建設業の2024年問題に関する動向調査:2024年版
「建設業の2024年問題」7割以上の工事会社が未対策、昨年から9ポイントのみ改善。いまだ多くの工事会社で対策が講じられていない実態が判明
クラフトバンク総研(運営:クラフトバンク株式会社)は、2024年4月から始まっている時間外労働の上限規制の厳格化(2024年問題)や人手不足への対応実態を把握するため、社員数5~100名の建設工事会社に対し、「建設業の2024年問題と人手不足に関する動向調査」(総回答数:1,488名、経営者・事務員・職人が対象)を実施いたしましたので、概要をお知らせします。
調査結果
【2024年問題】
①74%が未対策。
2023年9月に実施した同様の調査では83%が未対策で、1年で9ポイントしか改善せず。
②勤怠管理は85%が紙やタイムカード、エクセルでのアナログ管理である。
③日程・工程管理においても、56%が紙かホワイトボードでのアナログ管理である。
④原価管理ツールの利用率は23%にとどまり、昨年から1ポイントのみ改善している。
⑤経営者の50%が毎日2時間以上事務作業を行っている。昨年から4ポイントのみ改善している。
【人手不足】
①69%が「人手不足で仕事を断ることがある」と回答。従業員数を問わず、人手不足が事業成長の
ボトルネックとなっている。
②「人手不足の課題として感じること」としては、新卒・中途の採用課題よりも、育成や離職防止に
向けた課題の方がやや大きく認識されている。
③育成・定着の強化に向けて講じられている対策としては、賃金の向上施策が働き方改革の推進を
上回っている。「何もしていない・不明」が44%存在。
④採用強化に向けた対策としてはHPの整備が最も多いが、十分な情報のHPを持っている会社は
わずか28%。「何もしていない・不明」が38%存在。
まとめ (クラフトバンク総研所長 高木 健次)
2024年4月から5か月が経過した現在でも、7割を超える工事会社で未だに2024年問題の対策が進んでいません。2024年問題は時間外労働の上限を規制するものですが、そもそも始業・終業の時間を管理する勤怠管理に課題を抱える工事会社が4割弱で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が報じられる中、未だに現場には「手書きの勤怠管理」が残っています。まずは客観的方法での勤怠管理に切り替えることが求められ、そのうえで日程・工程管理や原価管理の効率化を通じて生産性の向上・残業時間の削減を図ることが必要です。
また、約7割の会社が人手不足を理由に仕事を断ることがあり、2024年問題が人手不足に拍車をかけていることが見て取れます。人手不足の中身を見てみると、育成や定着の課題が採用課題を上回っていることは意外でした。いずれにしても、課題を抱えている会社の約4割が何の対策も講じていないか、自社の状況を把握していないことが明らかになっています。2024年問題への対策の先に、事業拡大に向けた人手確保の打ち手を積極的に講じることができるかどうかが、業界全体の課題であり各社の課題であると言えます。
調査結果詳細は、下記からダウンロードください。
d80019-25-2c7fcecab92b256ffab207b20b8cd787.pdf調査概要
調査目的:建設業の2024年問題における対策状況の把握
調査内容:工事会社の2024年問題、勤怠管理、人手不足対策など
調査方法:インターネット調査
調査主体:クラフトバンク総研
調査委託先:株式会社マクロミル
調査実施期間:2024年7月24日~8月2日
調査対象:社員数5~100名の法人 かつ 正社員に占める職人数が全体の半数以上 or 職人が10人以上在籍
有効回答数:1,488件 経営者(n=463)、職人(n=514)、事務員(n=511)
※本調査データを引用する際は、「建設業の2024年問題に関する動向調査:2024年版(クラフトバンク総研)」と明記いただくよう、お願いいたします。
クラフトバンク総研について
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