前払式支払手段と交換可能なデジタルポイントを労働者へ付与する実証に係る新技術等実証計画の取組み結果のご報告
■取組結果に関する最終報告内容
当社は、デジタル社員証などの特許申請等を通じて従業員のチームワークをデジタル技術でサポートすることに取り組んできました。また、前払式支払手段を用いた規制官庁の認定を受けた初めての実証実験として、労働者の便益に資する取組みを行って参りました。こうした取組みを通じて、当社しか得られない実績結果、支払履歴等の情報等のデータをまとめ、その上で、福利厚生サービスの利用率やデジタル決済の利便性、参加企業への評価などについて、当該企業の従業員にアンケートを実施し、その分析結果について実証実験レポートに取りまとめ 2023 年 7 月 19 日に中間報告をさせていただいているところでございます。今回の最終報告内容は、従業員の意識の変化について、最終的なレポートとして取りまとめ報告させていただくものです。
■「新技術等実証制度」(規制のサンドボックス制度)とは
規制のサンドボックス制度とは、IoT、ブロックチェーン、ロボット等の新たな技術の実用化や、プラットフォーマー型ビジネス、シェアリングエコノミーなどの新たなビジネスモデルの実施が、現行規制との関係で困難である場合に、新しい技術やビジネスモデルの社会実装に向け、事業者の申請に基づき、規制官庁の認定を受けた実証を行い、実証により得られた情報やデータを用いて規制の見直しに繋げていく制度です。
参考:内閣官房の「規制のサンドボックス制度」に関するウェブサイト(外部リンク)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/s-portal/regulatorysandbox.html
■Kort Valuta の事業内容
当社は、国際ブランド決済を基軸としたデジタル ID サービス「TwooCa Wallet」を提供しています。社員証、会員証、学生証、診察券等、様々な ID との連携を進め、ID テックの確立を進めています。ID テックを主軸にしたマネーヘルス領域において、決済サービス、社員証サービスだけでなく、利用者の健康を管理するためのヘルスケアデバイス「TwooCa Ring」の販売を開始しております。TwooCa Ring は「決済」と「健康管理」ができる【世界初】のリング型ヘルスケアデバイスです。そして、ユーザーとデバイスから蓄積された各種データを解析することにより、それぞれのユーザーに基づいた新しい与信の在り方を定義しながら、一人でも多くの方が既存の与信概念に囚われない、自由な金融的選択肢を持つことが可能になる世の中を実現していきたいと考えています。その世界を実現するため、AI を利用した TwooCa コンシェルジュを開発し、ユーザー属性、与信スコア、健康情報に基づいて最適な選択肢を提案できるように、各々のユーザーに最適なデジタルセルフを実装予定です。
■新技術等実証計画の取組み内容
当社は、デジタル社員証などの特許申請等を通じて、我が国企業の有する優れた従業員のチームワークをデジタルの技術でサポートすることに取り組んできました。また、前払式支払手段発行者として登録を受けた事業者であり、アプリ上でウォレットを提供して、福利厚生金や用途を問わずに発行・利用できる前払式支払手段「TwooCa」に関するサービスを提供しています。こうした知見と実績をもとに、本実証においては、日本初のアプリ式のハイブリッドペイメント電子社員証サービスを実証計画参加企業に提供し、参加企業の労働者に対して、アプリ上でデジタル社員証とウォレットを一体的に提供するとともに、あわせて、従業員向けの福利厚生サービスの一環として当社の発行する前払式支払手段「TwooCa」との交換が可能なポイントを当社から参加企業の従業員に対し付与するものです。
■新技術等実証計画の概要と期待効果
本実証で用いる仕組みは、福利厚生サービスの実施のみならず、将来的には、労働者の利益を損なうことなく、多様化する労働者のニーズに即した、より柔軟に対応できる利便性の高い決済サービスの実現を目指しています。具体的には、以下の内容で実証実験を実施いたしました。
<1>
本実証の仕組みを使った場合、福利厚生サービスの実施に伴う事務的コストや手数料負担が少なくなる点があります。すなわち、労働者に対する福利厚生金等の給付を行う場合、給与等と比較して少額な給付となるのが通常であり、それらの給付を預金口座等への振込み等を利用することは企業にとって事務的コストや出金・送金手数料に見合わず給付自体を断念せざるを得ないことも考えられます。
