3月8日は、「エスカレーターの日」 【エスカレーターの安全利用に関する調査】 文京学院大学経営学部の学生が独自に考案したビジュアルデザインで2年に渡りエスカレーターの安全利用を啓発
~7割以上が「エスカレーターの片側空けは常識」と誤認していることが判明~
【エスカレーターの安全利用に関する調査】
文京学院大学経営学部の学生が独自に考案したビジュアルデザインで
2年に渡りエスカレーターの安全利用を啓発
~7割以上が「エスカレーターの片側空けは常識」と誤認していることが判明~
調査概要とWEBアンケート調査結果
昨今エスカレーター事故が増加傾向にある点が問題視され、エスカレーターの安全利用を啓発するキャンペーンが各地で実施されています。エスカレーターの安全基準は、全ての人が立ち止まり、両側に並んで乗るように設計されているといいます。一方で、実際に事故に繋がり得るような「手すりにつかまらない」、「ステップを歩行する」といった、安全基準に反した利用方法が横行しているのが現状です。
新田ゼミでは、2017年度・2018年度の2年にわたり、エスカレーターを誰もが安心して利用できるようにするための啓発活動を行ってきました。学生によるWEBアンケート事前調査では、85%の人が「エスカレーターに乗る際、片側を空けている」、81%の人が「エスカレーターを歩行している」と回答しています。そして73%もの人が「エスカレーター利用において、片側空けは常識だと思う」としており、その理由として一番多く挙げられたのは「ルール違反と感じるから」というものでした。このようなアンケート調査結果をうけ、「不自由を感じている人のために根付いた習慣を変え、どちらにでも立ち止まれる社会をめざす」という目的のもと、ビジュアルデザインで解決する取り組みを実施しました。
2017年度の取り組みとしては、「思わずつかまりたくなる」手すりデザインを80以上考案し、228社以上の企業や商業施設にデザインの導入を働きかけました。その結果、約2週間にわたり学生が考案した「思わずつかまりたくなる」手すりデザインを、JR目黒駅に直結する「アトレ目黒1」に施工が決定、利用者に対してアンケート調査を実施する他、手すりにつかまる人が増えたかなど利用者の行動変化について観察しました。
2018年度の取り組みとしては、エスカレーターに乗る瞬間に多くの人が目にする“ステップ”と“ライザー”に着目し、デザインを施すことを決定しました。昨年度と同じく「アトレ目黒1」にて「自然と立ち止まりたくなる」デザインを施工し、利用者に対するアンケート調査と、利用者の行動変容について観察しました
2017年度「思わずつかまりたくなる」デザインの調査結果について
新田ゼミ生がWEB上で行った調査では、エスカレーターの歩行率は81%に上り、また「エスカレーター内の歩行についてどう感じるか」というWEBアンケート(*1)には「マナー違反だと思う」と回答したのはわずか11%でした。
2017年度は事前調査結果を踏まえて、具体的かつ臨場感を持って出来事・全体をイメージで伝えることができ、記憶に残りやすくする心理的作用のひとつである“オノマトペ”を利用した「思わずつかまりたくなる」デザインを考案し、設置しました。手すりデザイン導入期間中には、手すり利用者は7.5%増、歩行者は10%減という実績を出すことができ、学生が実施したアンケート調査では「このデザインを見て手すりにつかまりたいと思うか」という質問に対し、約80%の人が「つかまりたいと思う」と回答しました。
2018年度「自然と立ち止まりたくなる」デザインについて
2018年度は、2017年度のプロジェクトで残された歩行抑制、両側乗りという課題を解決するために「エスカレーターに乗る瞬間見る部位」の独自アンケート調査を実施しました。ステップとライザー部分への視認率が81%という結果をうけ、今回は「自然と立ち止まりたくなる」デザインをステップとライザー部分に施しました。デザインを導入した結果、歩行者数は1.6%減という結果を得ることができました。実際に利用した方からは「目立っていい、ここは歩いてはいけない施設だと分かった」といった声や、「世界共通でわかる足跡型がデザインで施されていてよい、外国人にも伝わりやすい」という意見をいただきました。
総括
新田ゼミでは2年間にわたりエスカレーターの安全利用啓発を行って参りました。最初はホームに人が渋滞することで電車が遅延し遅刻するのが何とかならないかという素朴な課題からこの研究は始まりました。調査を進める中で片側空けの「片側乗車」は私たち自身が作ったルールであり、それが「当たり前」と思っていますが、そのことにより輸送効率の低下だけではなく、歩行による事故や障害により右側もしくは左側にしか乗れない人、手を繋いで乗りたい親子連れなど片側乗車により不便を強いられている人たちの存在に、気づかされました。
新田ゼミは文京学院大学経営学部の中で、消費者行動を研究するゼミです。多くの人の「当たり前」という意識を変えるにはどうしたらよいかを2年間にわたり検討し、「ビジュアルデザインの力」によって間違った常識を変えたいと挑戦してきました。2年間の調査、実験の中で簡単に常識は変わらないということを身に染みて感じた学生達ですが、自分たちの活動が「片側にしか乗れない方がいる、片側を歩くことが常識ではない、立ち止まってもいいんだ」ということの周知に繋がり、気づきに繋がったことを励みにし、今後さらに活動を発展させて参ります。(文京学院大学経営学部教授 新田都志子)
<2017年度「思わずつかまりたくなる」手すりデザイン導入実績概要>
導入期間 : 2017年10月12~31日
設置場所 : アトレ目黒(東京都品川区上大崎2-16-9)
アンケート調査期間:10月9~11日<事前調査>
10月12~19日<施行中調査>
(デザインに関する感想および評価については467人より聞き取り調査)
協 賛 : 株式会社アサイマーキングシステム
後 援 : 株式会社アトレ
<2018年度「自然と立ち止まりたくなる」デザイン導入実績概要>
導入期間 : 2018年12月1~31日
設置場所 : アトレ目黒(東京都品川区上大崎2-16-9)
アンケート調査期間:11月23~25日<事前調査>
11月30日、12月1・2・7・8・9日<施行中調査>
(デザインに関する感想および評価については482人より聞き取り調査)
協 賛 : 株式会社アサイマーキングシステム
後 援 : 株式会社アトレ
※1 新田ゼミWEBアンケート ※2 新田ゼミWEBアンケート
・期間:2017年9月14~22日 ・期間:2018年9月6~13日
・対象:10代~70代の男女(有効回答数 646名) ・対象:10代~70代の男女(有効回答数603名)
・方法:WEBアンケート(新田ゼミによる) ・方法:WEBアンケート(新田ゼミによる)
<文京学院大学について>
1924年、創立者島田依史子が島田裁縫伝習所を文京区に開設。建学の精神「自立と共生」のもと、先進的な教育環境を整備し、現在は、東京都文京区、埼玉県ふじみ野市にキャンパスを置いています。外国語学部、経営学部、人間学部、保健医療技術学部、大学院に約5,000人の学生が在籍する総合大学です。学問に加え、留学や資格取得、インターンシップなど学生の社会人基礎力を高める多彩な教育を地域と連携しながら実践しています。
【文京学院大学 概要】
学校名 : 文京学院大学
代表者 : 学長 工藤 秀機
所在地 : 本郷キャンパス 東京都文京区向丘1-19-1
ふじみ野キャンパス 埼玉県ふじみ野市亀久保1196
学 部 : 外国語学部、経営学部、人間学部、保健医療技術学部
U R L: https://www.u-bunkyo.ac.jp/
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