厳しい環境下でも、着実なキャッシュフロー:14年設立ファンドの分配が加速

Preqin社、日本ベンチャーキャピタル協会と第6回国内VCパフォーマンスベンチマーク調査結果を公開

Preqin合同会社

”The Home of Alternatives”をコンセプトに、オルタナティブ投資の包括的なデータを提供するPreqin合同会社(以下プレキン)は、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(以下JVCA)と共同で、第6回パフォーマンスベンチマーク調査結果を公開しました。

プレキンとJVCAは、機関投資家の投資対象となるファンドに限定した国内初となるベンチャーキャピタル(以下国内VC)ファンドのパフォーマンスベンチマークを2020年に発表し、以来、国内VC業界の透明性向上に向けて、継続的にベンチマークの作成・公開に取り組んでまいりました。

本調査は、純投資目的で第三者資金を運用しているファンドのみを対象とし、そのリターンをファンド設立年(ビンテージ)毎に算出しています。

第6回目となる本調査の参加企業数は62社と、ファンド数は206本となりました。昨年調査と比較して、企業数は8社、ファンド数は29本増加しました。コミットメント金額ベースでは国内VC市場全体のおよそ4分の3を占める規模感となっています。

VCにとっては厳しい環境が続く

2023年は22年に引き続き、ベンチャー/グロース市場にとって厳しい一年でした。

大型株を中心とするTOPIXや日経平均は歴史的な株高を見せた一方で、2022年末から23年末までの東証グロース市場250指数のリターンは-3.3%と、若干のマイナスに終わりました。

同期間、Preqinのベンチャーキャピタルインデックス(グローバル)は-5.5%のマイナスリターンでした。

こうした中、国内ベンチャーキャピタルのリターンは4.7%と、東証グロース市場や欧米を中心とするグローバルVC市場と比較すると底堅さを見せました。

2023年ビンテージのファンド数は14本と前年比‐30%減少、キャピタルコールは前年比‐22%減少となっており、新規の資金流入・投下は減速しつつあるものと見てとれます。

着実なキャッシュフロー

厳しい市場環境下においても、国内VCはLP投資家に着実なキャッシュフローを提供しました。

エグジット環境の悪化により、グローバルではVCファンドからLP投資家への分配総額が、2023年には約502億米ドルと2017年以来の水準まで低下しています。

一方で、国内VCファンドからの分配は総額885億円と、前年比16%の増加となりました。これは、過去10年間で3番目に高い水準となっています。

投資家に還元された資金が今年、来年のVCファンドレイズを支えていくものと期待されます。

ビンテージ別に見てみると、投資開始から10年以上が経つ2010年~2013年ビンテージは、引き続きネットマルチプルがおおよそ2倍程度と、良好なリターン水準を維持しています。

2014年ビンテージについても、分配が進むとともにネットマルチプルが2倍を超えてきました。昨年調査では98.3%であったDPIが、本調査では138.6%に大きく増加しています。

一方で、2015年~2020年のビンテージについては、分配およびマークアップともにアップサイドは限定的となっています。

公正価値評価の採用を後押し

国内VC業界では、早期のM&Aエグジットや公正価値評価を採用するファンドが少ないこともあり、実現・未実現ともにリターンの表面化が遅い傾向にあるものとみられます。

本調査を通して、公正価値評価の採用を後押しするとともに、 浸透度合いをモニタリングするため、今回のレポートでは以下2点の図表を追加ないし変更しています。

  • 図表11:参加ファンド数ならびに公正価値評価実施ファンド数の推移
    →公正価値評価を実施しているファンド数の変化が経年でご確認いただけます。 

  • 図表13:設定来ファンド運用成績トップ5(公正価値採用ファンドならびに清算済みファンドのみ)
    →パフォーマンスランキングの対象を公正価値評価を実施しているファンドまたは清算済みのファンドに絞りました。

詳細は調査結果報告書をご覧ください。

調査手法

調査対象:JVCA会員企業の2000年以降に設立されたVCファンドの内、純投資目的で第三者資金を運用するファンド

収集データ:2023年12月末時点のファンドデータ(対LPキャッシュフローやファンド純資産の時価評価額データ)


