外国人留学生・社員によるオンライン座談会レポート『日本の就活・職場のギモン』

~日本人らしい外国人を求める日本企業のダイバーシティ(多様性)とは?~

株式会社オリジネーター

理系外国人留学生の人材紹介を強みとし、外国人留学生就職情報サイト『リュウカツ®』を運営する株式会社オリジネーター(所在地:東京都渋谷区、代表取締役:長谷部 裕樹)は、理系外国人留学生の日本における採用動向等を伝えるレポート「リュウカツニュース」を不定期に発行しています。

卒業後も日本で就職を希望する外国人留学生がいる一方で、日本特有の就職活動の制度や習慣に戸惑い、なかなか内定獲得に至らないことがあります。そこで、『リュウカツ®』登録者を対象に、日本の就職活動に関するアンケートを実施し、3月に調査結果を発表しました。今回の「リュウカツニュースVol.10」では、調査結果をさらに深堀りし、日本の就職活動を経験した外国人留学生や日本企業で働く外国人社員によるオンライン座談会を実施し、彼らがどのように捉えているかを明らかにします。外国人採用を検討する企業の担当者に知っていただくことで、日本で働きたい外国人留学生の活躍の場を広げていきたいと考えております。

※「外国人留学生から見た日本の就職活動について」アンケート結果 https://ryugakusei.com/news/7473/

 
  • オンライン座談会 ポイント
①外国人留学生から見た日本の就職活動について
●ダイバーシティ(多様性)を謳っているのに、新卒一括採用で全ての社員を企業の働き方に染めること。100人採用して中途採用が1人もいないのは、ダイバーシティ(多様性)と矛盾しているのでは?
●外国人を雇う理由が、企業側も曖昧なこと。上層部からダイバーシティのために外国人材の採用を指示されただけで、人事担当者は外国人材をどのように活用するのかわかっていない。
●「適性検査」の結果だけで、頭の良さを判断してほしくない。日本人でさえ難しい日本語の問題で、日本人も外国人も一律に判断されることに疑問。

②日本企業の商習慣やビジネスマナーについて
●会議で曖昧な言葉が多く、何も決まらずに時間ばかりが経過し、モヤモヤした。
●新入社員に飲み会の幹事をさせる習慣。外国人社員には幹事をさせないよう配慮してくれるが、同期の日本人との違いが出てくるので、居心地は良くない。幹事をさせる習慣をなくせばいい。
●「ジョブローテーション」と「年齢」で、全く経験がなくても偉いポジションに就くこと。これではうまくいくはずがない。

 ③外国人社員が働きやすい環境・体制とは
●外国人留学生はネイティブではないので、日本語力で頭の良さを判断しないでほしい。言っていることの内容は貴重な意見でも、それに気が付かない日本企業が多い。
●OJTは、海外留学・海外赴任の経験がある先輩社員が担当すると、外国人の気持ちが理解できる。
●2週間に1回の面談で、密にコミュニケーションを取ると良い。一般的な日本企業の面談は半年に1回くらいなので、それでは悩みがあってもなかなか相談できない。
 
  • オンライン座談会 実施概要
【日 時】2022年4月23日(土) ※オンライン(Zoom)にて実施
【テーマ】
 ①外国人留学生から見た日本の就職活動について
 ②日本企業の商習慣やビジネスマナーについて
 ③外国人社員が働きやすい環境・体制とは
 ④これから日本企業で働く外国人留学生へアドバイス

 

【参加者】日本の就職活動を経験した外国人留学生や、日本企業で働く外国人社員

【Aさん】インドネシア・男性 [23卒・日本の大学(在学中)・理系専攻]
 総合機器メーカー(研究開発職)内定獲得
【Bさん】ハンガリー・女性 [22卒・日本の大学卒・文系専攻]
 4月に、自動車メーカー(事務職)入社
【Cさん】ベトナム・男性 [30歳・日本の大学卒・理系専攻]
 機械メーカー(技術職)に約5年勤務した後、外資系IT企業(ソフトウエア開発・販売)に転職、現在約1年勤務。
【Dさん】香港・女性 [29歳・海外大学卒・文理専攻]
 香港の日系企業(法人営業)に約2年勤務。来日し、日本のITコンサル企業(金融システム開発・営業)に転職、現在約3年勤務。
 

