一般社団法人ダークパターン対策協会 2026年ダークパターン被害調査、最大年間約3.2兆円規模に拡大

約3割が金銭被害を経験 2024年より依然高止まり

一般社団法人ダークパターン対策協会

一般社団法人ダークパターン対策協会(所在地:東京都千代田区、代表理事:小川 晋平)は、一般消費者・高齢者・小中高生・大学生を対象とした「ダークパターンに関する意識・実態調査(2026年)」を実施し、その結果を取りまとめました。消費者庁が2026年6月に公表した調査において、ダークパターンが消費者の行動を変え得ることが示されるなか、本調査では2024年調査との比較を行い、実際の被害の規模と世代別の実態を明らかにしました。

その結果、ダークパターンによる被害は年間約2.4兆円〜約3.2兆円規模にのぼる可能性があることが判明。2024年調査の推定額から2倍ほどに拡大しています。(参考:前回2024年調査での被害額は年間約1兆575億円~約1兆6,760億円)一般消費者の約3割が金銭被害を経験しているものの、その割合は改善が見られず、被害は依然として高止まりしています。また被害には世代差があり、高齢者では気づきにくく長期化する一方、若年層では相談できず被害を抱え込みやすい傾向が確認されました。さらに全体で7割以上が、企業の対策を企業選定の判断材料として重視。対策の有無が信頼や選択に直結している実態も明らかになりました。これらの結果から、ダークパターン被害は依然として広がり続ける社会課題であり、いまこそ企業による適切な対策と、誠実で分かりやすい設計への取り組みが求められています。

本調査(サマリー)

・消費者自身が認知しているダークパターン被害は年間約2.4兆円〜約3.2兆円規模、約2,657万人規模にのぼると試算。高齢者では約550億円〜約965億円規模・約208万人、小中高生・大学生でも合わせて約286万人規模の被害が発生。

・被害リスクの高い層ほど「言葉としての認知」が低いというギャップも確認され、認知不足が被害の見えにくさにつながっている可能性。

・一般消費者の約3割がダークパターンによる金銭被害(意図しない購入・課金・契約)を経験しており、その割合は2024年から改善せず高止まり。

・被害は少額にとどまらず、一般消費者の損失経験者の約32%が5万円以上、約7%が50万円以上と、一定割合で高額被害が発生。

・全体で7割以上が企業のダークパターン対策を重視。多くの消費者が企業選びにおいて重要な判断材料としていることが明らかに。

・被害の現れ方には世代差があり、高齢者は発覚時期が「1ヶ月以内」「3ヶ月以内」「1年以上」と分散し、「気づきの遅れ」による長期化や解約の断念(一般の約9倍)が見られる一方、若年層では「判断基準の不足」や「相談せず抱え込む」傾向が確認された。

・特に若年層はダークパターンの不適切さを見抜く割合が低く、ガチャや同意確認画面など“課金や同意の条件が分かりにくい設計”に対する違和感も弱い。

被害想定【ダークパターン経験者/金銭的被害経験者/推定被害総額】

一般(21歳~64歳):約7,107万人/約2,657万人/年間 約2.4兆円~約3.2兆円規模

高齢者(65歳~74歳):約796万人/約208万人/年間 約550億円~約965億円規模

小中高生:約746万人※/約206万人  (想定被害額は算出無し)

大学生 :約228万人※/約80万人    (想定被害額は算出無し)

(参考:2024年度 Webの同意を考えようプロジェクト調べ:約8,965万人/約3,140万人/年間 約1.05兆円~約1.67兆円規模)

※一般・高齢者と異なる算出方法にて計算(インターネット利用者数 × ダークパターン遭遇率/被害経験率(設問回答)/被害単価(中央値ベース)等を掛け合わせ推計)

・被害総額は年間最大約3.2兆円規模と、2024年推計(約1兆575億円~約1兆6,760億円)から2倍ほどに拡大。また金銭的被害経験者数も約2,657万人と、日本のインターネット人口の約3割が金銭的被害を経験しており、被害は「一部」ではなく広く発生している。

・高齢者では約208万人規模と被害の絶対数は一定水準にとどまるものの、発覚の遅れや長期化による深刻化リスクが高い構造が見られる。加えて、回答数が限られていることから参考値ではあるが、実際の被害は十分に把握しきれていない可能性もある。まだ被害に気づいていない、あるいは認識されていないケースが含まれていることも考えられ、潜在的な被害規模はさらに大きい可能性がある。

・小中高生・大学生でも合わせて約286万人規模と、若年層にも広くダークパターンの被害が及んでいる。特に若年層では、被害に対する違和感や判断力が相対的に低く、被害に遭っても周囲に相談できず抱え込みやすい傾向が見られ、被害が可視化されにくい構造も存在する。

