フィデリティ・インターナショナル、アナリスト・サーベイ2024を発表
今年で14回目を迎える本調査は、世界中のアナリストが年2万回を超える企業とのミーティングを通じて培ったインサイトから、さまざまな地域やセクターのビジネスが今後どう変化するかの見通しを描いています。
・ 企業のコストインフレ予想で「今後低下する」が「上昇する」を逆転したのはパンデミック以来初
・ 今後12か月で大部分のセクターの事業環境は拡大サイクルに
・ 日本は売上高と利益の成長見通しが他市場を圧倒する世界経済のブライト・スポットに
フィデリティ投信株式会社(代表取締役社長: デレック・ヤング、本社:東京都港区)は、フィデリティ・インターナショナル(以下、フィデリティ)が毎年実施しているアナリスト・サーベイ¹の結果を発表しました。
過去2年間にわたり、市場では2008年以来の継続的な景気減速がどこまで深刻化するのか、懸念されてきました。しかし、フィデリティでは、企業がこの先に待つ事業環境の拡大サイクルに目を向ける条件が整いつつあり、国・地域別ではアジア、特に日本が「ブライト・スポット」になると考えています。
今年で14回目を迎える本調査は、世界中のアナリストが年20,000回を超える企業とのミーティングを通じて培ったインサイトから、さまざまな地域やセクターのビジネスが今後1年、またその先どう変化するかの見通しを描いており、毎年すべての地域とセクターを対象に実施しています。
フィデリティの債券リサーチ・グローバル責任者ギータ・バルは、「北米担当のアナリストによると、もはや誰もインフレの話はせず、ネックとなっていた賃金も急速に正常化に向かっている」と述べています。
表1: パンデミック以来初めて「企業のコストインフレが今後低下する」と回答したアナリストの割合が「上昇する」を上回る
大部分のセクターで、アナリストは2024年の事業環境の改善を見込んでいます。担当セクターが「現時点で拡大サイクルにある」と回答した割合は52%で、「向こう12カ月で拡大サイクルに入る」と予想するアナリストは61%にのぼります。
表2: 今後12カ月の企業のサイクル
しかしアナリストの回答を見ると、年が進むにつれて状況が厳しくなるであろうセクターも一部あることがわかります。北米・欧州の石油・ガスセクターを担当するアナリストは、コモディティ価格の下落をエネルギーセクターへの逆風として挙げています。また、金融セクターも金利低下の影響を受けるとみています。
表3: 今後12カ月の企業の事業環境 - 逆風にさらされ続ける
バルはさらに「世界各地で大型選挙が行われる2024年は、既存の地政学リスクをさらに高めます。しかし、差し迫ったリスクがあるにもかかわらず、経営陣とのミーティングでは2024年の見通しについて驚くほどポジティブな意見が聞かれました。一方で、エネルギーと金融セクターに関しては、コモディティ価格の下落や金利低下の影響などが、全体的なセンチメントに明らかな影響を与えています。」とコメントしています。
日本のリフレ経済から膨らむ楽観論
フィデリティで日本企業を担当するアナリストは、日本は2024年に世界経済の「ブライト・スポット」になると見込んでおり、例えば、2024年の売上高と利益の成長見通しは、他のどの国・地域よりも高くなっています。また、利益率についても、最も高く上昇することが見込まれています。
設備投資、資本利益率(ROC)、増配、消費者へのコスト転嫁能力、そして今後12カ月で事業環境が拡大するかどうかといった点に関して、日本は群を抜いています。
表4: 日本のアナリストの88%は今後12カ月で事業環境が「拡大サイクルに入る」と予想
このような明るい見通しは、1年前の調査で見られたような非常に強い警戒感とは対照的です。例えば当時、日本企業を担当するアナリストの3分の1は「経営者は2023年の利益成長を見込んでいない」と予想しており、EMEA・ラテンアメリカを除く全ての国・地域の中で最も悲観的でした。打って変わって2024年の調査では、日本の全てのアナリストが「経営者は利益成長を見込んでいる」と回答しています。
バルは次のようにコメントしています。「このような見方が多いことには明確な理由があります。日本経済が20年以上に及ぶ景気後退・停滞からようやく脱却し、幅広い分野で物価上昇の兆しが見え始めたからです。世界の多くの国にとってインフレは過去数年にわたり大きな悩みのタネでしたが、今の日本では歓迎すべきものと言えるでしょう。」
