二松学舎大学横溝正史旧蔵資料より　『学徒勤労一挿話』の発見について（二松学舎大学文学部教授山口直孝による調査）

名探偵金田一耕助シリーズで知られる探偵小説家横溝正史（1902年～1981年）の埋もれていた掌編『学徒勤労一挿話』が見つかりましたので、お知らせします。

本作は、アジア・太平洋戦争の末期の1945年1月に雑誌『新太陽』（16巻1号、1945年1月1日）に発表されたものです。勤労動員された女学校の生徒たちが多忙な仕事の中、七夕の準備をして人々の心を慰める情景を描いた、約600字の掌編小説です。探偵小説が書きにくくなり、捕物帳などの時代物を中心に創作を行っていた正史の異色作であり、現代ものでは敗戦前最後の作品になります。

本作発見のきっかけは、二松学舎大学所蔵の「横溝正史旧蔵資料」に題名を記した草稿が残されており、文学部教授の山口直孝が原稿の種類や筆跡から執筆時期を推定して、掲載誌を調査した結果、今回の発見となりました。
山口教授は、「戦局が悪化して、いろいろな制約を強いられた中でも創作を続けた正史の、作家としての意思がうかがえる。女生徒に注目しているところが軍部に批判的だった正史らしい」と語っています。

「学徒勤労一挿話」の草稿は、11月にリリースされる「オンライン版　二松学舎大学所蔵　横溝正史旧蔵資料」（丸善雄松堂）でも見ることができます。

 

横溝正史『学徒勤労一挿話』草稿

横溝正史『学徒勤労一挿話』草稿

 

横溝正史『学徒勤労一挿話』

 

【二松学舎とは】
1877年（明治10年）10月10日、明治法曹界の重鎮でもあった漢学者三島中洲により、漢学塾二松学舎が設立。
現在、学校法人二松学舎は、文学部（4学科12専攻）、国際政治経済学部（2学科4専攻）を擁する二松学舎大学と、その併設校として附属高等学校・附属柏高等学校・附属柏中学校を設置している。
■学校法人二松学舎 理事長：水戸 英則
URL：https://www.nishogakusha-u.ac.jp/houjin/
建学の精神：「東洋の精神による人格の陶冶」「己ヲ修メ人ヲ治メ一世二有用ナル人物ヲ養成ス」
＜設置校＞
■二松学舎大学 学長：江藤 茂博
URL：https://www.nishogakusha-u.ac.jp/
【キャンパス】
－九段キャンパス(東京都千代田区三番町6-16)
－柏キャンパス(千葉県柏市大井2590)
【学部(学科) 】
－文学部（国文学科、中国文学科、都市文化デザイン学科、歴史文化学科）
－国際政治経済学部（国際政治経済学科、国際経営学科）
■二松学舎大学附属高等学校 校長：鵜飼 敦之
URL：https://www.nishogakusha-highschool.ac.jp/index.html
■二松学舎大学附属柏中学校・高等学校 校長：七五三 和男
URL：https://www.nishogakusha-kashiwa.ed.jp/