ストレージのアップデートを検討する際に思い出していただきたい6つの要素
Infinidat Japan合同会社 カントリー・マネージャーの山田秀樹による、ストレージのアップデートに関するブログをご紹介します。
国内で、また重大なサイバー攻撃、ランサムウェア攻撃が報告されました。被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。このような攻撃は許しがたいことですが、これを機に、自社のセキュリティ態勢について改めて見直しをされる方々も多いのではないかと思います。本稿では、クリティカルな企業データが集積される場所であり、サイバー攻撃のターゲットになりやすいエンタープライズストレージに焦点を当て、アップデートを実施するにあたって考慮すべき6つのポイントについてご説明したいと思います。業界全体のトレンドから始めて、ストレージシステム選定時のポイントに絞り込んでいきます。
1. データは増え続けます
世界のデータ量は飛躍的に増加し続けています。Statistaは2025年までにデータ量が 180ゼタバイトに達すると予測しています。1ゼタバイトは1兆ギガバイトで、その180倍です。膨大という形容では追いつかない量です。
たとえば最先端の電波望遠鏡では1時間あたり10ペタバイトのデータを処理します。4日間でおよそ1エクサバイト。1ゼタバイトはこの1,000倍です。カリフォルニア大学の研究者によると、これまで話されたすべての人間の音声を16 kHz、16 bitのオーディオ ファイルにデジタル化すると、そのサイズは 42 ゼタバイトを超えるそうです。あらゆるものがデータのかたちで存在するようになり、データの保存は人類の将来にとって極めて重要になっています。
その中で、企業として考慮すべき重要なポイントは、データが急増し、ストレージ容量の需要が高まっているからといって、それに対応するためにIT予算を爆発的に増加させる必要はないということです。
予算の制限という条件の下で有効な手段のひとつはストレージ統合でしょう。統合によってアレイの台数を減らすことで、管理の手間も大きく低減されます。
2. サイバー攻撃は止まりません
Cybersecurity Venturesによると、2024年のサイバー犯罪に関する年間コストは世界総計で9.5兆米ドルに達すると予測されています。この数字は拡大基調にあります。
企業にとって最も貴重なデータはエンタープライズストレージシステムに保存されているにもかかわらず、ストレージが企業の全体的なサイバーセキュリティ戦略で考慮されていないことが多いのが現実です。サイバー攻撃は、受けるか受けないかという問題ではありません。いつ受けるか、どのくらいの頻度で受けるかという視点で考えることが重要です。
2023年のFortune 500企業のCEOへの調査によると、サイバーセキュリティはCEOにとっての大きな懸念の2番目に上げられています。昨今のサイバー攻撃については、攻撃・侵入を阻止するサイバーセキュリティに加え、攻撃・侵入された場合にいかに迅速かつ正確にデータを復旧させてビジネスを継続するかというサイバーレジリエンスが重要となっています。サイバーレジリエンスはストレージを抜きにして語ることはできません。
信頼性が高く、迅速なデータ復旧のためには、改変されないスナップショットを作成しておくことが重要です。これが復元できれば問題ないというスナップショットを準備しておくということです。そしてこの復旧を迅速に行うためには、サイバー攻撃を受けたことをいかに短時間で察知するかがカギとなります。これを行うのがサイバー検出機能です。この機能には2つの目的があります。まず、データ保護に役立つ早期警告システムとして機能します。データセンター全体のセキュリティソフトウェアと連携して、何が検出され、それがサイバーセキュリティ上どういう意味を持つのかが明らかになります。
2つ目の目的は、サイバー攻撃発生後に、既知の良好なデータのコピーに迅速にアクセスするというものです。復旧させたデータにマルウェアやランサムウェアが隠れていると元も子もありませんので、クリーンなコピーを用意しておくことが非常に重要です。
マルウェアやランサムウェアは検出が非常に困難なため、プライマリストレージとセカンダリストレージのデータをスキャンして破損がないことを確認してからデータを復旧するには、機械学習を活用したサイバー検出機能が必要です。マルウェアやランサムウェアを特定して一掃する最も効果的な方法は、サイバー検出機能をプライマリストレージシステムに組み込むことです。
3. 環境への影響は無視できません
IT責任者は、データセンターのアレイそのものや冷却のための電力消費の増大と環境への影響に配慮することが求められています。ストレージアレイやサーバーを含むデータセンターの電源コストは、エネルギー価格の上昇の影響で上昇する一方です。International Energy Agency(IEA)が2024年1月に発行したレポートによると、世界のデータセンターの電力消費量は2022年には年間460 TWhだったものが、2026年には年間650TWhから最大で1,050 TWhに上昇するとしています。
