第54回講談社絵本賞受賞!『なきむしせいとく』40年以上沖縄を見つめ続けてきた著者が描く「沖縄戦」
『じごくのそうべえ』で知られる絵本作家・田島征彦さんが、長年の取材の集大成として「沖縄戦」を描いた絵本が『なきむしせいとく』です。
株式会社童心社(出版社本社:東京都文京区 代表取締役社長・後藤修平)が刊行する絵本『なきむしせいとくー沖縄戦にまきこまれた少年の物語』(たじまゆきひこ 作・2022年4月刊)が、第54回講談社絵本賞を受賞しました。
https://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2023/20230420_ehonprize.pdf
https://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2023/20230420_ehonprize.pdf
トピックス
・『なきむしせいとく』内容紹介
・沖縄での長年の取材の集大成
・メディアでも話題!刊行後の大きな反響
・書誌情報
・著者プロフィール
*講談社絵本賞は、絵本において新分野を開拓し、質的向上に寄与した優秀な作品に対して贈呈される賞です。
1970年から毎年選定され、2023年で第54回となります。
第50回を機に、講談社出版文化賞絵本賞から改称されました。
(選考委員:きたやまようこさん・高畠純さん・武田美穂さん・長谷川義史さん・もとしたいづみさん)
講談社絵本賞 受賞者一覧
https://www.kodansha.co.jp/award/description/60996.html
- 内容紹介
舞台は1945年戦争末期の沖縄。国民学校2年生の男の子「せいとく」は、いつも泣いているのでみんなから「なちぶー」とよばれています。戦況がきびしく敗色が濃くなっていく中、出征していた父に続き、中学生だった兄までも「鉄血勤皇隊」に招集されてしまいます。せいとくと母、妹の3人は少しでも安全な場所を求めて家を捨て、南へ南へと避難します。
激しいアメリカ軍の砲撃でせいとくは母を失い、軍民が入り乱れる混乱の中、妹とも生き別れてしまいます……。
本作は8歳の男の子、せいとくの視点から物語が描かれます。
空襲や艦砲射撃、そして地上戦……。家族を失い、死体を踏み越えて逃げ、味方と避難場所を奪い合う凄惨をきわめた沖縄戦を経て、泣き虫だったせいとくはついに、涙をながすことすらなくなってしまいます。
- 沖縄での長年の取材の集大成
絵本作家の田島征彦さん(83)は、ロングセラー絵本『じごくのそうべえ』(1978年刊・累計87万部)などの著作で知られる一方で、児童文学作家の故・灰谷健次郎さん(1934~2006)との取材をきっかけに、40年以上沖縄に通い、沖縄を題材にした絵本を作り続けてきました。
沖縄戦を題材にした本作について、田島さんは次のように語っています。
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自然のすばらしさに魅せられて沖縄に通い始めて、もう40年以上になる。沖縄を舞台にした最初の絵本『とんとんみーときじむなー』(童心社/1987年)は、沖縄の自然の魅力を伝えたいと思って創った。しかし、子どもたちに沖縄のことを知ってもらうには、それだけでは充分ではない。沖縄の一面しか伝えていない。日本の国土面積の0.6%しかない沖縄に、日本にある米軍専用施設の70%が集中していることを見逃してはいけないと思った。(中略)
沖縄戦を描くというのは、困難な仕事だ。悲惨な戦争を子どもたちに見せて怖がらせる絵本を創るのではない。平和の大切さを願う心を伝えるために、沖縄戦を絵本にする取り組みを続けているのだ。
(『なきむしせいとく』投げ込み「沖縄戦を絵本にする」より)
■関連情報
<インタビュー>田島征彦さん『なきむしせいとく』刊行記念インタビュー 「沖縄戦」を描く
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=2646
- メディアでも話題!刊行後の大きな反響
刊行後、東京新聞や毎日新聞の夕刊一面で掲載され昨年全国37紙もの新聞各紙で掲載され、NHK沖縄、琉球放送でも著者・田島征彦さんのインタビューが放送されるなど、今までにない大きな反響をいただきました。
また、ウクライナでの戦争が続く中、子どもたちと戦争と平和について考えるきっかけになる絵本として、市民グループや全国の絵本講師の方々など、幅広い層からの反響をいただいており、こうしたテーマの絵本としては異例のペースで版を重ねています。
(刊行:2022年4月30日/2023年4月現在:3刷・累計発行部数1万1千部)
■読者の声より
裏表紙の真っ赤なハイビスカスが、これからを生きるせいとく、あるいはいまを生きている私に「もう泣かないで」と語りかけているようでした。
戦争犠牲者は死んだ者だけではない、せいとくの物語はその後を生きる犠牲者すべての人の物語のように感じました。(保育士・61歳・女性)
最後の「戦争のくるしみを一番しっているのは、ぼくたちなんだから。」のことばが、こころに響き、絵本の中の人間の表情が戦争を通しての命の恐ろしさ、無念さ、はかなさが描かれていて、すごくすごく、こころが動く絵本でした。大切にしたい一冊です。ありがとうございました。(51歳・女性)
中学校での朝の読み聞かせに2回(2年生と3年生)使いました。本土復帰50年で沖縄のことがよくテレビなどでも特集されているのを見ます。新聞紙上の紹介でこの絵本を知り、手に入れました。ぜひ中学生にと。私に与えられる時間は10分間です。「ぼくは なきません。手がなくなっても、なきません。」の所まで読みました。生徒も担任も、話に吸い込まれるようジィーッと聞いてくれました。後で司書の先生が図書だよりに写真入りで生徒の感想を載せてくれました。
中2生徒の感想「戦争中の沖縄での物語でした。とても残酷で胸が苦しくなりました。戦争のない時代に生まれることができ幸せ。」(71歳・女性)
- 書誌情報
書名:なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語
作:たじまゆきひこ
定価:1,760円 (本体1,600円+税10%)
判型:25.1×25.6cm
ページ数:49ページ
ISBNコード:ISBN978-4-494-01248-01
初版:2022年4月30日
対象:小学校中学年以上
童心社ホームページ:https://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494012480
受賞歴:国際推薦児童図書「The White Ravens2022」選定
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=2824
日本絵本賞最終候補
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=2924
- 著者プロフィール
【著者】たじまゆきひこ(田島征彦)
1940年大阪府堺市に生まれる。高知県で少年時代を過ごす。兵庫県・淡路島在住。
絵本に『祗園祭』(第6回世界絵本原画展金牌受賞)『じごくのそうべえ』(第1回絵本にっぽん賞受賞)『あつおのぼうけん』『ななしのごんべさん』(いずれも吉村敬子・共作)『とんとみーときじむなー』『てっぽうをもったキジムナー』『やんばるの少年』(いずれも童心社)、『てんにのぼったなまず』(第11回世界絵本原画展金牌受賞)『のら犬ボン』『ふしぎなともだち』(第20回日本絵本賞大賞受賞/いずれもくもん出版)、35年間の画業をまとめた、自伝的画集『憤染記(ふんせんき)』(染織と生活社)などがある。
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