ファンド純資産の時価評価は国際基準に準拠した公正価値データを最優先とし、それが難しい場合は、国内VCの時価評価慣習に従ったデータを採用しています。
また、通常評価益を計上していないファンドは180日以内のエクイティファイナンスに利用された直近ファイナンス価額でポートフォリオを再評価しています。

※必ずしも国際基準での公正価値評価に準拠したパフォーマンス指標ではないため、本ベンチマークは国際比較には適していません。 

参加企業一覧(社名五十音順)

Archetype Ventures合同会社

大和企業投資株式会社

株式会社iSGSインベストメントワークス

千葉道場株式会社

i-nest capital株式会社

D4V合同会社

朝日メディアラボベンチャーズ株式会社

株式会社ディープコア

株式会社ANOBAKA

DIMENSION株式会社

Abies Ventures株式会社

株式会社デライト・キャピタル

ANRI株式会社

株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)

伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社

東京大学協創プラットフォーム開発株式会社

インキュベイトファンド

東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社

SBIインベストメント株式会社

DRONE FUND株式会社

株式会社MPower

日本ベンチャーキャピタル株式会社

Angel Bridge株式会社

合同会社PKSHA Technology Capital

大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社

Partners Fund

株式会社環境エネルギー投資

B Dash Ventures株式会社

株式会社キャピタルメディカベンチャーズ

Beyond Next Ventures 株式会社

QBキャピタル合同会社

株式会社ファストトラックイニシアティブ

京都大学イノベーションキャピタル株式会社

株式会社 FINOLAB

株式会社Global Hands-On VC

フェムトパートナーズ株式会社

グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社

フォースタートアップスキャピタル合同会社

XTech Ventures株式会社

株式会社basepartners

株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ

ベータ・ベンチャーキャピタル株式会社(旧株式会社ドーガン・ベータ)

Coral Capital

Bonds Investment Group株式会社

株式会社サムライインキュベート

みやこキャピタル株式会社

株式会社ジェネシア・ベンチャーズ

株式会社みらい創造機構

ジャフコ グループ株式会社

合同会社Miraise

新生キャピタルパートナーズ株式会社

株式会社mint

STATION Ai株式会社

モバイル・インターネットキャピタル株式会社

STRIVE株式会社

株式会社UB Ventures

スパークス・アセット・マネジメント株式会社

ユナイテッド株式会社

Spiral Capital株式会社

ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社

栖峰投資ワークス株式会社

ライフタイムベンチャーズ合同会社

ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

今後もベンチマークを継続的にアップデートしていくため、引き続きご協力をお願いいたします。

また、次回よりご協力いただける方がいらっしゃいましたら、担当者までご連絡ください。

担当者: 川島 翔(sho.kawashima@preqin.com)

一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)について

当協会は、2002年11月の発足以来、VC業界における相互連携とベンチャー企業育成の役割を一層強固にするという目的に向かって活動して参りました。VCおよびCVCが加盟する当協会の正会員数は291社、業界支援各社による賛助会員も含めると386社となり、直近5年で180社以上が新規加入しております。

詳細はウェブサイトをご確認下さい。 https://jvca.jp

Preqinについて

Preqinは”Home of Alternatives”をコンセプトに、オルタナティブ投資業界で最も包括的なデータ・分析・インサイトを提供しています。

綿密なデータ収集方法の開拓から革新的なプラットフォームの開発に至るまで、20年以上にわたりオルタナティブ投資への理解を深めることに尽力してきました。

クライアント企業との緊密なパートナーシップを通じて、お客さまが日々最善の意思決定を行えるよう、新たなツールやインテリジェンスの提供に継続的に取り組んでいます。

お問い合わせ・データ提供・取材のお申し込み

プレキンでは、メディアの方々向けに記事に必要なデータ等を無料でご提供しております。

ご入用の際は下記のメールアドレスまでご連絡ください。
 
 Preqin合同会社 マーケティング担当:冨岡・中谷
 メール:preqin.japan@preqin.com
 ウェブサイト:https://www.preqin.com/jp

すべての画像


ビジネスカテゴリ
経営・コンサルティング
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

URL
https://www.preqin.com/jp
業種
金融・保険業
本社所在地
東京都千代田区大手町1-2-1 大手町ワンタワー6階
電話番号
03-4580-9700
代表者名
Christoph Knaack
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年11月