一方、本実証では、当社の発行する前払式支払手段と交換可能なポイントの付与を行うことにより、実証計画参加企業の労働者は当該ポイントの交換によって前払式支払手段を取得することができ、また、付与されるポイントや交換した前払式支払手段は社員証と一体的に提供されるデジタルウォレットで管理でき、当該ウォレット等からそのまま各種支払いを実行できることから利便性も高く、企業にとっても前述の事務的コストや各種手数料の負担を軽減することが可能であります。こうした福利厚生の実施に伴う事務コストや各種手数料の削減分は、企業が労働者へのサービスの原資に充てることができ、労働者の利益として還元することができます。
<2>
福利厚生サービスの付加価値として、ウォレット等から収集した情報を元に労働者の便益に資する付加サービスを提供できる点があります。ウォレット等から各種決済が行われることで、労働者の各種決済データの収集が可能となるところ、当該データを活用し、各労働者に適したサービス(例えば、労働者の健康増進を目的とするサービスや福利厚生に資するサービス等)を付加的に提供することが可能になる。これは福利厚生が、労働者の生活の質の向上につながる付加価値のより高いものに用いられることにほかなりません。
■新技術等実証計画報告の概要
期間:2022 年 10 月 1 日~2023 年 9 月 30 日
対象人数:237 名
総ポイント付与数:1,459,492pt
(取組み参加企業概要)
企業名:株式会社 OSBS
企業概要:株式会社 OSBS の従業員の多くが障害を持つ社員です。ひとりひとりの特性を理解し、親会社である株式会社アウトソーシングが持つオペレーションノウハウの支援によって、採用から会社の運営までを自らで行っています。また、アウトソーシンググループのシェアードサービス部門として事業展開をするとともに、「企業は従業員自らの力で成長させていくもの」という理念を実践しています。アウトソーシンググループでは、積極的なグローバル展開において真の多様性を追求し、新たなニーズの構築と人材の積極的な活用を行っております。グループ会社の一員である同社は 2015 年9月に設立し特例子会社の認可を受けておりますが、ダイバーシティをもっとも精力的に取り組んでいる企業です。株式会社 OSBS は、仕事をする大変さと喜びをアウトソーシンググループ各社と共有し、相互理解の精神をもって社会人として成長し、Creating shared Value を追求します。
事業セグメント:コンサルティング業務、バックオフィス業務、業務請負
企業 URL:https://www.osbs.co.jp
<新技術等実証の目標の達成状況>
<キャッシュレス決済の利便性について>
Q:普段は現金と電子マネーどちらを多く利用しますか?
実証実験開始当初は電子マネーの利用にあまり慣れていない方や、電子マネーの利用をすること自体に抵抗感を抱いている方が一定数いる印象であったものの、2022 年 10 月に実施したアンケートの自由記述欄には以下のような声が寄せられていた。
“お店で利用するとき店員さんにどのように声をかけていいのか分からない”
“便利なのかもしれないが慎重に利用したい”
“利用方法がよく分からない”
そういった声を受け、TwooCa マニュアルの充実化や利用方法動画の配信、キャッシュレス決済に関するティーチングセッションを行った。これらの取組みが「TwooCa を利用することで、利用者のキャッシュレス決済に対する理解が深まり、利便性を知るきっかけとなる」ことを期待する。
〇2023 年 8 月の時点での利用者の声
キャッシュレス決済が普及してきて屋外イベントや公共交通機関で Visa タッチ決済の利用ができた。
初めてタッチ決済を利用したが、とてもスムーズだった。
電子マネー利用への抵抗感が少なくなった。
現金を多く持ち歩かなくなった。
デジタル化に適応することができたと感じた。
キャッシュレス決済の手軽さに気が付くことができた。
電子マネーはもっと難しいものだと感じていたが、使ってみると簡単で使いやすいことが分かった。
「実証実験参加者にまずは TwooCa 利用を通じキャッシュレス決済の利便性を実感していただく」ということを目標の一つとして実証実験を行ってきたが、キャッシュレス決済に対して実証実験終了時にポジティブな意見が多く寄せられたことは実績の一つと言えるのではないかと考える。
<従業員のモチベーションとポイント及び決済の結びつきについて>
Q:今回のサービスが導入されたことで日々の仕事へのモチベーションは上がりましたか?
