国内初!大阪けいさつ病院、手術支援ロボット「ダビンチSP」を用いた縦隔鏡下食道がん手術を成功
国内初の低侵襲食道がん手術を実現し、患者さんの負担軽減と早期回復に期待
令和7年11月26日(水)、当院は手術支援ロボット「ダビンチSP」を用いた縦隔鏡下食道がん手術を、消化器外科 主任部長 大森 健の執刀により、国内で初めて*実施しました。
*当院調べ
本術式は、頸部に約2.5cm、腹部に1か所の小切開のみで行う低侵襲手術であり、胸部を大きく切開する必要がありません。胸部無切開で行えることから、従来法と比較して術後の疼痛や呼吸機能への負担を軽減でき、早期回復が期待されます。
さらに、「ダビンチSP」の細径アームによる高精度な操作により、従来は高度な技術を要した縦隔内の複雑な操作を正確に行うことが可能となり、患者さんにとって、より安全性の高い手術の実現に寄与します。
本症例では、術後の嗄声(声がかれる症状)や反回神経麻痺、誤嚥性肺炎は認められず、術後の痛みも軽度で、術後1週間で痛みは消失しました。また、術後13日目に退院されています。


当院の「先端ロボット手術センター」では、既存の「ダビンチXi」、今回使用した「ダビンチSP」、ならびに7月に導入した最新モデル「ダビンチ5」、良性疾患にも適応可能な「Senhance」、人工膝関節手術用の「Mako System」の計5台の手術支援ロボットを稼働させ、幅広い疾患・症例に対応したロボット手術を推進しています。
今後も症例を重ねることで手技の標準化と安全性のさらなる向上を図り、術後合併症の低減や早期社会復帰を支援し、患者さんの生活の質向上に貢献してまいります。
今回の手術が「国内初」となる理由
単孔式用・手術支援ロボット「ダビンチSP」を用いて、縦隔鏡下で食道がん手術を実施した点が国内で初めてとなります(当院調べ)。単孔型ロボットであるダビンチSPの特性を生かし、縦隔という狭く複雑な領域での手術を実現しました。
従来の食道がん手術との違い
従来は胸部を切開する必要がありましたが、本手術では頸部約2.5cmと腹部1か所の小切開のみで行うことができ、胸部への切開は不要です。そのため、術後の痛みや呼吸機能への負担が軽減され、回復が早いことが期待されます。
患者さんにとってのメリット
低侵襲であることにより、術後の疼痛が少なく、呼吸機能への影響も抑えられます。また、嗄声や反回神経麻痺、誤嚥性肺炎といった合併症のリスク低減も期待され、早期の社会復帰につながる可能性があります。
安全性の評価について
本症例では、術後の嗄声や反回神経麻痺、誤嚥性肺炎は認められず、術後の痛みも軽度で、術後1週間で消失しました。今後も症例を重ねながら、安全性の検証と手技の標準化を進めていきます。
適応について
現時点では、がんの進行度や患者さんの全身状態などを総合的に判断し、適応を慎重に選んでいます。すべての患者さんに適応できるわけではありませんが、今後の検討により適応拡大の可能性もあります。
保険診療の取り扱いについて
保険適用の範囲や取り扱いについては、術式や使用機器、診療報酬上の位置づけに基づいて判断されます。詳細については、個々の症例ごとに説明を行っています。
当院でこの手術が可能だった理由
当院では、複数の手術支援ロボットを活用した高度なロボット手術を日常診療として行っており、専門的な経験とチーム体制を有しています。その基盤があったからこそ、新しい術式への安全な挑戦が可能となりました。
今後の発展について
症例を蓄積しながら手技を標準化し、安全性と再現性を高めていくことが重要だと考えています。将来的には、より多くの患者さんに低侵襲な選択肢を提供できるようになることを目指しています。
執刀医 大森 健 主任部長から患者さんへのメッセージ

当院では、根治性と安全性を両立させた治療を目指し、低侵襲手術の開発と実装に取り組んでいます。今後も患者さん一人ひとりにとって最適な治療を提供できるよう努めてまいります。
■お問い合わせ
社会医療法人大阪国際メディカル&サイエンスセンター
大阪けいさつ病院 経営企画課
住所:大阪市天王寺区烏ヶ辻2-6-40
電話番号:06-6771-6051(代表)
すべての画像
