽曲「small things」から名付けられた企業です。2023年、株式会社フューチャーセッションズがこれまで取り組んでいたスポーツ領域における共創コンサルティング事業は、株式会社ザスモールシングスが担うことになりました。従来の固定化されたモデルを再定義し、「小さな行動」が世界を変えるという理念のもと、対話と実験的アプローチを重視。地域やファン、スポンサーと協創し、新たなスポーツ体験の創出やファンコミュニケーション強化、地域連携プロジェクトなど、多彩な実験的施策を展開しています。「We talk slow Tomorrow, how would it be?」の精神を軸に、小さな一歩からスポーツの新しい価値を追求します。

https://www.the-small-things.com

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会社概要

株式会社ザスモールシングス

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URL
https://www.the-small-things.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区六本木 7丁目2ー8 WHEREVER 5F
電話番号
-
代表者名
田上悦史
上場
未上場
資本金
888万円
設立
2023年03月