  • テーマ①「外国人留学生から見た日本の就職活動について」
    日本企業の選考(採用活動)で、疑問に思うこと
●「ダイバーシティ」を謳っているのに、「新卒一括採用」
Cさん(ベトナム・男性)ダイバーシティを謳っている企業は多いですが、新卒一括採用で企業の働き方に染めるやり方に疑問を持ちました。「ダイバーシティを重視する」と言っている企業でも、100人採用したうち、中途採用が1人もいないのは矛盾していると思います。

●外国人を雇う理由が、企業側も曖昧
Bさん(ハンガリー・女性)ある企業の担当者から「上層部からダイバーシティのために外国人材を雇うよう指示があったが、何の仕事をしてもらうか、正直我々もわからない」と言われたことがあります。また、ある企業の説明会で「どういう外国人材がほしいですか?」と質問したら、「優秀な外国人材がほしい」と言われました。優秀な外国人材と言われてもわかりません。せめて条件として「中国語ができて、さらにこういう知識があると良い」という回答だったら、私が挑戦しても無理なので、お互い無駄な時間がなくなるはずです。

●プロセス重視の選考に違和感
Bさん(ハンガリー・女性)日本人と一緒の選考に違和感があります。エントリーシートは「○○ができる」というアピールよりも、「こんな努力をした」といったプロセスを重視していて、多くの日本人が「部活やサークル、バイトで○○を頑張りました」と書く中で、私たち外国人は経験を積んできた背景や環境が違うので、比較されても困ってしまいます。

●日本語の「適性検査」の結果で、日本人と一律に判断されることに疑問
Bさん(ハンガリー・女性)日本人向けのSPIテストで、日本人でさえ難しい日本語の問題を、外国人が日本人相手に競争することに疑問を感じました。適性検査の結果だけを見ると、頭が悪い人に見えてしまうので、頭の良さを適性検査で測ってほしくありません。
Cさん(ベトナム・男性)私も適性検査を受けたことがありますが、時間が足りず半分しかできませんでした。残りは適当に回答したのですが、それでも内定をもらえたので、実施する意味がわかりませんでした。

●面接でプライベートなことを聞かれて、戸惑った
Aさん(インドネシア・男性)私は面接ですごく個人的なことを聞かれて、戸惑ったことがあります。「今、彼女はいますか?」と聞かれ、その質問と仕事の繋がりが見えず、質問の意図が全くわかりませんでした。
Dさん(香港・女性)海外の企業はプライベートなことは聞かないので、そういった質問をされると、外国人は恐らくショックを受けてしまいますね。

●外国人に対する勝手なイメージ
Bさん(ハンガリー・女性)企業の採用担当者に、「外国人だから気が強いでしょ」と言われ、映画などで見た外国人のイメージをそのまま信じている人だなと思いました。私自身、そういう外国人が苦手なんですが…。また、未だに「外国人は安い賃金でよく働く」と思われていることも残念です。


(参考データ)「外国人留学生から見た日本の就職活動について」アンケート結果(2022年3月発表)
Q10.日本企業の選考(採用活動)に関して、改善してほしいこと [複数選択]

  • テーマ①「外国人留学生から見た日本の就職活動について」
    就職活動を通じて接した企業の中で、魅力的な企業だと思ったこと
●「人事担当者」の丁寧な対応
Aさん(インドネシア・男性)コロナ禍で会社訪問ができなかったこともあり、最終面接の後に、人事担当者から「個別に工場見学しますか?」と提案してくれました。1人のために、面倒な工場見学をセッティングしてくれたことが、とても嬉しかったです。
Cさん(ベトナム・男性)新卒の学生に仕事内容を説明しても、なかなか理解できないので、「会社」を選ぶというより「人事担当者」を選ぶというくらい、人事担当者は非常に大事だと思っています。何社か応募した中で、人事担当者の対応が良くないと選考に進みたくない気持ちになりました。前職の人事担当者は、すべての質問に答えてくれて、すぐに返信してくれたので、心強かったです。
 
