超電導リニアの設備検査ロボットの開発
パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社(代表取締役社長 前田 崇雅、以下「PAD」)と東海旅客鉄道株式会社(代表取締役社長 丹羽 俊介、以下「JR東海」)、スズキ株式会社(代表取締役社長 鈴木 俊宏、以下「スズキ」)は、超電導リニアの運行を支える各種機械設備の点検・保全業務の効率化に向けて、これらの外観検査(注1)を自動で実施する設備検査ロボットの試作機(Maglev Inspection and Exploration Robot Vehicle α version、以下「Minervα(ミネルヴァ)」)を開発しました。
今後、山梨リニア実験線にて検証を行い、実用化を目指してまいります。
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開発の背景・目的
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山梨リニア実験線には分岐装置や乗降装置のような特有の機械設備が存在します。これらの設備は実験線内でも点在するため、点検箇所まで作業者が長時間かけてアクセスする必要があります。加えて、例えば分岐装置の下部に設置されている様々な機器を点検する場合は狭い場所において体に負荷のかかる姿勢で多くの項目を点検しなければならないなど、作業者にも大きな負担がかかっています。
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リニア中央新幹線開業後には同様の点検業務を沿線各地で広く行う必要があるため、設備の点検には大きな労力がかかることが想定されます。
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そこでJR東海は、将来の労働力不足を見据えた業務の効率化を目的に、リニアの機械設備の外観検査に効果的な設備検査ロボットの導入を検討してきました。
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Minervαの特長
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スズキが開発中の多目的電動台車「MITRA(注2)」を鉄道業界で初めて採用し、段差のある場所や砂利敷きの箇所のような不整地走行に対応。また、ロボットアーム等各種部品を搭載。
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PADが提供するソフトウェアパッケージ「@mobi(注3)」を鉄道業界で初めて採用し、自律移動が可能。さらに、ロボットアーム制御機能及び自動充電機能を搭載することにより、外観検査を自動化。
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プロダクトデザイナー・森澤有人氏によるドクターイエローをイメージしたカバーデザイン。
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期待される効果と今後の予定
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設備検査ロボットをリニア中央新幹線の沿線各地に配置し、外観検査を自動で行うことにより、人が現地へ移動する時間や点検にかかる労力や負担を削減することができます。
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2026年2月より、3社で山梨リニア実験線において機能性の確認など、現地検証を実施し、今後の設備の点検・保全業務の効率化に繋げていきます。
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注1:設備に傷や変形などが無いか、目視で確認する検査。
注2:スズキが長年の電動車いす開発・製造により実現する、走破性・信頼性に優れたモビリティ。
自動走行ロボットを段差がある路面などに導入するための「ロボットの足」として提供すべく開発中。
注3:自律移動ロボットの各種機能を実現するソフトウェアパッケージ。センサー、コントローラーとアプリケーションを
オールインワンパッケージで提供し、移動機構を持つロボットに組み込むことで簡単に自律移動を実現可能。
リニア設備検査ロボット試作機(Minervα)の特長
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スズキが開発中の多目的電動台車「MITRA」を採用し、不整地走行に対応
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ロボットアーム等各種部品を搭載し、多様な角度での検査が可能

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PADが提供するソフトウェアパッケージ「@mobi」を採用し、狭い場所においても安全に自律移動が可能
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ロボットアーム制御機能及び自動充電機能を搭載することにより、外観検査を自動化

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2025年1月に引退したドクターイエロー(T4編成)をイメージし、シンプルな造形とすることで子供のお絵描きでも描けるような親しみやすいデザイン
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デザインは森澤有人氏、製作は株式会社オウル・クラフトが担当

【問い合わせ先】
パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社
https://adtsd.jpn.panasonic.com/contact/
contact.pad@ml.jp.panasonic.com
パナソニック アドバンストテクノロジーについて
パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社は、パナソニック ホールディングス株式会社の関連会社で、ソフトウェア/システム開発を主業務とする会社です。
2011年に発行された自動車機能安全規格ISO26262において、2012年にASIL D(Automotive Safety Integrity Level:自動車安全水準の最高ランクD)を認定取得しています。機能安全対応の車載ECU開発(自動駐車ECU/トランスミッション制御ECUなど)をはじめ、建設機械の自動運転、モノ搬送ロボットなどのモビリティ開発を多数手がけております。
また、モビリティ以外に住宅、ロボティクス、セキュリティ分野などでの技術開発、事業展開にも取り組んでいます。
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