・全年代にまたがる被害構造からダークパターンは特定層ではなく社会全体に広がる課題であることが明確。

調査結果① 言葉の認知 ― 守るべき層ほど低水準、大学生は情報接触機会により一般並み

ダークパターンという言葉・手法の認知は、一般(2026年)で34.6%。世代別で見ると特に高齢者は24.7%、小中高生は18.5%と低い水準にとどまり、特に守るべき層において十分に浸透していない実態が明らかになりました。一方で大学生は34.1%と一般(2026年)に近い水準となっており、小中高生と比べて認知に差が見られます。これは、大学生が日常的に多様なオンラインサービスに接していることに加え、ニュースや授業、SNSなどを通じてダークパターンという概念や言葉に触れる機会が広がっていることが背景にある可能性が考えられます。

※本調査は「ダークパターンという言葉自体を知っているか」を聴取。消費者庁のダークパターン調査は実際の画面画像を提示し、認知度を調査。数値の水準は調査設計により異なります。

調査結果② 経済的被害 ― 一般消費者の約3割が実損 そのうち約32%以上が5万円以上の高額被害

ダークパターンの経済的損失被害経験割合は、2024年の一般30.2%と比べると、2026年の一般29.0%はおおむね同水準であり、ダークパターンによる金銭的被害が依然として広く発生している実態がうかがえます。一方で、大学生でも26.6%が損失経験ありと、一般に近い水準の被害が見られました。高齢者は23.3%、小中高生は17.3%と一般(2026年)より低いものの、後述する被害の現れ方は、世代によって異なります。

また経済的損失被害を受けた方の被害額分布をみると、一般(2026年)では、損失経験者のうち約32.3%が5万円以上、6.8%が50万円以上の被害を受けており、被害が少額にとどまらないことがわかりました。高齢者では1万円帯の割合が相対的に高い一方、解約のしにくさや発覚の遅れが重なることで、金額以上に負担感が大きくなりやすいことが懸念されます。被害は“高額か低額か”だけでなく、“どれだけ長く気づかず、解消までに負担がかかるか”という観点でも捉える必要があります。

契約開始から被害に気づくまでの期間には、世代差が見られました。小中高生では「1週間以内」が50.9%と突出しており、比較的早い段階で異変に気づいている傾向が見られます。一方で、一般(2026年)では「1ヶ月以内」が30.7%で最多、高齢者では「1ヶ月以内」(30.8%)と「3ヶ月以内」(29.2%)が拮抗しており、年齢が上がるほど発覚が後ろ倒しになる傾向が見られました。

特に小中高生については、本人が自力で違和感に気づいたというより、別設問で「家族からの指摘」が発覚のきっかけとして最多となっていることから、家庭内で保護者など周囲が異変に気づき、結果として早期発覚につながっている可能性があります。これに対し高齢者では、「しばらく経ってから気づく」層が厚いだけでなく、「1年以上経ってから」気づいた割合も他世代より高く、被害が見えにくいまま長期間継続してしまうリスクが相対的に高い点が特徴です。また一般(2026年)では「1ヶ月以内」に発覚するケースが中心であるのに対し、高齢者では「1ヶ月以内」「3ヶ月以内」「1年以上」と発覚時期が広く分散しており、この遅れが解約の負担や金銭的負担の増加につながり、被害の長期化・深刻化を招きやすい構造がうかがえます。

調査結果③企業評価 ― 全体で7割以上が企業のダークパターン対策を重視。対策有無が選択に直結

ダークパターンに対する企業評価については、全体で7割以上が「ダークパターンを行う企業を避けたい」「企業選定の基準になる」「対策企業が分かれば安心して利用できる」と回答し、多くの消費者が企業選びにおいて重要な判断材料としていることが明らかになりました。消費者は利便性だけでなく、「誠実に説明してくれるか」「安心して利用できるか」といった観点をより重視している様子がうかがえます。また、小中高生は、被害経験自体は17.3%と比較的低いものの、企業評価の重視は高く、ダークパターン対策の有無が信頼形成に影響する構図は世代を通じて一貫しています。

これらの結果から、ダークパターン対策は単なる消費者保護にとどまらず、企業の信頼形成や継続利用意向に直結する要素として、全世代で前提条件になりつつあるといえます。

調査結果④高齢者の被害構造 ― 被害の「気づきにくさ」で長期化、解約断念も多数

高齢者では、「クレジットカードの明細」での発覚が32.9%と最多だった一方で、「商品が届き続けたこと」で初めて気づいた人も28.6%にのぼりました。これは、金額の変化や明細の違和感だけでは気づきにくく、実物が継続的に届いて初めて被害を認識するケースが少なくないことを示しています。また、「家族からの指摘」は2.9%にとどまり、周囲の早期関与が起きにくい点も特徴です。高齢者の被害は、発見の遅れがそのまま契約継続や負担の長期化につながりやすいと考えられます。