  • テーマ②「日本企業の商習慣・ビジネスマナーについて」
    実際に日本企業で働いて、商習慣やビジネスマナーなどで疑問に思うこと
●会議で曖昧な言葉が多く、何も決まらずに時間ばかりが経過
Dさん(香港・女性)会議などで曖昧な言葉をたくさん使っていることです。初めて会議に参加した時は、全然決まらずに時間ばかりが経過してモヤモヤしていました。しかし働いているうちに、上の人に相談するために一旦持ち帰り、次の会議で報告することが多いことに気が付きました。最初は戸惑いましたが、だんだん理解でき、恐らく自分も曖昧な言葉を使うようになってくると思います。

●新入社員に飲み会の幹事をさせる習慣
Cさん(ベトナム・男性)日本企業は、外国人社員が働きやすいように環境を整えようと努力していますが、中途半端な部分もあります。例えば、新入社員に飲み会の幹事をさせる習慣がありますが、外国人社員には幹事をさせないように配慮してくれます。これは良いことだと思いますが、「私は外国人だから、そんな仕事はしてはいけない」という気持ちにもなり、同期の日本人との違いが出てくるので、居心地は良くありません。飲み会はコミュニケーションを取ることが目的なので、そもそも幹事をさせる習慣をなくせばいいと思います。

●「ジョブローテーション」と「年齢」で、全く経験がなくても偉いポジションに就く
Bさん(ハンガリー・女性)ジョブローテーションの制度を取り入れている日本企業が多く、全く経験がない人が「ジョブローテーション」と「年齢」によって、偉いポジションに就くことがありますが、それではうまくいかないと思います。
 
  • テーマ③「外国人社員が働きやすい環境・体制とは」
●日本語力で頭の良さを判断しないでほしい
Bさん(ハンガリー・女性)外国人留学生はネイティブではないので日本語が完璧ではありませんが、頭の良さを日本語力で判断されてしまうことがあります。言っていることの内容は貴重な意見でも、それに気が付かない日本企業が多く、残念です。

●OJTは、海外留学・海外赴任の経験がある先輩社員に
Dさん(香港・女性)海外留学や海外赴任の経験がある上司や先輩は、外国人社員の面倒見が良いと思います。こういった経験がなくても、海外の文化に関心のある人でも良いです。私の時も、営業の先輩がOJTにつき、大学時代にアメリカの大学で4年間勉強した人だったので、外国人の気持ちを分かってくれました。海外留学や海外赴任の経験がある日本人社員がいない場合は、外国人社員の先輩がOJTにつくのも良いと思います。

●2週間に1回の面談で、密にコミュニケーション
Cさん(ベトナム・男性)上司は部下の外国人社員が困った時、誰に相談するのか常に考える必要があります。そうでないと、部下はそのことでずっと悩んでしまいます。離職など大きな問題になる前に、変化に気づいてあげられることが大切です。一般的な日本企業では、面談は半年に1回くらいだと思いますが、悩みがあっても1年に2回しか上司に言うチャンスがないのは少なすぎます。
私が働いている企業では、2週間に1回(1時間程度)、上司との面談があり、今どんな仕事をやっているか、職場の人たちとの関係はうまくいっているか、困っていることはないかなど話します。密にコミュニケーションをとっているので、自分が辞めたいと思った時は、恐らく上司はすぐに気が付くと思います。

●なぜ外国人を雇ったのか、改めて考えてほしい
Dさん(香港・女性)「なぜ外国人の私を雇ったか」ということを改めて考えてほしいです。外国人の我々もグローバルな視点で意見を言うと、日本企業も「外国人を雇って良かったな」と思ってもらえます。今の会社の面接時に、なぜ外国人採用に積極的なのか聞いたところ、「海外へ事業展開をするため、海外の方の考えをぜひ教えてほしい」と言ってくれたので、遠慮せず意見を言うようにしています。
 