“はい”と回答した方が全体の 78%を占める結果となった。中間報告では、66.5%であったが最終的な活動を通じて更なる仕事へのモチベーション向上を得られるような結果になったことが証明されたと判断できる。理由としては、「ポイント」という目視できる数値で自身の努力や行いを評価されることが従業員のモチベーションに繋がっていることが分かった。こうした従業員一人一人のモチベーションは企業にとっては必要不可欠である。職種等にもよるが、業務活動は、役職や個人の能力に関係が深く、画一的に数値化し評価することは難しい場合がある。一方で業務外活動は、役職や個人の能力に関係なく、「ポイント」という目視できる数値で付与でき、平等に評価することが可能となる。従業員全員が平等に評価の機会を与えられることは、従業員一人一人のモチベーションに大いに繋がると考える。こうした仕組みは企業の大小に関わらず、従業員が企業との繋がりを感じることができ、さらに「個人が平等に評価の機会を与えられ平等な基準で評価される」ことは企業と従業員の関係において重要なものであると推察する。
また、従業員一人一人のモチベーションは企業にとっては欠かせないものである。個人のモチベーションの高さは、業務に対する意欲や企業への満足度とも切り離せない。モチベーションの高い従業員が多いと職場環境も良好になり、従業員が長期間にわたって働き続ける可能性が高まると言える。従業員の定着率が向上すると、企業の PR や企業価値の底上げが可能になり、企業側にとっても大きな利点があると言える。企業が TwooCa サービスを通じて、従業員が心身共に健康且つ高いモチベーションを維持できる環境を整備することは「新しい福利厚生サービスの形」及び「新しい評価制度」を提供することに繋がり、福利厚生サービスの低利用率に悩む企業の課題解決の一助となることが期待できる。
<実証実験への感想>
Q:ご自身の行動でポイントがもらえるという今回の実証(イベント)が今後も継続してほしいと思いますか?
「業務外の活動に対する評価(ポイント付与)」が従業員一人一人のモチベーションに紐づいていることを実証する結果の一つといえる。このことから会社の感謝、「ありがとう」をポイント付与という形式で従業員に付与できる TwooCa が企業の新しい福利厚生サービスになり得る可能性に期待する。また、このポイント付与自体は柔軟に設計できることから企業の新しい様々取組みへのエンゲージメント向上の方法として機能していく可能性もあると言えるのではないか。
Q:このような実証(イベント)を積極的にやってくれた自分の会社についてどう思いますか?
“素晴らしいと思う“と回答した人が全体の 86%を占める結果であった。この最終結果から、取組みが評価され、結果的に従業員満足度の向上、離職率低下等に繋がったと推測ができる。
★まとめ
電子マネーなどのキャッシュレス決済を今まであまり利用していなかった方や抵抗感を持っていた方も、実証実験を通して実際に利用していただくことで利便性を実感していただけたと言える。
健康管理とポイント及び決済の結びつきを証明することができた。ポイントがもらえることで自身の健康管理の意識向上に繋がり、結果として従業員の健康推進に繋がった可能性が期待できる。また、貯まったポイントが従業員のモチベーション維持に繋がるという事実により、従業員が心身共に健康な状態で働くことを実現し、結果として企業に還元されるというサイクルを見出すことができた。
「支払いがスムーズな決済サービス」としてだけでなく、従業員個人の業務以外の活動を企業がポイントとして評価し、従業員のモチベーション向上に繋げるという仕組みは、会社に導入してある福利厚生の低利用率に悩む企業の新たな福利厚生サービスとしての可能性を見出すことができた。
力量や能力とは関連しない部分で従業員に平等に与えられる評価制度は、個人の価値そのものを尊重することに繋がってくると感じている。
全ての従業員が平等に評価され、ポイントとして還元されるという仕組みは従業員のモチベーションを保ち、企業と従業員が良好な関係を築き続けるために非常に重要な観点であると考える。
今後も利用者の声に積極的に耳を傾けながらニーズや動向を分析し、全ての人に喜んでいただけるような、よりよいサービスを提供していけるよう努めていきたい。
■当社の今後の展望
本実証計画を経て、現在様々な企業との取組みを開始しております。大手保険会社、大手飲料メーカーを始めとして、当社サービスである、TwooCa Wallet、TwooCa Ring の実証導入を進めています。2023 年 11 月の資金移動業の登録を踏まえて、新規サービスに取組み、更なる挑戦に取り組んでいきたいと考えております。
■株式会社 Kort Valuta 概要
会社名 :会社名 :株式会社 Kort Valuta https://kortvaluta.com
所在地 :東京都渋谷区渋谷 3-11-2 渋谷パインビル 4 階
代表者 :柴田秀樹
事業概要:各種カードの発行、企画、管理、運営
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