【eラーニング研修実態調査】社員の約半数が効果を感じていない！？
カギは 「実践的」「個別最適」「フィードバック」
■調査背景
近年、人的資本を開示する企業の増加やDX・リスキリング推進の流れが顕著になる中、優秀な人材、多様な人材が活躍する組織づくり、業績向上に繋がるスキルや技術の取得支援など、人材育成施策の重要度が増しています。
スキル獲得を軸とした人材育成を支援するリンクアカデミーでは、具体的な人材育成の手段として、働き方の多様化に合わせて増加している『eラーニングによる人材育成』について、「効果があるのか」「社員は能動的に学習に取り組めるのか」など多くの問合せをいただいています。そのため、法人向けにスキル獲得を軸とした人材育成を支援している弊社が実態調査（人材育成の活用度・効果・人事と社員の意識ギャップなど）を実施いたしました。
■調査結果サマリー
【eラーニングの効果実感】
人事の約7割がeラーニングの効果を実感。人事は効果的と"思いたい"？
社員の約6割が効果が無い・分からないと回答。
【eラーニングの効果が無かったと思う理由】
人事、社員ともにコンテンツ実践力に課題を実感。
「当人の意欲」と「意欲を起こさせる仕組み」が原因か。
【eラーニングの活用状況】
人事部の半数以上が70%以上視聴していると認識。
一方で社員の半数以上は50%以下ないしは分からないと回答。
育成進捗の社内周知や強制力が課題に。
【eラーニングの受講が進まない要因】
人事、社員ともに「時間がない」「モチベーションが湧かない」が上位に。
コンテンツ内容が期待や価値観に合致していない可能性も。
＜eラーニングの効果を感じているか？＞
「実際に（eラーニング）に効果があったか？」という質問に対し、受講側社員の56.6%は「効果が無い・分からない」と回答。「とても効果があった」という回答は僅か8.2%に留まります。
注目すべきは、人事部の視点から「とても効果があった」と回答したのは19.2%で、人事部と受講側社員の間に約2倍の乖離がある点です。このことから、効果を実感している社員は非常に少ない一方で、人事部は効果があったと"思いたい"といった様子がうかがえます。
＜eラーニングの効果が無かったと思う理由は何か？＞
「効果がなかった理由は何ですか？（複数選択可）」と質問したところ、人事部、社員ともに「業務に対して実践的ではない」が上位になったことから、提供される学習コンテンツが画一的な内容で実務に直結しておらず、効果的に活用されていないことが示唆されました。
また、「学習コンテンツが自分に合っていない」「フィードバックがない」という回答項目に、人事部と社員の間にギャップが見られました。
「当人の意欲」が原因と思っている人事部に対し、社員は「意欲を起こさせる仕組み」に原因があると思っていることがわかります。
学習する社員のやる気と行動を引き起こすためには、学習者の職務・レベルに合った研修プランや、努力を定性的・定量的に可視化できる仕組みが不可欠といえるでしょう。
＜eラーニングの活用状況＞
そもそも受講者のうち、導入企業が事前に想定するコンテンツ量を視聴している人はどれくらいいるのでしょうか。
そこで、「受講対象者のうち、想定しているコンテンツ量を視聴している人は何％いますか？」と質問したところ、人事部と社員で以下のような回答結果になりました。
【人事部】
・「90％（15.3％）」
・「70％（39.9％）」
・「50％（30.3％）」
・「30％（7.8％）」
・「10％（2.2％）」
・「分からない（4.5％）」
【社員】
・「90％（25.0％）」
・「70％（20.3％）」
・「50％（15.8％）」
・「30％（8.2％）」
・「10％（2.7％）」
・「分からない（27.9％）」
人事部、社員ともに約半数の方が「想定しているコンテンツ量を視聴している人は、50％未満（分からないも含む）」であると感じているようです。
また、社員については「分からない」と回答した方が27.9％おり、育成進捗についての社内周知や強制力には課題がある様子がうかがえます。
＜eラーニングの受講が進まない要因＞
では、受講率が低い理由は何なのでしょうか。
「受講率が低い（半分に満たない）のはなぜだと思いますか？（複数選択可）」と質問したところ、人事部、社員ともに「受講する時間がない」「受講するモチベーションが湧かない」という回答が上位になりました。
3番目に多かった回答は、人事部が「内容が希望と違う（26.6％）」と回答したのに対し、社員は「価値・意義を感じない（18.9％）」と回答し、上位2つと合わせて受講までの動機づけが弱いことが明らかになりました。
また受講率が低い主な原因として、時間不足やモチベーションの欠如に加え、提供されるコンテンツが、受講者である社員の期待や価値観に合致していないことが大きく影響しているといえます。
＜まとめ＞
eラーニングでの人材育成は受講者である社員の学習意志、モチベーションを継続しなければ、十分な効果を発揮することが難しいことがわかりました。
一方で学習意識の低さについては、人事部は受講する社員に問題があると感じているが、社員は受講コンテンツに問題があると感じているというギャップがあることがわかりました。
すなわち、人事部は「学習環境を用意しているので、個人の自主性で学習を進められる」と考えているが、受講する社員は「環境があったとしても、コンテンツが自身の業務に結びつかない」と感じ、人事部の思い描いたような結果になっていない、という事実があります。
また、そもそもeラーニングでの学習自体、受講社員の50％以上が人事部が求めている基準をクリアできていない、ないしは分からないという結果となりました。
業務で多忙な中、社員の自主性に任せた学習スタイルでは、真に従業員のスキルアップへの意識を喚起し従業員の支援ができているとは言い難いのかもしれません。
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調査概要：「人材育成」に関する調査
【調査期間】2024年5月10日（金）～2024年5月11日（土）
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供するPRIZMA（https://www.prizma-link.com/press）によるインターネット調査
【調査人数】1,023人（①511人／②512人）
【調査対象】調査回答時に①eラーニングを導入している企業の人事担当者／②社員であると回答したモニター
【調査元】株式会社リンクアカデミー（https://www.link-academy.co.jp/）
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
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