  • テーマ④「これから日本企業で働く外国人留学生へアドバイス」
●社内で何でも相談できる人を作ろう
Cさん(ベトナム・男性)外国人の新入社員が日々の業務をスムーズにこなせるようになるには、1~2年かかります。その間、何でも相談できる味方のような人を社内に作ることが大事です。私の後輩には、同期に限らず先輩でも上司でも、最低1人は話しやすい人を作るように言っています。特に海外留学の経験がある日本人は、外国人の気持ちが理解できるので、その人と仲良くすると良いです。前の職場の同僚で今でも仲の良い日本人も、学生時代に留学経験があり、丁寧な日本語で考え方も一般的な日本人と違い、すごく話しやすいです。

●困った時に助け合える同期
Dさん(香港・女性)同期は部署がバラバラでも仲が良く、コロナ前は月に1回必ず集まって飲みに行っていました。仕事で他部署の人に助けてもらうこともあるので、そういう時に他部署に知り合いがいると、スムーズに仕事ができます。新卒一括採用で3~6ヵ月の新人研修を毎日一緒に受けていた同期は自然と仲良くなります。仕事で困った時や愚痴を言いたい時、自分の部署の人には言いにくいですが、同期には言いやすいです。
Bさん(ハンガリー・女性)私は4月に入社しましたが、コロナで同期の人との交流がまったくありません。新人研修の半分はオンラインで、聞いているだけの研修は対面ですが私語厳禁。グループワークはオンラインなので、同期と仲良くなるには難しい環境です。
Dさん(香港・女性)私の会社はそれを打破するために、人事部が月1回「ビデオランチ会」を新卒のために実施しています。新卒の子に「ビデオランチ会」のことを聞くと、「対面でなかなか会えず、自分から同期にいきなり話すと唐突と思われるので、企画してくれた人事に感謝している」と言っていました。

●なぜ日本で就職したいのか、もう一度考えて
Dさん(香港・女性)日本人らしい外国人を求める日本企業は多いです。それで採用されても、無理矢理、自分を日本人化する必要はありませんが、なぜ自分は日本で就職したいのか、もう一度考えてほしいです。私は、日本人の繊細さを勉強したかったので、日本に住んでいます。多少、日本人の細かさが気になっても、それは私が勉強したかったことなので、理解するように努力しています。
日本企業が外国人を雇う理由は、海外企業とのやりとりの通訳が多く、長く日本で働く外国人社員は「英語がわかる日本人に似ている外国人」になりがちですが、そうはなってほしくありません。外国人はグローバルな視点を持っているので、日々の業務で業界や仕事を理解しながら、自分の価値を見つけてほしいです。
 
  • 【就活サポートの現場から】 株式会社オリジネーター 取締役 専務執行役員 工藤尚美

外国人にとって、年功序列やジョブローテーションなど日本特有の人事制度への理解は難しく、また、“外国人だと昇給・昇進できない”と不安に思われていることもあり、「評価制度」や「キャリアパス」など違和感を持たれやすい部分については、企業側がわかりやすく説明することが重要です。また、日本人社員側の異文化理解力やグローバルマインドといった受け入れマインドの醸成も大切です。外国人の採用に関しては、経営陣は価値のあることと考えていても、採用を担う人事担当者や配属先の現場は戸惑っている場合もあるので、会社全体でコンセンサスをとることがポイントです。外国人社員の受け入れ後の定着と活躍に関して企業様からのお問合せも多く、当社が提供する『リュウカツ® 活躍支援』https://ryugakusei.com/company/diversity/)もご好評いただいています。
  [代表者] 代表取締役 長谷部 裕樹
[設 立] 2001年12月
[資本金] 1,000万円
[所在地] 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-12 monparte北参道6階
[主な事業内容] 外国人材採用支援事業『リュウカツ®』https://www.ryugakusei.com/
[事業許可] 有料職業紹介事業許可番号(13-ユ-300900) 労働者派遣事業許可番号(派13-302460)

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会社概要

株式会社オリジネーター

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URL
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業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区千駄ヶ谷4-19-12 monparte北参道6階
電話番号
03-6432-9390
代表者名
長谷部 裕樹
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2001年12月