さらに高齢者で、意図しない定期購入・サブスクリプション契約になっていたあとの解約については、断念・不能とした人が12.9%と、一般(2026年)1.4%の約9倍にのぼりました。一方約4割は、時間がかかったが自分で解約はできたと回答。申し込み時は簡単でも、解約時に複雑な導線や心理的な負担が生じることで、そのまま手続きを先送りしてしまう可能性があります。ダークパターン被害は、契約時だけでなく解約のしやすさまで含めて評価する必要があります。

調査結果⑤若年層の特徴 ― 被害を相談できず、抱え込む傾向

小中高生はダークパターンの損失被害にあった場合でも、26.3%が保護者に相談せず・できずにおり、大学生も54.9%がすぐには相談・報告していませんでした。特に大学生は、アルバイト代や自分のお金で処理できてしまう場面もあるため、被害を“自分で何とかする問題”として抱え込みやすい可能性があります。小中高生・大学生ともに、被害に気づいても周囲に共有されにくいことが、被害の見えにくさにつながっていると考えられます。

また小中高生が相談しなかった理由としては、「自分の責任だと思った」「怒られると思った」「何と説明していいか分からなかった」といった声が多く見られました。大学生においても、「怒られると思った」といった理由が目立っており、相談そのものに心理的なハードルがある様子がうかがえます。

被害を受けた本人が“自分が悪い”と受け止めてしまう構造があると、周囲が把握しづらくなり、早期対応も遅れやすくなります。その結果、被害の長期化や深刻化につながる可能性も考えられます。子ども・若年層の被害対策では、本人のリテラシー向上に加え、被害を前提に家族や身近な大人が気づける仕組みや、相談しやすい環境づくりも重要といえます。

調査結果⑥テスト(誘導UI) ― ガチャや同意画面でも、“条件の分かりにくさ”に違和感が低い

本調査では、ダークパターンの代表的な手法を基に作成した仮想UI(ガチャ画面や同意画面など)を用い、各世代の「ダークパターン見抜き率」をテスト形式で検証しました。

その結果、小中高生・大学生では不適切な設計を見抜く割合が相対的に低く、「課金条件や同意内容が分かりにくい設計」に対して違和感を持ちにくい傾向が見られました。一方で高齢者では、内容の不適切性そのものの認識は比較的できているものの、「気づくまでに時間がかかる」「見逃しやすい」といった別のリスク構造が確認されました。

ニュース記事を1本閲覧するために個人情報の利用目的を明記せず会員登録を求める画面に対し、「やや不適切」「明らかに不適切」と感じた=ダークパターンを見抜けた人の割合を年代別に比較したところ、一般(2026年)全体では47.2%と約半数にとどまった一方、高齢者では62.7%と6割を超え、不適切と認識する割合が最も高い結果となりました。

これに対し、小中高生は39.7%、大学生は36.5%といずれも4割を下回り、若年層ほど不適切な可能性のある表示に対する認識が低い傾向が明らかになりました。

本設問で提示した画面は、ニュース記事の閲覧にあたり、氏名・生年月日・住所・電話番号などの個人情報の入力を必須としながら、

・その利用目的が明示されていない

・「登録しない」「あとで」などの選択肢(拒否ボタン)が表示されていない

・個人情報の入力以外の回避手段が提示されていない

といった特徴を持っています。

このように、説明が不十分な上に、ユーザーに明確な拒否の選択肢を与えず、個人情報の提供を前提とした「実質的な強制状態」をつくる設計は、ユーザーの自由な意思決定を妨げる可能性があり、いわゆるダークパターンの一例と考えられます。本調査から、特に若年層においては、こうした強制的な導線に対して違和感を持たず受け入れている可能性があり、不利益につながるサービス利用や意図しない同意行動に結びつくリスクが示唆されます。

さらに本調査では、スマホゲームの「ガチャ画面」と、サービス登録時に表示される同意確認画面について、それぞれ別条件で調査を実施しました。ガチャ画面は、課金が伴う行為であることが直感的に分かりにくい設計である点が特徴です。小中高生および大学生を対象に調査したところ、「やや不適切」「明らかに不適切」と感じた割合は、小中高生で26.4%、大学生で26.0%と、いずれも約4人に1人にとどまりました。

