腸内細菌叢からIBS(過敏性腸症候群)を判定するアルゴリズムについての論文が Journal of Clinical Medicine に公開されました
株式会社サイキンソー(本社:東京都渋谷区、代表取締役:沢井 悠)は、過敏性腸症候群患者を対象とする腸内フローラの特徴を解明するための研究を実施いたしました。本研究の成果が、2020年7月27日付けで論文掲載されましたので、お知らせいたします。
■論文概要
タイトル:Usefulness of Machine Learning-Based Gut Microbiome Analysis for Identifying Patients with Irritable Bowels Syndrome(和訳:過敏性腸症候群の患者を判別するための機械学習をもちいた腸内細菌叢分析の有用性)
本研究では、兵庫医科大学消化器内科、松田病院、JCHO新宿メディカルセンターに協力いただき、日本人における過敏性腸症候群*(IBS)患者と健常者の腸内細菌叢の違いとその特徴を明らかにし、腸内細菌叢からIBSを判別する機械学習モデルを確立しました。
論文の全文はこちらよりご覧いただけます。
https://www.mdpi.com/2077-0383/9/8/2403
DOI:10.3390/jcm9082403
*過敏性腸症候群(IBS):代表的な機能性腸疾患であり、腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態と定義されます。(日本消化器病学会,機能性消化管疾患診療ガイドライン2014 ー過敏性腸症候群(IBS))
日本の成人の約15%がかかっているとも言われています。IBSの病態生理には多くの要因(内臓感受性、腸運動、粘膜免疫、心理的ストレスなど)が関与しており、IBSの病態生理学的メカニズムの解明、診断および治療を確立することは困難とされています。
■研究概要
【目的】過敏性腸症候群(IBS)は、直接診断に繋がる検査法がなく、自覚症状の訴えと大腸内視鏡などの検査を行い異常がないことで診断されます。そのため、検体検査等により、客観的かつ直接的な検査法の確立が求められておりました。
本研究では、腸内微生物叢からIBSを判定することができるか検証し、判別モデルの確立を目指しました。
【方法】 IBSと診断された成人患者85例と健常者26例から糞便サンプルと臨床データを収集しました。糞便サンプルを解析し、腸内細菌組成と短鎖脂肪酸量を同定しました。
【結果】IBS群の腸内細菌叢は、健常者群よりも多様性が低く、特に下痢型IBSの患者でその差が顕著でした。検出された菌のうちのいくつかは、群間で存在割合に有意差がありましたが、1種類の菌の存在割合のみでIBSか否かを判別できるほどの大きな差は認められませんでした。そこで、多変量データを扱う機械学習アルゴリズムを用いて
IBS患者を識別するための判別モデルの確立を試みました。解析対象データを探索データと検証データに分割したデータセットを複数作成し、交差検証法によりその精度を検証した結果、判別精度の平均が感度80.9%、
特異度99.9%となる判別モデルを構築することに成功しました。
【考察】本研究では、腸内細菌叢からの情報のみで、IBS患者を健常者から高い精度で識別する判別モデルを確立することができました。今後、さらにIBSの型(下痢型、便秘型など)の判定や、治療効果測定などの評価モデルも検討してまいります。
弊社では、本研究で開発したIBS判別モデルを応用し、IBSリスク判定アルゴリズムを開発しました。今後、腸内フローラ検査「Mykinso(マイキンソー)」の新しい検査項目として追加予定です。診断を受けていない、いわゆる隠れIBSを検出することで、IBS治療を促し、国民のIBS有病率の抑制に貢献したいと考えています。
■株式会社サイキンソー概要
「細菌叢で人々を健康に」を企業理念として、腸内フローラをはじめとする人体の常在細菌叢をデータサイエンスの力で解き明かし、ヘルスケアに貢献することを目指す企業です。
会社設立:2014年11月19日
所在地:東京都渋谷区代々木1-36-1 オダカビル2階
代表取締役:沢井 悠
主な共同研究先:大阪大学微生物病研究所、国立研究開発法人 理化学研究所
URL:https://cykinso.co.jp/
タイトル:Usefulness of Machine Learning-Based Gut Microbiome Analysis for Identifying Patients with Irritable Bowels Syndrome(和訳:過敏性腸症候群の患者を判別するための機械学習をもちいた腸内細菌叢分析の有用性)
本研究では、兵庫医科大学消化器内科、松田病院、JCHO新宿メディカルセンターに協力いただき、日本人における過敏性腸症候群*(IBS)患者と健常者の腸内細菌叢の違いとその特徴を明らかにし、腸内細菌叢からIBSを判別する機械学習モデルを確立しました。
論文の全文はこちらよりご覧いただけます。
https://www.mdpi.com/2077-0383/9/8/2403
DOI:10.3390/jcm9082403
*過敏性腸症候群(IBS):代表的な機能性腸疾患であり、腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態と定義されます。(日本消化器病学会,機能性消化管疾患診療ガイドライン2014 ー過敏性腸症候群(IBS))
日本の成人の約15%がかかっているとも言われています。IBSの病態生理には多くの要因(内臓感受性、腸運動、粘膜免疫、心理的ストレスなど)が関与しており、IBSの病態生理学的メカニズムの解明、診断および治療を確立することは困難とされています。
■研究概要
【目的】過敏性腸症候群(IBS)は、直接診断に繋がる検査法がなく、自覚症状の訴えと大腸内視鏡などの検査を行い異常がないことで診断されます。そのため、検体検査等により、客観的かつ直接的な検査法の確立が求められておりました。
本研究では、腸内微生物叢からIBSを判定することができるか検証し、判別モデルの確立を目指しました。
【方法】 IBSと診断された成人患者85例と健常者26例から糞便サンプルと臨床データを収集しました。糞便サンプルを解析し、腸内細菌組成と短鎖脂肪酸量を同定しました。
【結果】IBS群の腸内細菌叢は、健常者群よりも多様性が低く、特に下痢型IBSの患者でその差が顕著でした。検出された菌のうちのいくつかは、群間で存在割合に有意差がありましたが、1種類の菌の存在割合のみでIBSか否かを判別できるほどの大きな差は認められませんでした。そこで、多変量データを扱う機械学習アルゴリズムを用いて
IBS患者を識別するための判別モデルの確立を試みました。解析対象データを探索データと検証データに分割したデータセットを複数作成し、交差検証法によりその精度を検証した結果、判別精度の平均が感度80.9%、
特異度99.9%となる判別モデルを構築することに成功しました。
【考察】本研究では、腸内細菌叢からの情報のみで、IBS患者を健常者から高い精度で識別する判別モデルを確立することができました。今後、さらにIBSの型(下痢型、便秘型など)の判定や、治療効果測定などの評価モデルも検討してまいります。
弊社では、本研究で開発したIBS判別モデルを応用し、IBSリスク判定アルゴリズムを開発しました。今後、腸内フローラ検査「Mykinso(マイキンソー)」の新しい検査項目として追加予定です。診断を受けていない、いわゆる隠れIBSを検出することで、IBS治療を促し、国民のIBS有病率の抑制に貢献したいと考えています。
■株式会社サイキンソー概要
「細菌叢で人々を健康に」を企業理念として、腸内フローラをはじめとする人体の常在細菌叢をデータサイエンスの力で解き明かし、ヘルスケアに貢献することを目指す企業です。
会社設立:2014年11月19日
所在地:東京都渋谷区代々木1-36-1 オダカビル2階
代表取締役:沢井 悠
主な共同研究先:大阪大学微生物病研究所、国立研究開発法人 理化学研究所
URL:https://cykinso.co.jp/
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