待合室での結核感染を防ぐため、アフリカ・ザンビアの病院でN95マスクを導入
―感染対策を進化させる会社モレーンコーポレーションより寄贈
認定NPO法人ロシナンテス(所在地:福岡県北九州市、 理事長:川原尚行)は、結核の感染拡大が懸念される病院の待合室で活用するため、株式会社モレーンコーポレーションよりN95マスク960枚の寄贈を受けたことをお知らせします。

ロシナンテスはアフリカ・ザンビアの複数の医療施設で、ポータブルX線装置を使った患者の早期発見を目指す事業を行っています。本事業の成果として、X線検査を受けるために結核の疑いで医療施設を訪れる患者数が増加しました。しかし施設内のスペースの問題から一般外来の待合室で待機するケースもあり、他の疾患で来院した患者への感染リスクが懸念されていました。施設によっては空気の通りが悪い患者待合室もあり、また停電時には扇風機などの使用も制限されるため、換気が不十分になり感染リスクが高まります。
こうした懸念について施設と議論し、患者待合室の環境改善については地域の保健局と施設が主導して行うことで合意しました。ロシナンテスでは、改善が行われるまでの感染拡大防止対策として、待合室でのN95のマスクの配布を検討しています。現地の人々にとって使用しやすいものであるか、感染対策として有用かの実証確認にあたり、感染対策にご知見をお持ちの株式会社モレーンコーポレーション様よりマスクをご寄贈いただけることになりました。
医療施設での試験導入の様子
2025年2月、現地の医療施設でマイクのテスト導入を行いました。簡単にサイズを調整できる本マスクは「使いやすい」と現地スタッフにも好評でした。

現地の人々にとっても利用に抵抗がないことが確認できたため、2025年4月より、中央州にあるリテタ郡病院の結核診療所での利用を開始します。所属する準医師、看護師、結核ボランティアを通して、施設に来院する結核疑い患者や感染リスクが特に高い小児、高齢者、妊婦さんを中心に配布する予定です。

寄贈製品
-
製品名:CE certified FFP2 レスピレーター
-
概要:アジア人800人の顔面を3Dスキャンし、できるだけ多くの人にフィットするように設計されたレスピレーター
-
難燃性レベル:クラス1
-
液体防御性能:160mm Hg(ASTM F1862 / ISO 22609準拠)
-
寄贈枚数:960枚

株式会社モレーンコーポレーション
代表 草場恒樹様コメント
この度はザンビアの患者さん、そして医療従事者の方々に、弊社のN95マスクをお届けできたことをスタッフ一同、とても喜んでいます。結核という空気感染も正しい知識と適切なマスクがあれば、そのリスクを最小にすることができると考えます。医療施設に来院される患者さんや妊婦さんが少しでも安心して医療を受けられる環境づくりに貢献できればこんな嬉しいことはありません。現地で尽力されているロシナンテスの皆さまの活動を心から応援しています!
認定NPO法人ロシナンテス
結核事業担当 佐藤良コメント
ロシナンテスの事業地であるザンビアの村落部では、マスクを販売している薬局や店舗が少なく、人々は病院や診療所でマスクを受け取り使用するのが一般的です。しかし、結核が疑われる患者はまだ確定診断を受けていないため、マスクをせずに来院するケースが多く見られます。施設によっては患者待合室の換気が良くないため、他の患者さんや妊婦さんたちへの感染リスクが高い状況となっていました。 結核患者を減らす取り組みで感染が拡大してしまう事態を避けるため、対策が急務であったところ、株式会社モレーンコーポレーション様からマスクをご提供いただけることになりました。感染リスクの低減に効果のあるN95マスクを用いて、施設内での感染防止策を実施できることを大変ありがたく思っております。
ザンビアでは未だ深刻な感染症
現在の日本では大きく話題にならない結核は、ザンビアでは未だに深刻な感染症の1つです。年間約5.9万人もの人々が感染し、発症者数は今も大きく減少していません。ザンビアでは、結核は男性の死因ランキングで6位、女性では7位となり、死亡原因としても主要なものとなっています。この高い感染率は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者が多いことも一因です。HIV感染者は結核にかかりやすくなるため、両者の重複感染が頻発しているのです。
2021年には、ザンビアの新規結核感染者の34%がHIV感染者であるというデータも明らかになっています。しかし、結核に感染しても、早期の発見と治療開始、薬の適切な服用により、8~9割の患者が完治へ向かうことがザンビアでも確認されています。
結核の早期発見を目指して
結核の早期発見には、X線装置で行う胸部X線検査が重要です。しかしロシナンテスが活動する中央州では、都市部の主要な医療施設にのみX線装置が配置され、村落部の医療施設が実施する喀痰検査・尿検査のみでは結核患者の見落としが生じていました。結果として受診が遅れ、症状が悪化するケースが見受けられています。ザンビア政府のデータにおいても、年間約1.9万人の結核患者が見逃されていると報告されています。
X線検査への医療アクセスを改善するために、ロシナンテスは富士フイルム株式会社の協力を得て、同社のポータブルX線撮影装置を導入するプロジェクトを実施しています。本事業によって、従来の検査体制では見逃されていた結核患者を発見できるようになってきました。
▼結核事業による成果はこちら
https://www.rocinantes.org/blog/5364/
株式会社モレーンコーポレーションとは
「感染で苦しむ人を1人でも多く救う」をミッションに掲げ、医療における院内感染対策のパイオニアとして常に新しい製品とサービスを提案する。医療関連感染(院内感染)を専門に製品開発、コンサルティング、セールスを行いながら、感染対策を軸に病院だけでなく、福祉施設や、在宅ケア、食品業界や一般企業、学校や幼稚園、一般家庭にまで活躍の場を広げている。
ロシナンテスとは
内戦中のスーダンに外務省医務官として赴任した川原尚行が、外務省を辞して2006年に立ち上げた国際NGO。病院が無いなどの理由で必要な保健医療が受けられない地域に、医療が届く仕組みを整備することで、誰もが健やかに生きることができる環境を作ることを目指して活動する。アフリカのスーダン・ザンビアを中心に、巡回診療や診療所建設、給水所建設などを実施している。
団体概要
-
団体名 :認定NPO法人ロシナンテス
-
代表者 :理事長 川原尚行
-
所在地 :〒802-0082 福岡県北九州市小倉北区古船場町1番35号
-
設立 :2006年5月1日
-
ウェブサイト :https://www.rocinantes.org/
お問い合わせ
認定NPO法人ロシナンテス
お問い合わせフォーム:https://www.rocinantes.org/contact/
TEL: 093-521-6470
(電話受付:平日10:00-17:00)
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像