一方、同意確認画面については、高齢者、小中高生、大学生を対象に調査を実施しました。当該画面は、「受け取らないことに同意しないわけではない」といった、二重否定の文言で同意の意思を曖昧にしつつ誘導する表現を含んでいる点が特徴です。この結果、「不適切」と感じた割合は、高齢者で79.4%と約8割に達したのに対し、小中高生42.7%、大学生43.2%と、若年層では大きく低い結果となりました。

これらの結果から、ユーザーの意思決定に影響を与えるUIであっても、設計の文脈や表現方法によって、その認識に大きな差が生じることが明らかとなりました。特に若年層では、ガチャのような課金を伴う仕組みや、同意確認画面における曖昧な表現に対して違和感を持ちにくく、誘導的なデザインや言い回しに対する感度が相対的に低い可能性が示唆されます。

当協会コメント

 2年前の調査に対して、消費者に認識されている被害額が約2倍に上がっているという本調査結果は、ネット取引の拡大に伴って消費者に認知されたダークパターン被害も、残念ながら拡大しているということを示しています。消費者が安心してネット取引を行え、誠実な企業が消費者から正しく評価されるようにするには、消費者への継続的な啓発活動と企業側のダークパターン対策の取り組みが欠かせません。特に消費者認知の高い大企業がダークパターン対策を率先垂範して頂けると助かります。

 先日、日本を代表する企業の日本生命様に、誠実な企業のWebサイトを認定する「NDD認定制度」を取得いただきました。日本生命様に続いて現在複数の日本を代表する企業が、NDD認定制度の取得プロセスを通して、ダークパターン対策を強化されています。このようなガバナンス意識の高い経営者の皆様の御協力に感謝するとともに、我々も家に帰れば一消費者ですから、自分自身や大切なご家族、仲間がダークパターンに惑わされず安心してネット取引が出来る環境を皆で作り上げていくことに引き続きお力添えくださいませ。

 また、本調査では小中高生や大学生の被害経験者の中に、「自分の責任だと思った」「怒られると思った」「どう説明していいかわからなかった」といった理由から周囲に相談しなかった方が少なくありませんでした。ダークパターンは、誰かが不注意だから被害に遭うものではなく、人の心理や認知の隙を利用して巧みに設計されるものです。そのため、被害に遭った本人が必要以上に自分を責めたり、相談することをためらったりする必要はありません。

 特に保護者や教育関係者、周囲の大人には、「なぜそんなことをしたのか」と責めるのではなく、「相談してくれてありがとう」と受け止める姿勢を持っていただきたいと思います。被害の早期発見や拡大防止のためには、子どもや若者が安心して相談できる環境づくりが何より重要です。ダークパターン対策は、企業の誠実な設計だけでなく、被害に遭った人が安心して声を上げられる社会づくりでもあります。被害者を責めるのではなく、まず受け止める。その積み重ねが、子どもたちや若者を守ることにつながると考えています。

 我々ダークパターン対策協会も引き続き消費者への啓発活動、企業側のダークパターン対策支援、ガイドラインの改訂、政府機関・関連団体との連携、ダークパターン・ホットラインを通じた動向の把握と対策の検討など、広く・深く活動を続けて参りますので、皆様の御理解と御協力を賜ることができれば幸いです。 

 調査概要

調査名

ダークパターンに関する意識・実態調査(2026年)

調査主体

一般社団法人ダークパターン対策協会

比較・参照

2024年調査(Webの同意を考えようプロジェクト調べ n=500)/消費者庁「ダークパターンに対する消費者意識調査」(2026年6月公表)

対象

サンプル数

調査機関

期間

一般(2026年)

・高齢者

一般 500ss(21歳~64歳)

高齢者 300ss(65歳~74歳)

ネットリサーチツール「fast ask」

2026年5月26日~6月8日

小中高生

330ss(小学生・中学生・高校生)

ネットリサーチツール「fast sonar」

2026年6月4日~6月20日

大学生

314ss(短大生・専門学校生・大学生(学部生)・大学院生)

株式会社マイナビ

2026年6月18日~7月2日

NDD認定制度について

ダークパターン(※消費者を意図的に誤認・誘導させる不適切なデザイン)を用いない誠実なWebサイトを、第三者が客観的かつ中立的に審査し、基準を満たしたサイトに改ざん防止機能を備えた認定マークを付与する制度です。本制度は、消費者の意思決定の自由を守り、誠実な事業者の努力を「見える化」することで、デジタル社会全体の信頼性と健全性を高めることを目的としています。

一般社団法人ダークパターン対策協会については、こちらをご覧ください。 
https://www.ndda.net

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会社概要

URL
https://www.ndda.net/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都千代田区神田須田町1丁目7番8号 VORT秋葉原Ⅳ 2F
電話番号
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代表者名
小川晋平
上場
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資本金
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設立
2024年09月