2023年度(第54回)日本溶接協会賞「技術賞(本賞)」および「溶接注目発明賞」を受賞
株式会社アマダ(神奈川県伊勢原市、代表取締役社長執行役員:山梨 貴昭)は、2023年(第54回)日本溶接協会賞において、「FLW-ENSISe」シリーズの開発で「技術賞(本賞)」、加工条件に応じたレーザビームプロファイル可変技術の発明により「溶接注目発明賞」を受賞しました。これに伴い、表彰式は2024年6月12日(水)に開催されました。
日本溶接協会賞は、一般社団法人日本溶接協会が日本の溶接界に多大な貢献があった者を顕彰するものです。その中で「技術賞(本賞)」は、日本の溶接技術の発展に寄与した技術を開発した者に、「溶接注目発明賞」は、日本の工業の発展と国民生活向上に寄与した「注目に値すると認められる特許発明」の発明者に与えられます。
■技術賞(本賞)
技術名 :レーザ溶接ロボットシステム「FLW-ENSISe」シリーズの開発
(レーザ溶接ロボットのDX化、自動化)
受賞者 :株式会社アマダ
齋藤 準一(さいとう じゅんいち)
小野 育康(おの いくやす)
金子 昌史(かねこ まさし)
福島 涼太(ふくしま りょうた)
織部 喜之(おりべ よしゆき)
板金業の製造現場において、少子高齢化による人手不足に加え熟練技能の継承が大きな課題となっています。また、顧客ニーズの多様化に伴い製品バリエーションが大幅に増加し、比例して溶接指示や品質も高度なものが要求されるようになっています。
これらの課題に対しては、多関節ロボットによる自動化とファイバーレーザ溶接のデジタル化が有効です。しかし、単に各モジュールを組み合わせても「①多品種少量生産への対応」「②製品ロットごとの寸法誤差、すき間への対応」「③様々な材質、継ぎ手形状などの対応」といった特有の課題が発生します。
「FLW-ENSISe」シリーズは、自社製のファイバーレーザ発振器・加工ヘッド・NC制御システム・ソフトウエアを組み合わせることで、以下のようにそれらの課題を解決しました。
開発技術① 6軸多関節ロボットに、走行台車と2軸ポジショナーテーブルを含む最大9軸協調動作システムとして標準化し、広範囲でフレキシブルかつ高精度なシステムを構築。
オフラインプログラミングには、3次元CADや溶接CAMを用いて9軸協調動作のプログラミングを視覚的に生成。
開発技術② 3次元CAD、画像処理、AI技術を応用したAI-TAS(ティーチングアシストシステム)に
よりロボットプログラムの補正を完全自動化。さらに板金特有の「仮止め痕」「せん断面」など予測できないノイズを除去でき、ロバスト性を向上。
開発技術③ 6kWシングルモジュール発振器と、ビームプロファイル可変技術、ビームウィービング機構により様々な材質や板厚、溶け込み形状、継ぎ手形状などに対してビームパワーを落とさず安定した溶接を実現。
本技術の開発により、現場オペレーターの労働負荷を軽減しながら溶接工程における労働生産性を3倍から6倍改善します。
■溶接注目発明賞
発明の名称 :レーザ加工機およびレーザ加工方法(特許第 6764976号)
発明の概要 :加工条件に応じたレーザビームプロファイル可変技術の発明
受賞者 :株式会社アマダ
齋藤 準一(さいとう じゅんいち)
織部 喜之(おりべ よしゆき)
ファイバーレーザ溶接加工では材料に照射するビームプロファイル(光強度分布)によって加工プロセスが大きく変動するため、「材質」「溶け込み深さ」「ビード幅」に応じて適正なビームプロファイルに変更する必要があります。従来は、ファイバー出射端からのビームの拡がり角とビームプロファイルが固定なため、主に集光レンズを交換する方法が主流でした。
本発明は、NC制御により任意のビームプロファイル形状とビームスポット径(パワー密度)に、瞬時に変更することを可能にしました。光ファイバーコアへの入射位置を制御し、出射ビーム拡がり角を可変します。また、NC位置制御可能な非球面の集光レンズとの組み合わせにより、様々なプロファイル形状を得ることができます。これにより、高速・深溶け込み溶接からフィラー溶接まで、NC指令により1プログラム内で切り替えを可能にしました。
アマダグループは今回の賞を励みに、今後も次世代のモノづくりを探求することで、社会課題に貢献できるイノベーション創造に取り組んでまいります。
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