この環境課題への対策で検討したいことは、最新型のエンタープライズストレージシステムへの乗り換えです。世代を経て、ストレージアレイは低消費電力化が進むと同時に大容量化が図られているため、より大きな容量のデータを、より小さなスペースに保管することができるようになっています。より少ない台数のストレージアレイでの運用は、管理のための人的リソースも縮小でき、電力、スペース、人件費という3つのコスト要因を縮小できることになります。
より効率的で環境に優しいストレージを利用すれば、環境への影響を軽減できます。廃棄するハードウェアが減り、二酸化炭素排出量が減ります。経済的にも生態学的にも、意義ある選択といえるでしょう。
4. ストレージ運用にもAIが活用できます
エンタープライズストレージにおけるAIOps(IT運用のための人工知能)は、IT運用の簡素化、管理オーバーヘッドの削減、データストレージインフラストラクチャへの予測機能の追加などの重要なメリットをもたらします。エンタープライズストレージがプラットフォームとして捉えられ始めている昨今、その重要性は高まっています。
AIOpsは、スケーラブルなマルチペタバイトのSTaaS(ストレージアズアサービス)をサポートし、企業が運用を一元化し、コスト管理を改善できるようにします。AIOps活用の利点は、容量とワークロードの柔軟性がはるかに適切に管理できることです。
それが「AIOps」と呼ばれるものかどうかは別にして、企業は、高度な予測分析、問題の早期検出、プロアクティブなサポートといった最先端のITソリューションを求めており、これらはSTaaSに不可欠な要素です。このSTaaSエクスペリエンスは、ストレージ導入のライフサイクル全体にわたって、企業の要件と経済性に合わせて調整されるものでなければなりません。
AIOpsは、多層化されたテクノロジープラットフォームの上で、自律的な自動化と分析、さらに何らかの形の人工知能(機械学習やディープラーニング)を組み合わせるアプローチなのです。
5. 保証は重要な要素です
ストレージアレイを導入すれば、もれなく保証がついてきます。そこで最も重要なことは、その保証が有効なものかどうかです。その保証は裏付けられていますか? 包括的なものですか? SLAに照らして満足いく結果が出ていない場合、ユーザーであるあなたに利するものになっているでしょうか?
当社の話で恐縮ですが、Infinidatでは、サイバーストレージレジリエンスとリカバリ、パフォーマンス、100%の可用性を保証しています。可用性のみ、パフォーマンスのみを保証しているベンダーもあるでしょうし、サイバーレジリエンスもバックアップのみの保証で、プライマリストレージは保証外というベンダーもあります。確認が必要です。
保証を疑ってかかれということではありませんが、それぞれの保証内容がどの程度包括的で、どの程度の実効性があるかを知るために、きちんと分析することが大事です。
BtoCの業界でも保証は当たり前に付いてきます。新車購入の際の保証では、たとえばエンジンが壊れたら無料で修理してもらえます。新車を買って6か月後にエンジンが故障したら、自動車会社はエンジンを交換するか車両そのものを交換してくれるでしょう。当然のことです。
同様に、エンタープライズストレージにおける保証は、基本的に、発生する可能性のある予期しない問題を解決するために、ベンダーが可能な限りの対処を行うというものです。この保証の姿勢は、顧客中心の考え方に基づいています。ただし、すべてが同じということではありませんので、その有効性には差異があるでしょう。
これから企業のIT責任者は、保証されたSLAをますます期待するようになるでしょう。とくにサイバーセキュリティに関連するものに保証を付与するということは、ベンダーがそのシステムに、非常に高いレベルの信頼を置いていることを意味します。
6. OSは単一か複数か
単一ベンダーのポートフォリオ内とはいえ、複数のストレージ用オペレーティングシステム(OS)を使わねばならなくなると、複雑さが高まり、IT運用コストが増大します。プライマリストレージ、セカンダリストレージ、ハイブリッドマルチクラウド環境など、ストレージシステム全体で単一のOSを使用する方がよいでしょう。単一のOSの互換性、効率性、シンプルさによって、ストレージ管理者の業務はより快適なものとなるでしょう。
顧客もチャネルパートナーも、それぞれに独自の要件、手順、インターフェイスを持つ複数のOSを扱う必要はありません。ストレージインフラストラクチャを管理し、活用するのは、ビジネス上の利益を生み出すためです。市場にあるすべてのストレージオペレーティングシステムを自在に扱える達人になることが目的ではありません。そのために時間を費やす必要はないのです。
企業としてオンプレミスで行くか、ハイブリッドクラウドを選ぶかに関係なく、たったひとつのOSを操作するだけで済むようにすれば学習効果が最大化され、全体的なエクスペリエンスの向上につながるでしょう。
以上、大きな業界全体の動きからストレージアレイのスペックまで、アップグレード検討時に配慮いただきたい要素をご紹介しました。ご参考となれば幸いです。
以上
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