【ローカルLLM導入事例】機密情報の保護と業務効率化を両立するAI活用|松尾研発スタートアップAthena、株式会社常陽銀行向けに機密情報を外部送信しないローカルLLMで銀行業務を効率化
松尾研発スタートアップ(※1)である株式会社Athena Technologies(本社:東京都文京区、代表取締役:阿部 武 以下、「Athena」)は、株式会社常陽銀行(所在地:茨城県水戸市、取締役頭取:秋野哲也 以下、「常陽銀行」)向けに、ローカルLLMを用いた専門業務特化型エージェント「JOYO AI AGENT」を開発・提供したことをお知らせします。
本プロジェクトは、2025年7月に発表したPoC(プレスリリースはこちら)を経て、クラウド閉域網環境における共通基盤の開発、および「翻訳・マスキング」機能の実装を完了しました。また、さらなる実用性を追求するため、「業務文書自動作成」と「稟議書レビュー」に関する追加検証を現在試行中です。
本稿では、厳格なセキュリティと現場の利便性を両立させた銀行実務のDX事例として、これら4つのユースケースを中心とした取り組みを公開します。

■ PoCから「JOYO AI AGENT」構築への軌跡
2025年7月発表のPoC開始以来 、厳格な情報保護が求められる銀行実務において、データの安全性確保と生成AIによる業務効率化の両立を追求してきました。この結果 、翻訳・マスキング機能の実用性や、その他の専門業務におけるAI活用の有効性が確認されました。
この検証成果を受け、「JOYO AI AGENT」の開発を進めるとともに、さらなる実用性を追求する追加機能開発のPoCを開始しました。
■ 銀行実務へのAI実装を最適化する、3つの設計指針
「JOYO AI AGENT」の構築にあたっては、銀行実務に求められる厳格なセキュリティと、現場での実用性を両立させるため、安全性・拡張性・利便性の3つの柱を重視した設計を採用しています。
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【安全性】機密情報を守り抜く、インターネット非到達の「閉域網環境」
外部の生成AIサービスを利用するのではなく、インターネット環境から物理的に分離された閉域クラウド(Azure VNet)上に、ローカルLLMを構築しました。このようにデータの送信先を専用の隔離環境にすることで、機密情報や個人情報の漏洩リスクを排除し、これまでAI活用が困難であった銀行実務への適応を可能にします。 -
【拡張性】横展開を加速させる「ローカルLLM運用基盤」を設計
システムの中核として、共通のローカルLLMと、ログイン・ログ管理等を担う「ローカルLLM運用基盤」を構築しました。翻訳やマスキングといった「JOYO AI AGENT」搭載機能は、すべてこの共通基盤の上に乗る「アプリ」のような形で実装されています。 この設計により、今後新しい業務にAIを導入する際には、システム全体を一から作り直す必要がなく、追加機能だけをスピーディかつ効率的に開発できます。

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【利便性】専門知識を必要とせず、ファイルを置くだけで完結する操作
対象ファイルをアップロードしてボタンをクリックするだけで処理が実行される「プロンプトレスUI」を採用しました。これにより、専門的な知識の有無にかかわらず、全ての行員が「JOYO AI AGENT」を使いこなせる環境を提供します。


■ 銀行実務の効率化を推進する「JOYO AI AGENT」のユースケース
「JOYO AI AGENT」への実装、および開発を進めている各機能は下記のようなユースケースでご活用いただく予定です。

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機能 |
ステータス |
ユースケース |
|---|---|---|
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翻訳 |
2026年3月導入 |
金融分野等の専門性の高い文書について、専門用語や文脈を捉えた翻訳処理(英訳または和訳)を行います。 |
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マスキング |
2026年3月導入 |
個人情報や顧客情報を含むファイルにおいて、AIが文書内の秘匿情報を検知し、匿名化処理を実施。通常は個人情報や顧客情報の入力が制限されている他のAIツール等でのデータ分析において、対象ファイルを活用することが可能となります。 |
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稟議書レビュー |
試行継続中 |
融資稟議書について、予め学習された行内マニュアルなどを基にレビューを実施します。 |
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業務文書の自動作成 |
試行継続中 |
財務諸表などの資料から必要な情報を抽出し、稟議書や報告書などに使用する文書のドラフトを自動作成します。不動産審査においては、数値情報の抽出および物件比較表等を自動生成します。 |
なお、常陽銀行より本プロジェクトに関するプレスリリースが同日公開されております。行内活用の背景や今後の展望については、ぜひあわせてご確認ください。
[▶ 常陽銀行プレスリリースはこちら]
■ さらなる精度向上と適応業務拡大を目指して
今回の「JOYO AI AGENT」開発を起点に、追加のPoCでは「業務文書の自動作成」および「稟議書レビュー」に対象範囲を拡大し、多様なドキュメントパターンに対する出力の安定性を徹底的に検証します。また、ローカルLLM運用基盤を最大限に活用し、より複雑な機能でも安定したパフォーマンスを発揮できる体制を整えることで、今後も業務効率化を推進してまいります。
■ 代表コメント
代表取締役CEO 阿部 武
「これまで金融業界をはじめとする高い機密性が求められる領域では、生成AIのポテンシャルを理解しつつも、セキュリティの壁によって活用を断念せざるを得ないケースが少なくありませんでした。本プロジェクトは、ローカルLLMという選択肢を用いることで、その『壁』を突破し、AI活用の道を切り拓いた重要な事例です。
今後も規制産業の高いセキュリティレベルが求められる環境下で利用可能な生成AIソリューションの開発に注力して参ります。」
■ 会社概要
【株式会社Athena Technologiesについて】
「松尾研発スタートアップ(※1)」として、アカデミアの最先端技術と社会実装力を兼ね備え、セキュアなAI開発・ガバナンス支援を展開しています。
社名:株式会社Athena Technologies
設立:2023年12月
代表取締役:阿部 武
所在地:東京都文京区本郷6丁目25番14号 HONGOEGG (東京オフィス)、京都府京都市左京区田中門前町 百万遍ビル3F(京都オフィス)
URL:https://athenatech.jp/?utm_source=prtimes&utm_medium=press_release&utm_campaign=joyo_20260326
(※1)「松尾研発スタートアップ」とは、松尾研出身者が創業または松尾研の支援を受け創業された企業の内、技術・事業力がともに成長可能性が認められ、且つ松尾研の理念に共感し共に後進の育成に取り組む、選抜されたスタートアップ群です。(登録商標第6667237号、第6710069号)
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