代表理事 初の単著『体験格差』が講談社現代新書より4月18日発売ー3月21日よりAmazonにて予約受付を開始
2000件以上の全国調査データと10人の当事者へのインタビューにより「体験格差」の実態に迫る
子どもの教育格差の解消に取り組む公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(東京都墨田区、代表者:今井悠介・奥野慧、以下CFC)は、当法人代表理事の今井悠介による初の単著『体験格差』(以下、「本書」)が講談社現代新書より刊行され、4月18日に全国書店およびオンライン書店にて発売されることを発表いたします。
本書の発売に先立ち、3月21日よりAmazon公式サイトにて新刊予約受付を開始いたします。
■本書の内容
昨年の夏、あるシングルマザーの方から、こんなお話を聞いた。
息子が突然正座になって、泣きながら「サッカーがしたいです」と言ったんです。
それは、まだ小学生の一人息子が、幼いなりに自分の家庭の状況を理解し、ようやく口にできた願いだった。たった一人で悩んだ末、正座をして、涙を流しながら。私が本書で考えたい「体験格差」というテーマが、この場面に凝縮しているように思える。
私たちが暮らす日本社会には、様々なスポーツや文化的な活動、休日の旅行や楽しいアクティビティなど、子どもの成長に大きな影響を与え得る多種多様な「体験」を、「したいと思えば自由にできる(させてもらえる)子どもたち」と、「したいと思ってもできない(させてもらえない)子どもたち」がいる。そこには明らかに大きな「格差」がある。
その格差は、直接的には「生まれ」に、特に親の経済的な状況に関係している。年齢を重ねるにつれ、大人に近づくにつれ、低所得家庭の子どもたちは、してみたいと思ったこと、やってみたいと思ったことを、そのまままっすぐには言えなくなっていく。
私たちは、数多くの子どもたちが直面してきたこうした「体験」の格差について、どれほど真剣に考えてきただろうか。「サッカーがしたいです」と声をしぼり出す子どもたちの姿を、どれくらい想像し、理解し、対策を考え、実行してきただろうか。(中略)
私たち、日本社会で生きる大人たちの多くは、子どもたちにとっての「体験」の機会を、いまだ「必需品」だとは見なしていないのだろう。(中略)もちろん日本でも、自分自身の子どもに対して様々な「体験」を与えたいと願い、実際にその機会を与える親は数多く存在する。
だが、それがあくまで個々の家庭ごとの話にとどまっている限り、裕福な家庭に生まれた子どもたちはともかく、低所得家庭の子どもたち、あるいはその他のハンディキャップを抱えている家庭の子どもたちは、誰からのサポートも得られずに置き去りにされるだろう。そして、実際に置き去りにされてきたのだ。
重要な分岐点は、「私の子ども」だけではなく、「すべての子ども」に対して、「体験」の機会を届けようとするかどうかにある。「体験格差」をなくそうという意思を、社会全体として持つかどうかにある。
(本書「はじめに」より一部抜粋)
【本書の構成】
第一部では、CFCが全国2000人以上の小学生保護者を対象に行った「子どもの『体験格差』実態調査」のデータから浮き彫りとなった、子どもの「体験」を取り巻く現状について様々な角度からまとめました。
また第二部では、著者自身が日本各地を巡り経済困窮家庭の保護者をはじめ体験格差の「当事者」の方々から伺ったお話をインタビュー形式でご紹介し、調査データのみでは見えてきづらい体験格差のリアルに迫ります。
そして第三部では、日本社会が子どもの「体験格差」とどのように向き合い、解決に向けて何をなすべきなのか、5つの提案とともに考えていきます。
【目次】
はじめに
第一部 体験格差の実態
1.「お金」と体験格差
2.「放課後」の体験格差
3.「休日」の体験格差
4.「地域」と体験格差
5.「親」の体験格差
6.体験格差の「現在地」から
第二部 それぞれの体験格差
1.ひとり親家庭の子ども
2.私が子どもだった頃
3.マイノリティの子ども
4.体験の少ない子ども時代の意味
第三部 体験格差に抗う
1.社会で体験を支える
2.誰が体験を担うのか
おわりに
■著者プロフィール
今井悠介
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事。1986年生まれ。兵庫県出身。
小学生のときに阪神・淡路大震災を経験。学生時代、NPO法人ブレーンヒューマニティーで不登校の子どもの支援や体験活動に携わる。公文教育研究会を経て、東日本大震災を契機に2011年チャンス・フォー・チルドレン設立。
6000人以上の生活困窮家庭の子どもの学びを支援。2021年より体験格差解消を目指し「子どもの体験奨学金事業」を立ち上げ、全国展開。本書が初の単著となる。
【出版によせて】
学生時代のボランティア活動、そして2011年に設立したチャンス・フォー・チルドレンでの約13年間の活動を通じて、子どもたちが「体験」をきっかけに多様な価値観に触れたり、人の温かさに触れたりしながら成長していく様子を目の当たりにしてきました。
一方、チャンス・フォー・チルドレンの活動を通じて経済困窮家庭の子どもたちを支援する中で、子どもたち自身がいかんともしがたい事情により「やってみたい」という思いに蓋をせざるをえないという声を数多く聞いてきました。実際、私たちが2022年に実施した調査結果からも、「経済困窮家庭の小学生の約3人に1人が体験ゼロ」という結果をはじめとした「体験格差」の実態が浮き彫りになりました。
子どもたちの「体験」を取り巻く現状を変えていく上では、「体験格差」の現実を多くの方に知っていただき、議論していく必要があります。長年にわたり見過ごされてきた「体験格差」という課題の実情を広く社会全体に共有し、課題解決に向けた議論を深めていくための土台をつくりたい。そんな思いで、本書を書き進めてきました。多くの方に本書を手に取っていただき、「体験格差」について考えるきっかけを持っていただけたら幸いです。
なお、本書の印税は公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンを通じて「体験格差」の解消に向けた活動に充てさせていただきます。
■本書の概要
・タイトル 体験格差
・著者 今井悠介
・発行元 株式会社講談社
・定価 990円(本体900円+税)
・刊行日 2024年4月18日
・判型 新書判
・総ページ数 208ページ
・ISBNコード 978-4-06-535363-9
・予約受付 https://www.amazon.co.jp/dp/4065353637
■団体概要
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
国内の子どもの貧困・教育格差解消を目的に、2009年にプロジェクト発足、東日本大震災の発生を受け、2011年6月に法人設立。経済的な理由で学校外教育を受けることができない経済困窮家庭の子どもたちに、学校外教育で利用できる「スタディクーポン」を提供するとともに、大学生ボランティアによる相談支援を行っている。2023年度より、体験格差の解消をめざす新事業「子どもの体験奨学金事業『ハロカル』」の展開を開始。
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