選挙を巡るリスク
差し迫ったリスクの1つは選挙です。2024年は過去に例をみないほど多くの人が投票に向かい、混乱が生じる可能性があります。しかし本調査で最も印象的だった結果の1つは、65%のアナリストが「企業は選挙について全く話をしていない」と回答したことでした。選挙を巡るリスクについては企業間でも意見が分かれていますが、多くは特定のセクターにおける特定のシナリオに集約されます。「地政学リスクの高まりが投資計画に影響を及ぼしている」と回答したアナリストはわずか28%で、2017年に同様の質問をし始めて以降で最も低い水準となりました。
表5: 投資計画に対するネガティブな影響は一部にとどまる
バルは今後について次のようにコメントしています。「ゼロ金利時代の終焉には当然緊張を伴う事が予想されていました。実際、需要が低迷し、コスト増を価格に転嫁できない状況に陥るなか、企業は引き締めを強化しています。しかし、今年の本調査を見る限り、これまでのシステムはリセットされ、多くの企業が次に向かうサイクルは「減速・後退」よりも「拡大」である、という明確なサインが表れています。」
本調査に関して、詳しくは以下リンク先をご覧ください。
日本語レポート: アナリスト・サーベイ 2024 Ready for a reset (fidelity.co.jp)
原文(英語)レポート: Analyst Survey 2024: Ready for a reset (fidelityinternational.com)
以上
注記: ¹フィデリティ・アナリスト・サーベイは2023年12月に実施し、137名のアナリストから回答を得ました。
お問い合わせ フィデリティ投信株式会社 コーポレート・コミュニケーションズ TEL: 03-4560-6130 E-mail: FIL-JapanPR@fil.com |
■ フィデリティ投信について フィデリティ投信株式会社は、独立系資産運用グループのフィデリティ・インターナショナルの一員として、投資信託および、企業年金や機関投資家向け運用商品やサービスを提供する資産運用会社です。1969年に外資系運用会社として初めて本邦に拠点を設け、日本企業の調査を開始。1990年より日本の年金向け運用業務に参入、1995年に証券投資信託委託業務免許を取得し、同年12月に最初の国内投資信託を設定しました。公募投資信託の純資産残高は約3兆5,970億円で、外資系運用会社では首位となります。(2023年3月末日現在) |
■ フィデリティ・インターナショナルについて フィデリティ・インターナショナルは、世界で250万以上のお客様に投資に関するソリューション・サービス、退職関連の専門的知見を提供しています。創立以来50年超、非上場で、世界で25を超える拠点で事業を展開。運用管理総資産額は約97.0兆円(7,286億ドル)に上ります。顧客は、中央銀行、政府系ファンド、大手企業、金融機関、保険会社、資産管理会社から個人まで多岐にわたります。 運用総資産額(AUM)は、資産運用ソリューション・サービス事業と合わせて約69.9兆円(5,249億ドル)にのぼります。資産運用の専門知識と、私達独自のソリューションを組み合わせることで、より良い金融サービスの提供を目指しています。また職域および個人向け金融サービス事業では、個人、アドバイザー、経営者に世界トップクラスのさまざまな金融商品、サービスツール、管理サービスや年金関連のガイダンスを提供しています。(2023年 3 月末日現在。為替レートは133.090円で算出)
当社は1946年米国ボストンで創業された「フィデリティ・インベスメンツ」の国際投資部門として1969年に設立しました。1980年に米国の組織から独立し、現在は経営陣と創業家が主要株主となっています。詳細については、https://fidelityinternational.com をご覧ください。 |
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フィデリティ投信株式会社 金融商品取引業者 登録番号:関東財務局長(金商)第388号 加入協会:一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会 |
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