マイクロ波加熱を用いた省エネ・CO2削減精製技術によりベリリウム鉱石の溶解に成功
― 汎用性の高い精製法として社会実装により、核融合発電の実現を加速 ―
リチウム鉱山で採鉱し選別された実際のリチウム鉱石であるスポジュミン精鉱の溶解成功(令和4年7月13日共同プレス発表:https://mwcc.jp/news/1493/)に続き、この度、より溶解が困難なベリリウムの実鉱石ベリルを溶解することに成功しましたのでご報告いたします。
従来、レアメタルの一つであるベリリウムの精製には、2,000℃もの高温で鉱石を溶融し、その後急冷して、より溶解しやすいガラス構造に変化させるガラス化処理と、そのガラスを250℃以上の濃硫酸で加熱溶解処理(焙焼処理)する2段階の加熱処理が必要でした。
量研では、化学処理とマイクロ波加熱を組み合わせた「アルカリ・マイクロ波溶融技術」について、0.2グラムのベリリウム結晶単体を使用し、机上試験規模での原理実証に成功しておりました。(令和3年5月27日プレス発表:https://www.qst.go.jp/site/press/20210527.html)。
今回、同技術について、100グラム規模の処理の可能なMWCC製のマイクロ波ベンチ装置を用いて、ベリリウムの実鉱石の溶解試験に適用し、その技術実証を試みました。その結果、塩基試薬による常圧下での300℃のマイクロ波加熱処理、及び常圧・室温下での酸溶解により、全溶解させ、溶解のための従来の2段階の加熱処理を1段階のみにできることを実証しました。これにより、実プラント設計に資するスケールアップ実証段階へと移行しました。
また、従来技術による鉱石の精製においては、鉱石ごとの反応処理機構が異なることから種類に応じて別々の溶解施設が必要でした。今回、リチウム実鉱石の溶解に成功したものと同じベンチ規模(実験室規模)装置、かつ同じ条件にて、ベリリウム実鉱石の溶解に成功したことによって、同一の溶解設備で異なる鉱石の溶解処理が可能で、さらに、複数の鉱石の一括処理もできる可能性が明らかになりました。
量研とMWCCは、この省エネ・CO2排出抑制に向けた新たな精製技術をプラットフォーム技術として標準化し、社会実装を通してカーボンニュートラルの実現とともに、核融合発電に不可欠なベリリウム及びリチウムを含め、日本の産業を支えている鉱物資源の安定確保、並びに経済発展に資するものです。
なお、MWCCの業績に与える影響は軽微です。
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