株式会社スーパーワーム、ゲノム編集によるミルワームの脂質蓄積量増加に成功
― 次世代バイオ燃料昆虫の実現に向けた第一歩 ―
概要
株式会社スーパーワーム(本社:宮崎県西都市、代表取締役:古賀勇太朗、以下「スーパーワーム社」)は、ミルワーム(Tenebrio molitor)における脂質代謝関連遺伝子の機能制御を通じて、体内の油分率を有意に増加させることに成功しました。
本成果は、廃棄バイオマスを起点とした昆虫由来燃料の産業化に向けた重要なマイルストーンであり、今後のゲノム編集による高脂質系統の確立へとつながる基盤技術となります。

研究の背景と目的
世界的な脱炭素化の潮流の中で、廃棄物を活用した次世代エネルギー資源の開発が急務となっています。スーパーワーム社は、昆虫がもつ高い有機物分解能と脂質生産能力に着目し、ミルワームを用いた昆虫由来バイオ燃料(Insect-based Fuel)の研究開発を推進しています。本研究では、その中核となる「脂質蓄積量の制御メカニズム」を解明することを目的としました。
研究成果の概要
複数の脂質代謝関連遺伝子を候補として選定し、RNA干渉(RNAi)法によって各遺伝子の発現を一時的に抑制する実験を実施しました。その結果、特定の1遺伝子を抑制した個体群において、以下のような顕著な変化が確認されました。
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体脂質含有率:1.24倍に上昇(p=0.0295, n=12)
この結果から示されるように、脂質蓄積を制御する新たな分子ターゲットの同定に成功しました。
今後の展開
現在スーパーワーム社では、この遺伝子の機能を恒常的に抑制するため、CRISPR技術によるノックアウト(KO)系統の樹立を進めています。
すでに初期段階として、視覚マーカー遺伝子(目の色変化)を導入した変異体作出に成功しており、変異体の維持・増殖フェーズに移行しています。
今後は、高脂質固定系統(High-Lipid Line)の確立を目指し、油分率の高い個体群の選抜・評価を進めるとともに、産業スケールでの高効率油脂生産技術の確立に取り組みます。
研究意義と今後の展望
本成果は、昆虫を活用した炭素循環型エネルギーシステムの実現に向けた重要なステップです。
昆虫を用いることで、以下のような持続可能なエネルギー生産を可能にします。
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廃棄物を起点とした低コストな原料供給
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高エネルギー密度の脂質生産
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温室効果ガス排出を抑えた製造プロセス
スーパーワーム社は今後も、遺伝子工学・養殖工学・化学工学の融合による技術開発を通じ、昆虫資源のエネルギー転換効率を最大化し、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
株式会社スーパーワームについて
スーパーワーム社は、「虫からエネルギーをつくる」をテーマに、昆虫を活用したサステナブル燃料(SAF/BDF)生産技術の研究開発を行うディープテック企業です。
廃棄バイオマスを原料とした高密度タンク養殖システムと独自の油脂抽出・精製プロセスにより、昆虫由来バイオ燃料の社会実装を目指しています。
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社名:株式会社スーパーワーム
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所在地:宮崎県西都市
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代表取締役:古賀勇太朗
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事業内容:昆虫由来燃料・飼育・油脂精製技術の研究開発
本件に関するお問い合わせ先
株式会社スーパーワーム
E-mail:info@superworm.jp
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