日本政府、デジタルヘルス・システムを通じて太平洋島嶼国地域の数百万人を支援
2023年3月7日 スバ(フィジー)発
日本政府と国連児童基金(UNICEF)は、フィジー、キリバス、パプアニューギニア及びソロモン諸島におけるデジタルヘルス・システムを強化するため、12億4,800万円の新たな無償資金協力に関する書簡の署名を行いました。
これらの太平洋島嶼国4カ国は、ワクチン接種率を個人レベルまで管理できる情報システムやデジタルヘルスへの取り組みなど、予防接種に関する支援を受けます。
「日本政府および国民を代表し、UNICEF太平洋事務所代表のジョナサン・ヴァイチ氏とともに、予防接種のデータの収集、電子化、保管、アクセス性の向上に対する効果的な支援を拡大するための『太平洋島嶼国における感染症対策のためのデジタルヘルス・システム支援計画』に対する日本政府の資金協力を実施できることを光栄に思います。」と、川上文博 駐フィジー日本国特命全権大使が述べました。
川上文博大使はまた、「このようなデジタルヘルス・エコシステムを構築することで、最前線で活動する保健員がサービス提供やプライマリーケアの質を向上させることができます。この新たなシステムは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種の情報把握だけでなく、定期予防接種事業にも展開されます。本事業は、COVID-19のパンデミックで得た教訓を感染症の監視、予防、対応、保護プログラムの改善に生かし、保健ケアサービスの向上を後押しするでしょう。」と語りました。
予防接種情報システムがデジタルヘルス・エコシステムに統合されるようにするため、UNICEFは4カ国の保健省のリーダーシップの下、現場での支援を行います。
また、UNICEFは、保健員が新しいシステムを利用できるようにするための能力強化を支援し、本事業の持続可能性を推進します。
UNICEF太平洋事務所代表のジョナサン・ヴァイチは、「この度のご支援により、今後2年間で太平洋地域の何百万人もの人々が恩恵を受けます。その中には、4カ国の550以上の保健施設で働く1,450人の保健員が含まれます。子どもたちが命を守る予防接種の機会を失うことがないよう、確固たるデジタル予防接種情報システムが不可欠です。」と述べました。
本パートナーシップの締結に加え、日本政府とUNICEFは本日、必要不可欠なコールドチェーン機材をフィジーの保健・医療サービス省に引き渡しました。これらの機材は、継続的なCOVID-19ワクチン接種や定期予防接種に関する備えや対応を補完するためのものです。
「フィジーを含む太平洋島嶼国における感染症対策のためのデジタルヘルス・システム支援に対する日本政府の資金援助は、まさに時宜を得たものです。本事業は2023年3月に開始され、保健・医療サービス省との協力のもと、24カ月間にわたって実施される予定です。」と、ラトゥ・アトニオ・ランビジ・ラランバラブ・フィジー保健・医療サービス大臣が述べました。
ラランバラブ大臣はまた、「この度、フィジーのワクチン中央倉庫に新しいウォークイン冷蔵室が設置されました。これにより国レベルでのワクチン保管能力が1万リットルから2万リットルに倍増し、国のワクチン保管能力が大きく向上します。」と語りました。
今回提供されたコールドチェーン機材は、ワクチンを摂氏2度から8度で管理するための国のコールドチェーン能力を大幅に強化するものです。 また、ワクチン輸送に使用する保冷剤の凍結も可能になります。さらに、太陽光発電式の冷凍・冷蔵庫により、電力のない地域や安定した電力供給が1日8時間未満の地域でも、2度から8度でワクチンを保管できるようになります。
川上文博大使は、「フィジーの保健省にウォークイン冷蔵室を含む追加のコールドチェーン機材の引き渡しを行うことができ、大変嬉しく思います。このウォークイン冷蔵室は、フィジー、ミクロネシア連邦、キリバス、マーシャル諸島、パラオを対象とした、『太平洋島嶼国における予防接種プログラム強化計画』による支援で提供されたものです。近年における世界で最も致命的なパンデミックに直面した太平洋島嶼国の人々のレジリエンス(回復力)は、賞賛に値するものです。政府や国民の懸命な努力により、今に至っているのです。日本が太平洋島嶼国に対し、COVID-19のパンデミックを乗り越えるための支援を提供できたことを嬉しく思います。」 と語りました。
■UNICEFについて
国連児童基金(UNICEF)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190以上の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。
※UNICEF国内委員会が活動する33の国と地域を含みます
※UNICEFの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■UNICEF 東京事務所
UNICEF東京事務所は、ニューヨーク本部直轄の国連機関事務所として、日本政府からの政府開発援助(ODA)による資金協力や、国会議員、国際協力機構(JICA)、非政府組織(NGO)等との連携を促進しています。
すべての画像